Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ニュースは「表面」、ドキュメンタリーは「原因」

2012-06-20 11:24:30 | 報道写真考・たわ言
デイズ・ジャパン・フォトジャーナリズム学校の生徒が先週からムンバイに来て、合同プログラムとしてウダーン写真学校で講義を受けている。

僕は時間の許す限り日本の生徒のアシストをしながらアーコの授業をきいているのだが、アーコはムンバイ在住の著名なベテラン報道カメラマンで、この写真学校の創始者でもある。普段お互い忙しくてなかなかゆっくり会えないので、アーコをはじめ、他の講師たち(みな地元のカメラマンでいい連中だ)と時間を過ごせるいい機会にもなった。

アーコはその豊富な経験を生かして、心構えやテクニックなど生徒にいろいろとためになることを教えているが、なかでもひとつ、忘れられない言葉をひとつ僕の頭に刻み込んでくれた。

「ニュースは表面にみえるもの。ドキュメンタリーは、その表面が『なぜ』起こったかを探る仕事だ」

なんと的を得た言葉だろう!アーコの言ったことは、至極当たり前のことで、ジャーナリズムの基礎中の基礎でもある。しかし、ニュースとドキュメンタリーの違いをこれほど的確に言い表した言葉に、これまで僕は出会ったことがなかった。

『なぜ』を追求する – 生徒たちがどう受け止めたかは定かでないが、僕はこのアーコの言葉によって、まるで開眼させられたような思いだったのだ。もう1年以上、ずっとニュース関連の仕事で忙しくて、なにかフォトジャーナリストとしての自分の立ち位置に迷いのようなものを持っていたからだと思う。

また気持ちをリセットして、『なぜ』を追求する仕事をしなくては…。

アーコにひとつ借りができたかな。

盗まれたレンズ

2010-05-11 20:20:16 | 報道写真考・たわ言
ケニア航空でナイロビからムンバイに戻る途中、預けた荷物のなかからレンズが一本抜き去られていた。預ける荷物にはなるべく機材は入れないようにしているのだが、すべて機内に持ち込むわけにもいかない。もし預けた荷物が途中でなくなっても仕事ができるように、普段はカメラ2台、レンズ2本にパソコンを手荷物にいれて、予備のレンズやその他の機材は服や寝袋と一緒に預けてしまう。

航空会社に連絡したが、空港を出る前に報告してなければ責任はとれないという。家に帰ってから気づいたのでは遅いのだそうだ。しかし、一体どれだけの乗客が帰路につく前に預けた荷物の中身をチェックなどするだろうか。

カメラマンとしてのやってきた15年間、預けた荷物からものが盗まれたということはこれまでになかったことだ。単に運が良かっただけのことか。。。

生活の苦しいフリーランサーにとっては、手痛い1200ドルの損害だ。

キヤノンへのお願い

2010-04-16 00:18:42 | 報道写真考・たわ言
コンゴ取材のアレンジメントのために、国連関係やら地元のガイドやらとのやりとりでやたら忙しく、ここ2日ほどパソコンに向かいっぱなし。外に出たのは近所の床屋に散髪にいったのと、壊れたレンズをキヤノンのサービスセンターに持っていった時くらいだ。もう1週間くらい何も撮っていない。

レンズといえば、これはもう2ヶ月近く前に落として壊したもの。壊してすぐに、カメラマンの友人に紹介してもらった個人営業のおやじのところへ持っていったのだが、待てど暮らせど戻ってこない。おやじが言うには、発注した部品が全然届かないという。もういい加減にあきらめて引き取りにいき、あらためて昨日キヤノンに修理を頼んできた。こんなことならはじめからキヤノンに持っていけば良かったのだが、ここムンバイのサービスセンターは修理に時間がかかることで悪評が高いので、それを避けていたのだ。

機材の購入や修理に関しては、インドはカメラマンにとって実に不便なところだ。

関税がやたら高いので、カメラやレンズ、付属機器は日本やアメリカの3-4割くらいは高くなるし、修理に関しても、前述したように部品を海外に発注しなくてはならないのでやたら時間がかかる。地元の新聞社で働く友人が言うには、レンズ一本直すのに8ヶ月かかったこともあったらしい。

キヤノンさん、どうにかなりませんかねえ。

出直し

2010-04-02 19:23:01 | 報道写真考・たわ言
結局ビザをおろしてもらうこどができず、飛行機代とホテル代を無駄にした挙げ句みじめな気持ちでムンバイに戻ってきた。
最後のほうは窓口のインド人も僕に同情気味になってくれたのだが、大使が堅物なようで顔さえを見せようとしない。きちんと説明もされず実に理不尽なものだが、どうしようもない。しかし仕事は仕事、DRCへは是が非でも行かなければならない。どうにかして書類を整えて、来週出直しだ。

