Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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ムスの留学?

2008-12-21 07:46:30 | リベリア
1週間ほど前にジョディーからメールが届いた。ムスに関する事だった。

「ムスの学生ビザが数日中にも交付されるかも知れない」

「!!!???」

以前からムスの両親であるアルバートとファトゥはムスをアメリカに留学させたいという希望を持っており、それを受けたジョディがスポンサーになってもいいと申し出ていたのは知っていた。しかし、こんなに早く話が進んでいるとは夢にも思っていなかったので、この知らせにはさすがに驚いてしまった。事がうまく運べば、クリスマス前にもムスが渡米してくるという。

そうなれば僕もペンシルバニアにいかなくてはならないし、まだアフガニスタンとインドの写真の整理もついていないので、これは忙しくなるなあと内心戸惑っていた。しかしこの戸惑いには別の理由もあった。

勿論ムスがアメリカで教育を受けられるなら僕にとっても嬉しいことだが、しかし彼女はまだ11歳だ。学生ビザが最長何年交付されるのかは知らないが、正直言って僕は、ムスはまだちょっと若すぎるのでは、という懸念を持っていた。

リベリアの子供たちを助けたい、というジョディの気持ちはよくわかるし、ギフトに続きアサタまで養子にとり、そのうえムスのスポンサーになるという彼女の行動力はまさに脱帽ものではある。しかし、この若い年齢で2年や3年の間アメリカで勉強したところで、果たしてそれがムスにとってどれだけの意味を持つのか?彼女は養子になるわけではないので、彼女も基本的には学業が終わればリベリアに戻らなくてはならない。僕としては、どうせアメリカで教育を受けるのなら、もう少し成長して、高校生あたりになってからのほうが彼女のためにはいいのでは、という思いがある。

そのうえ、アルバートたちが純粋にムスの教育のことを考えているのか、それとも自分たちが将来アメリカに移住するための布石として、まずムスをこちらに送ろうとしているのか、その辺もはっきりしない。

そんないろいろな思いがあったので、僕の心境は複雑だったのだ。

しかし、そんな心配をよそに、その数日後ムスの学生ビザ申請はモンロビアのアメリカ大使館で却下された。

ジョディが転送してくれたメールによれば、ムスの歳がまだ若すぎること、彼女と同様な境遇の子供たちはリベリアに無数に存在し、同様のビザ申請はすべて却下されている。よほど特別な事情が無い限り、ムスだけを優遇してビザの交付はできない、というのが主な理由だった。

僕としては、すこし安堵したような、それでもやはり残念で、これはこれでまたすっきりしない心境ではある。しかし、ジョディの話によれば、一旦は却下されたものの、今度はリベリアのサーリーフ大統領が口添えをしてくれるかも知れないということなので、ひょっとするとムスの留学の日もそう遠くないかも知れない。

(写真:ムス ー モンロビアの小学校にて)


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2 コメント

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Unknown (dora)
2008-12-24 18:56:16
アンクル クニは休むことなくお忙しいですね。
いろいろ考えてしまう気持ちもよく分かります。
ただ前にブログで書かれていたように、もし、ムスが渡米したとしても、これも運命なのかもしれません。
私はそんな気がしました。
勝手な意見ですみません。
メリークリスマス!!
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Unknown (Kuni Takahashi)
2008-12-25 10:14:33
運命。。。ですか。まあ僕も世の中なるべきようになる、と思っているので、ムスが来ても来なくても、そうなるべくしてなっているのでしょうね。良いお年を。。。
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