Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ストリート・チルドレンのクリスマスイブ

2010-12-25 22:23:37 | アジア
クリスマス・イヴなど、ここのストリート・チルドレンにはほとんど縁はない。

小銭稼ぎのための段ボール拾い、物乞い、タバコのとりあいで喧嘩になったり。。。普段と変わらない夜。

気温は零度近くまで下がるなか、まともに外で寝るためにはボンドを吸ってハイになるしかない。感覚を麻痺させるのだ。

普段と変わらず、カトマンドゥーのクリスマス・イブの夜は更けていく。

(もっと写真を見る: http://www.kunitakahashi.com/blog/2010/12/25/christmas-eve-street-kids-in-kathmandu/ )


忘れられた人々 - パキスタン洪水避難民たち

2010-12-15 22:08:36 | アジア
先週、撮影の仕事でパキスタンのカラチに数日間滞在して来た。ムンバイと似たこの港町を訪れたのは5ヶ月ぶりだ。

仕事の合間に町の郊外にある避難民キャンプへいってみた。今年8月にパキスタンを襲った大洪水で家を失った人たちのための避難所だ。

洪水からすでに4ヶ月以上経つのに、まだキャンプに人が住んでいると聞いたときはさすがに驚いたが、そこには250以上の家族たちがテントや学校の校舎で身を寄せ合って暮らしていた。

故郷の田畑はまだ腰まで浸かる程の水中下にあり、とても帰れる状態ではないと言う。土地なくしては農夫の彼らが生きていく術はない。カラチで細々と日雇い仕事をしながら、故郷の田畑から水が引くのを待っているのだ。

キャンプには、以前は水や食料、毛布などの救援物資がNGOや救援組織によって届けられていたが、一月程前からそれがとまってしまった。水の配給車もここ3日ほど来ていないという。

「俺たちはもう忘れられたようだ。。。」バシールという名の男がこう漏らした。

ほとんど所持品など持たない彼らだが、訪問者をもてなす心は忘れていないようで、テントを訪れるたびにチャイ(ミルクティー)を飲め、と勧められる。チャイは好物だが、そんなにがばがばと飲めるものでもない。さすがに4軒目以降は遠慮せざるを得なくなった。

こういう避難民キャンプを訪れるときにはいつも感じるのが、人々の「期待心」だ。僕のような外国人が訪れることによって、彼らは何かいいことがあるに違いない、と過剰な期待をもつことが多い。

NGOの職員や医者などのように、直接的に彼らを援助するわけではないジャーナリストとしては、記事や写真を発表する以外には何も約束することなどできないし、さらに写真が発表されたからといって、より多くの援助物資が届くという保証があるわけでもない。

だから、被写体となる人たちからのそんな「期待心」を感じる度に僕は少々とまどうことになるし、人々にきちんとそこのところを説明する必要のある場合もでてくる。

このキャンプの住人たちとも、何の約束もできませんよと話しはしてきたが、やはり心情としては、発表した写真が「忘れられた」彼らの生活改善に繋がることになれば、と願わずにはいられない。

(もっと写真をみる:http://www.kunitakahashi.com/blog/2010/12/15/forgotten-people-idps-of-pakistan-floods/ )

映画用の撮影

2010-12-03 23:15:16 | アジア
数日前、先月おこなわれた友人の結婚式で出会ったばかりの若い映画監督から電話がかかってきた。

新たに創りたい映画の資金集めのためのプレゼンテーション用に使う写真を撮ってほしいという。資金が無いので、撮影料は払えないとのこと。

ここの所ずっと忙しく(とはいっても撮影の仕事ではなく、来年始めに出版される予定の本の執筆に追われている)ボランティアの仕事にかける時間などないんだけどなあ、というのが正直な思いだったのだが、それでも結局引き受けることにした。

映画のため(とはいえ単なるプレゼン用だが)の撮影などこれまでやったことはなかったし、面白い経験にはなるかな、と思ったからだ。さらに、この誠実そうな若い監督と話してみて、彼の映画づくりに対する情熱にも好感がもてたということもある。

撮影は深夜から始まり、なんと朝6時までかかる長丁場になったが、実はその大部分は俳優のメークアップや衣装費やされたようなものだった。

ここでは詳しく述べないが、この映画の概要はこんなところだ。ある若い男がずっと持ち続けてきた彼の欲望を満たすために、女装をして通勤電車の「女性専用車両」に乗り込む。そしてそこで一人の女性と出会う。。。

この映画の主役は、アカデミー賞を受賞したあの「スラムドッグ・ミリオネアー」にも出演しており、なかなかの有名どころ。実はこのことは撮影当日まで知らなかったので、ちょっとびっくり。

ともあれ撮影は無事に終わり、僕は監督やこの俳優をはじめとしたプロ精神に満ちた人たちとのひとときを楽しんだ。

やはりこうして自分も関わったからには、是非この映画が撮影され、封切りになることを祈りたい。僕のボランティア仕事もそのための資金集めに役立ってくれれば嬉しいことだ。

(もっと写真を見る:http://www.kunitakahashi.com/blog/2010/12/03/shooting-for-a-flim/ )