パソコンに向かって8時間。。。

2010-03-30 02:15:46 | 報道写真考・たわ言
ああ、疲れた。。。

この8時間ほどずっとパソコンの前に座りっぱなしでメールをうちまくっていた。

ある仕事で近々DRC(コンゴ民主共和国)に行くことになったので、ビザ申請のために4時半に起きて早朝の飛行機でデリーにやってきた。しかしいざ大使館の窓口に行くと「コンゴからの招待状がない」といちゃもんをつけられ、申請書を受理してくれないのだ。

以前ナイロビから申請したときはそんなものは必要なかったし、他の書類がそろっているんだからなんとかしてくれ、と粘ったが拉致があかない。これまでの経験上、アフリカ人なら押したり引いたりしているうちになんとかなるものだと思っていたが、今回は窓口がインド人だったのがまずかった。インドは普段はいい加減な奴が多いくせに、こういう役人になるとまったく融通がきかなくなる。上の大使と話しをさせろと言ってもとりあってくれないし、20分ほど頑張った甲斐もなく、こちらが負けて引き上げる羽目になった。

されそれからが大変だった。

DRCには行ったことがないので現地のジャーナリストやNGO関係者にも全くコネがない。ゲストハウスの部屋に籠って、東京の国連関係の人物からアフリカに詳しい記者まで、思い当たる知り合いに片っ端からメールをうったり電話をかけたり。しかし時差もあるのでなかなかコミュニケーションもスムースにいかない。

5時間ほど電話とメール、それに携帯テキストのやりとりをした挙げ句、ようやく紹介してもらった現地のガイドと連絡がとれ、彼から一応招待状を大使館にファックスしてもらうことができた。(余談だがスカイプのおかげで助かった。携帯からこれだけ国際電話なぞかけていたら眼もくらむような通話料になっていたところだ)

そのあとも、すっかりメールモードにはいってしまった頭と身体の勢いで、これまで返事をせずに溜まっていたものや、他の取材関係のメールのやりとりでさらに数時間を過ごす羽目に。ようやく今になって一息つけたので、遅い夕食をとった後、さぼっていたブログも「ついでに」アップしている次第だ。

しかし、ガイドから送ってもらった招待状も、じつに簡素であまり正規のものにはみえないので、また窓口のインド人に明日難癖つけられそうだなあ。。。正直言ってまだ心配は尽きない。

よく転ぶカメラマン

2010-03-13 18:45:56 | 報道写真考・たわ言
つまらぬことだが、最近なんだかよく転ぶようになったような気がする。

それも仕事中にだ。

数日前、州南部の田舎町で撮影中に、たかだか1.5メートルほどの段差のジャンプ着地に失敗し、膝を擦りズボンに穴をあけた。ひと月ほどまえも、足下のくぼみに気づかずに路上でこけ、肘を派手に擦りむいた。転ぶときは反射的に、肩から下げているカメラを守ろうとするため肘を犠牲にすることが多いのだが、このときはその努力もむなしく70-200ミリのレンズが大破。ポケットにいれていた携帯のスクリーンも破損し、そのうえ写真もろくなものが撮れず、という踏んだり蹴ったりの日になった。ちなみにこのときに壊したレンズはもう4週間以上たつのにまだ修理から戻ってこない。。。さすがインド。

もう7年ほど前になるが、友人のカメラマンQさんとイラクやリベリアなどの現場で撮影を共にしていたとき、よく転んで小さな怪我をしていた彼を笑っていたものだ。彼はたしか僕より7、8歳年上のはずだが、いまやそんな僕があちこち身体を擦りむいている。

ひょっとして歳のせい?そこそこ運動もして体力維持には気を使っているつもりだが、だんだんバランス感覚が後退してきたのか。。。いずれにしても高い機材をしょっちゅう壊すわけにもいかないので、すこし気をつけないとな。

「ふりだしに戻る」

2010-02-24 20:38:09 | 報道写真考・たわ言
昨夜、旧知のカメラマン仲間、デイビッドと食事をする機会があった。メキシコ在住の彼はWHO(世界保険機構)の奨学金を得てこの一ヶ月ムンバイで結核問題の写真プロジェクトをおこなっていたのだが、それもあと数日で終わるという。

