来月掲載予定の貧困プロジェクトのまとめで多忙なのと、また筆不精の気がでてしばらくブログ更新さぼってしまった。
昨日はホームレスのジムに会いにシカゴから2時間ほど離れた刑務所を訪れた。
ジムと出会ったのは今年の3月、貧困プロジェクトを始めてすぐのことだ。彼はシカゴの北西にあるロックフォードという街で川沿いに放置されたトレーラー(コンテナ)にガールフレンドのジョディと一緒に住んでいた。
酒か薬で身を落とす多くのホームレスの例に漏れず、ジムとジョディもコカイン中毒者だった。くず鉄集めをして幾ばくかの金を稼いでいたが、そのほとんどはコカインのために浪費され、食べものよりドラッグが先、という典型的な毎日をおくっていた。
若かった頃はカントリー歌手のバンドでドラムをたたき、各地にツアーにでてそれなりに景気はよかったのだが、そのうちドラッグに溺れるようになりジムは身を持ち崩した。彼には2人の娘がいるといっていたが、もう何年も家族とも音信不通になっている。
7月のある日、高く売れる銅の部品を集めるために、市によって立ち入り禁止となっていた空きビルに侵入し逮捕された。
僕も彼が刑務所に入ったのは知っていたが、イラクやアフリカ取材で国外に出っ放しだったので、これまで訪れる機会がなかったのだ。
半年ぶりにあったジムは、長かった髪も切り、すっかり小奇麗になっていた。以前と違って刑務所でしっかり食事をしているせいで体重も増えたようだ。
「ここでいろんなことに気づかされた。。。これまで俺はドラッグに中毒になっていると思ってたんだけど、本当はドラッグだけでなく、ホームレスのライフスタイル自体に中毒になっていたようだ」
この刑務所は、犯罪者を檻に閉じ込めておくだけではなく、リハビリのためのカウンセリングや比較的高いレベルの職業訓練などにも力を入れている。ジムも毎日、ドラッグ中毒のリハビリを受け、ビルディング・メインテナンスの講義を受講している。
彼はカウンセリングを受けているうちに、コカインだけでなく、トレーラーのなかで寝起きし、盗みを働き、ぎりぎりのところで生活するといった、スリルがあって自由なホームレスの生活自体に病みつきになっていたのだった。
そして気づいたとき、金も、家族も、友人も、愛していたガールフレンドのジョディも失った。
ドラッグを断って4ヶ月、彼のふっきれたような様子からして、今は本気で人生をやり直そうと考えているようだ。
彼の出所予定は来年の7月、そう遠くはない。頼れる人間のいないジムにとって、新たなスタートをきることは決してやさしい事ではない。身に馴染んだロックフォードに戻り、元の生活を繰り返すほうがずっと楽だからだ。
僕も、ジムの行く末については決して楽観はしていないが、いずれにしてもこれからも彼を見続けていければと思っている。
(写真:トレーラーで生活していた頃のジムとジョディ)
昨日はホームレスのジムに会いにシカゴから2時間ほど離れた刑務所を訪れた。
ジムと出会ったのは今年の3月、貧困プロジェクトを始めてすぐのことだ。彼はシカゴの北西にあるロックフォードという街で川沿いに放置されたトレーラー(コンテナ)にガールフレンドのジョディと一緒に住んでいた。
酒か薬で身を落とす多くのホームレスの例に漏れず、ジムとジョディもコカイン中毒者だった。くず鉄集めをして幾ばくかの金を稼いでいたが、そのほとんどはコカインのために浪費され、食べものよりドラッグが先、という典型的な毎日をおくっていた。
若かった頃はカントリー歌手のバンドでドラムをたたき、各地にツアーにでてそれなりに景気はよかったのだが、そのうちドラッグに溺れるようになりジムは身を持ち崩した。彼には2人の娘がいるといっていたが、もう何年も家族とも音信不通になっている。
7月のある日、高く売れる銅の部品を集めるために、市によって立ち入り禁止となっていた空きビルに侵入し逮捕された。
僕も彼が刑務所に入ったのは知っていたが、イラクやアフリカ取材で国外に出っ放しだったので、これまで訪れる機会がなかったのだ。
半年ぶりにあったジムは、長かった髪も切り、すっかり小奇麗になっていた。以前と違って刑務所でしっかり食事をしているせいで体重も増えたようだ。
「ここでいろんなことに気づかされた。。。これまで俺はドラッグに中毒になっていると思ってたんだけど、本当はドラッグだけでなく、ホームレスのライフスタイル自体に中毒になっていたようだ」
この刑務所は、犯罪者を檻に閉じ込めておくだけではなく、リハビリのためのカウンセリングや比較的高いレベルの職業訓練などにも力を入れている。ジムも毎日、ドラッグ中毒のリハビリを受け、ビルディング・メインテナンスの講義を受講している。
彼はカウンセリングを受けているうちに、コカインだけでなく、トレーラーのなかで寝起きし、盗みを働き、ぎりぎりのところで生活するといった、スリルがあって自由なホームレスの生活自体に病みつきになっていたのだった。
そして気づいたとき、金も、家族も、友人も、愛していたガールフレンドのジョディも失った。
ドラッグを断って4ヶ月、彼のふっきれたような様子からして、今は本気で人生をやり直そうと考えているようだ。
彼の出所予定は来年の7月、そう遠くはない。頼れる人間のいないジムにとって、新たなスタートをきることは決してやさしい事ではない。身に馴染んだロックフォードに戻り、元の生活を繰り返すほうがずっと楽だからだ。
僕も、ジムの行く末については決して楽観はしていないが、いずれにしてもこれからも彼を見続けていければと思っている。
(写真:トレーラーで生活していた頃のジムとジョディ)