Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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ウォール街占拠運動「行動の日」

2011-11-22 09:22:08 | 北米
先週たまたまニューヨークを訪れており、ウォール街占拠運動の「行動の日」と名付けられた集会を撮ることができた。

これはこの占拠運動がはじまってからちょうど2ヶ月を記念しておこなわれたものだが、正直言って、この「指導者なき運動」に対しては少し複雑な印象を持っていた。集まった若者たちのなかには、単なるトラブルメーカーで警察を目の敵にしているだけで、運動の本質を見失っているような輩も少なくなかったし、この日の集会では地下鉄の駅の占拠も予定されていたからだ。駅を占拠すれば、ウォール街どころか、ごく一般の市民たちにも不便な影響がでる。占拠運動としては、彼ら曰く「99%」のそんな一般市民たちからの支持を失う事は致命的だと思えたからだ。

それでも、午前中に道路封鎖などで240人以上が逮捕されたに関わらず、全般的には比較的平和に事は進んだ。さらにブルックリン橋まで行進する夕方の集会には2万人以上が参加したとのことで、これほどの人数は予想していなかっただけにさすがに驚いた。まさにこの運動の根深さを思い知らされたという感じだ。

僕はこれからムンバイに戻るので、この占拠運動を自らの眼で追う事はできないのが残念だが、今後の動きは重要であるし、非情に興味深いものだと思う。彼らがこれからどんな戦術を展開していくのか、楽しみでもある。

(もっと写真を見る http://www.kunitakahashi.com/blog/2011/11/22/occupy-wall-street/ )

シンガポールにて。。。

2011-11-10 21:00:37 | Weblog
シンガポールで数日間過ごしてきた。

今回で2度目だが、いい町だ、と思う。清潔で、便利で、何よりもアジアの料理がたらふく楽しめる。ごみごみして猥雑なムンバイとは正反対なので、数日リラックスするにはもってこいの場所だ。

居心地のいい町ではあるのだが、今回物価の高さには少々驚いた。別にここに居を構えようと思っている訳ではないが、特に住宅物件や家賃が高い。中流の友人たちはみな2ベッドルームのアパートに2500ドル以上払っているという。飲み食いも例外ではなく、屋台のホーカーセンターで食べるのを別にして、そこそこのレストランやバー(高級ではない)で飲みながら食事をすると2人で簡単に100ドルを超えてしまう。僕の好きなジャック・ダニエルズがどこでもシングル一杯で10ドルくらいしていた。

そんなわけで、これでは東京のほうが安く住めるなあ、などという印象をもったのだが、まあそれだけシンガポールの経済と市民の購買力が強くなったということの証だろう。表面的なものしか見てはいないが、経済生活の面では、この国はいまだ不況から脱却できずにいる日本をすでに抜いているのではないかと思う。

今年3月、津波の取材で日本に戻ったとき、節電で東京も含めてやたら町が暗かったことを憶えている。(節電はよいことだし、別に暗くて不自由というわけではないのでそれでいいのだけれど)

夜のシンガポール、入江のあたりを歩いた。まばゆい照明に照らされた建物や橋を眺めながら、ちょうど僕が写真の勉強のためアメリカへと発つ直前、1980年代後半のきらびやかな東京を思い出していた。

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