インド人のカメラマン2人も合流し、今年のワールド・プレス・フォトのことや、日常の撮影のことなど、愚痴も混ぜながらだらだらと話しをしていたのだが、そのなかで僕のボストンでの写真学校のことにも話が及んだ。ほろ酔い加減で家に戻り、布団に入ってから再び写真学校時代のことを思い出し、何年に卒業したかをあらためて思い出してみて少なからず唖然とした。

あれからもう18年になるのだ。

思えば日本を離れてからすでに20年近く。これまでの人生の半分近くを国外で過ごしたことになる。冴えない黄土色のリュックサックを背負い、母親と祖母に見送られながら、今は跡形もなくなってしまった仙台の実家を後にしたことはいまでもはっきりと思い出すことができる。

14年間の新聞社スタッフというポジションを離れ、フリーランスとなったいま、駆け出しだった頃のことを良く思い出すようになった。写真を撮るという根本的業務以外に、編集者たちへのセルフ・プロモーションや写真の売り込みに追われ、その結果に一喜一憂する日々。いまやっていることは、写真学校を卒業したての自分がやっていたこととそれほど変わらないのだ。すごろくでいう「ふりだしに戻る」という感じがしないわけでもない。

この18年の間、歳は確実に重ねてきたが、写真家として僕はどれだけ成長し、何を残してきただろうか? デイビッドのプロジェクトのように、社会的意義のあるテーマをどれほどつきつめて撮ることができただろうか?

あまり深くは考えたくないこの問いを頭の片隅に押しのけて、今日も写真の編集に追われている。

「硬派」雑誌の厳しい未来

2009-12-16 20:39:11 | 報道写真考・たわ言
個人的に付き合いのある東京の編集者からメールがはいった。

彼の関わっている雑誌「フォーサイト」が来年4月号をもって休刊することになったという。

原因は言わずとも知れた売り上げの問題で、会社として「収支改善の見通しが立たない」らしい。

「フォーサイト」は、僕も愛読させてもらっている数少ない経済誌だが、経済関係に疎い僕にも興味深く読める記事が多く、この雑誌からは多くを学ばせてもらった。だから今回の知らせはとても残念に思う。

雑誌休刊のニュースを聞く度に思うのは、出版社にとって、こういう「硬派」の雑誌を残すことはそんなに難しいことなのか?ということだ。勿論売り上げ事情があるのはわかるが、社の中でも売れている本や雑誌があるはずだし、そちらの利益で穴埋めしながら、何とかならないものなのか?

すべてを「売れる」、「売れない」だけで淘汰していけば、行き着く先は知れている。

そういう金勘定だけでなく、たとえ会社が望むほど売れなくても、社会にとって必要な、「発信し続けなくてはならない」情報、というものはあるはずだ。その辺を理解して、損得ではなしに、意義のある雑誌を守る姿勢を貫いてくれる上層部の人間というのはいないのだろうか?

さもなければ、「軽チャーばかりにどっぷり浸かった」日本の総白雉化がどんどん進んでしまうのではないかと、恐ろしくもある。

状況はやや違うが、僕も過去に何度か写真記事を掲載させてもらった「Days Japan」も苦境に陥っているようだ。こちらは報道写真家の広河隆一さんが個人で立ち上げたもので、購読数がそのまま雑誌の将来を決めることになる。海外在住ということで、僕もこれまで定期購読はしていなかったのだが、インドまで雑誌を送ってもらえるようなら遅ればせながら申し込もうかと思っている。

フォト・ジャーナリズムを全面に押し出したこの希有な硬派雑誌には、これからも長生きしてほしいからだ。

ちょっと長いが、先日転送されてきた広河さんからのお願いのメールを転載しておきたい。

~~~~~~~~~~~~~

広河隆一からのお願い(転送歓迎)
 

 DAYSは12月9日に日本写真家協会賞を受賞しました。
写真界では日本でもっとも権威ある団体から評価を受けてうれしく思っています。
フランスのペルピニヤンでの審査員を務めるなど、海外での評価も高まっています。
世界で今ではほとんど唯一となったフォトジャーナリズムの雑誌を絶やしてはいけないという励ましも、多く受けます。
 
 東京都写真美術館では、サルガド展開催中に、DAYSのサルガド特集号は300冊以上を売ることができました。
週末の私の大阪講演で、年間定期購読者は19人増え、これでキャンペーン開始からの新規定期購読者は、370人になりました。
私の写真展を開催していただいている三重県の宮西さんのメールが発信されてたった1日半で、
21人の方々が定期購読を申し込んでくださいました。これで390人になりました。
(宮西さんのメールは添付しますので、転送歓迎で広めてください)。
DAYSが存続をかけたキャンペーンをしているということを聞いて、朝日ニュースターの上杉隆キャスターは、
22日(火)の8時から生放送を準備していただいています。
皆さんのおかげで、DAYSはなんとか6周年に向けて進んでいます。
「500人定期購読者が増えれば、存続できます」というキャンぺーンの500人という数字に、あと110人に迫ってきました。
 
 しかし正直言いますと、DAYSはまだ6周年を迎える3月以降も存続できるかどうか、
確約することはできない状況です。
お金が全くないというわけではありません。
DAYSはこれまでまったく借金をしないで、6年近く続けてきました。
そしてまだ私たちが手をつけていないお金があります。
それはDAYSにもしものことがあって、休刊せざるを得ないことが起こったら、
すでに定期購読をしていただいている方々に、残金を返金するためにとってあるお金です。
このお金に手をつけざるを得ない状態になりそうになったら、私は皆さんに事情をお話して、
DAYS休刊のお知らせをする覚悟でいます。
 
 営業や拡販をする立場から言いますと、年末年始の休暇は、恐ろしい時期です。
この時期には書店に行く人は激減し、すべての雑誌の売りあげが低迷するからです。
今出ている12月号は店頭からあと数日で姿を消し、1月号が書店に並びます。
しかし世間はすぐに年末・年始の休暇に入るのです。
 
 その前にこのメールを出しておきたいと思いました。
「努力すれば続けることができたのに、しなかったから休刊になった」
などと、あとで後悔したくないからです。
 
  これまでDAYSを支えていただいた方々にお願いします。
 
 まず定期購読をお申し込みください。
年内の特別キャンペーン中にお申し込みいただけますと、定期購読料は7700円と1000円引きになります。
かつて購読していただいたけれども、最近は購読を止めているという方は、もう一度購読をご検討ください。
すでにご購読いただいているは、周囲の人に広めてください。1人でも2人でも増やしてください。
定期購読期間がまだ残っている方も、継続手続きを今していただけますと、7700円になります。
 
 あと数日で書店から姿を消す12月号も、読んでいただいた方からは、高い評価をいただいています。
まだお読みになっていない方は、ぜひとも書店でのDAYSを購入してください。
書店の人に、「おや? DAYS販売の流れが変わってきたな」と思わせるような、動きを作りたいのです。
 
 ボランティアの方々にお願いします。さまざまなイベントでのご支援、本当にありがとうございました。
物販、定期購読拡大、周囲の人へのDAYS購読呼びかけなど、いま一度のご支援をお願いします。
 
 
 
DAYS JAPAN編集長
 
広河隆一
 
 
 
≪定期購読は下記の方法のいずれかでお願いします≫
 
方法①
DAYS本誌48ページ綴じ込みの振替用紙、または郵便局備え付け振込用紙にて7700円のご入金
(通信欄に、◆存続キャンペーンお申込みの旨◆お名前◆ご住所◆電話番号◆希望購読開始号をご記入ください)
 
方法②
FAXにてのお申込み
◆存続キャンペーンお申込みの旨◆お名前◆ご住所◆電話番号◆希望購読開始号
をご記入頂ければ別用紙でも結構です。
(後日お手元に払込用紙とDAYS JAPAN本誌をお届けします)
FAX 03-3322-0353
 
方法③
E-mailにてのお申込み
 
◆存続キャンペーンお申込みの旨◆お名前◆ご住所◆電話番号◆希望購読開始号
をご記入の上弊社まで送信ください。
(後日お手元に払込用紙とDAYS JAPAN本誌をお届けします)
E-mail info@daysjapan.net 
 




ちょっとしたいい経験

2009-11-14 19:32:21 | 報道写真考・たわ言

先週末銀行のATM(自動預け払い機)で現金を引き落としたあと、うっかりしてカードをそこに忘れてきてしまった。さらに間抜けなことに、それに気づいたのがそのまた2日後。

とりあえずネットで残高を照会してみて、他人に引き落とされた様子はないので安心したが、アメリカの銀行のカードだからこれを再発行してインドまで届くにはえらく時間がかかる。もしカードを見つけた人がよほどの正直者だったとしても、不効率を極めたようなこのインドで、まずカードがみつかるわけはないよなあ、とあきらめつつも、一応ATMの場所に戻ってみた。

ATMには普段セキュリティーガードが常駐しているが、英語が通じない。地元の友人に電話での通訳を頼みながら彼に尋ねてみると、とりあえずはダウンタウンの支店に行けという。

渋滞の中タクシーに乗って40分あまり。支店で訳を説明すると、15分ほど待たされた挙げ句、カードが見つかったから1時間後に戻ってくるように、とのこと。

「!!!」

99パーセントあきらめていたので、その答えが信じられなかった。

それまで僕は知らなかったのだが、預金者がATMでカードをとり忘れた場合、15秒ほどでそのカードは機会の中に収納されてしまうのだそうだ。一日の終わりに管理会社が現金を補充しにくる際にこういうカードが機会の中から見つかると、中央管理局に届けられるシステムになっているという。

官僚主義とビジネスのあまりの効率の悪さに閉口していた僕も、無事にカードを手にして少しばかりインドを見直したのだった。

明日から北部のジャイプールに4日間ほど取材に出かけてくる。これまで雑用に追われてゆっくり撮る時間がなかったので、久しぶりのいい機会だ。

写真酷評

2009-11-05 01:55:02 | 報道写真考・たわ言
ずいぶん前回の書き込みでは自分の写真に対してクソミソに書かれてしまったが、たかがブログに載せた写真1枚2枚をみただけで、まあよくも「会社の力がおおきかった」だの「腕が落ちた」だののたまってくれるなあと思う。その絶対的判断力にはこちらが感心してしまうほどだ。

いちいちそういうコメントに目くじらをたてるほど暇でもないのだが、こういう理不尽な中傷をうけ続けるのもあまり気分のいいものではないので、いちおう釈明くらいはしておこう。

ここインドでは、日本やアメリカに住んでいると想像できないほど物事の進むスピードが遅い。アパート探しやビザの更新、携帯電話やネットの契約に何日も何日も気の遠くなるような時間と労力をとられながら、引っ越してからこの4週間、撮影に出かけられたのはほんの3、4日だけ。まともな撮影取材などようやく始動したばかりだ。

少しは気に入ったものも撮れはじめているが、それでもそういう写真はこの時点ではブログには載せられない。ブログに載せてしまえば、それで世間に発表してしまったことになるから雑誌やその他メディアに売るときの価値が落ちてしまうからだ。ブログはあくまで日記のようなもので、収入になるわけでもないし、そこで写真をみな発表してしまってはこちらの生活が成り立たなくなる。

これまでは新聞社のスタッフだったから撮ったものはトリビューンに掲載されるし、写真が新鮮なうちにどこかに売らなくては、という心配はなかった。

いまはフリーだから自分の撮った写真の扱い方も大きく変わっているのだ。

。。。。ああ、ここまで書いて、なんでこんなことをいちいち言い訳がましく書いてるのか、馬鹿馬鹿しくなってきた。

やることは山ほどあるし、時間をもっと有効に使わなくては。。。

さらに写真酷評をしたい方はご自由にどうぞ。ただ、せめて名前かペンネームくらいは名乗ってもらいたいものだけれどね。




そろそろ始動

2009-10-25 19:33:24 | 報道写真考・たわ言
ようやくアパートが決まりそう。先週決まりかけたアパートは、あまりに金に関して計算高い大家とそりが合わなくて交渉決裂してしまったが、今度の大家は正反対に実に穏やかで人がいい感じ。今週賃貸契約をかわす事になっているが、スムースにいくといいんだけど。。。

しかしムンバイでの賃貸は実に面倒くさい。

家賃の高さは勿論のこと、敷金も数ヶ月分、そのうえ何ヶ月分もの家賃前払いを求められるのが通常だ。先週の大家など、はじめはまるまる12ヶ月分の家賃前払いを要求してきた。そのうえエージェントにも報酬金を払わなくてはならないし(通常は1ヶ月分の家賃、)ここでははじめからまとまった金がないと部屋を借りるのが非常に困難だ。エージェントによれば、これはどうやらムンバイだけの話しで、デリーや他のインドの都市ではこんなにはじめから金のかかるシステムではないらしい。
そんなわけで、これまでの貯金にどかんと大穴があくことになってしまった。

アパート探しや雑用の合間を縫って、なんとかぽつぽつと撮影し始めた。 いい加減、そろそろ始動、といったところだ。

地元のカメラマン達や、ガイド達ともそこそこ知り合うようになって、だんだんと土地勘もついてきたし、ここではいくつも手がけたいストーリがあるので、アイディアには不自由しない。

まず手始めに、水不足に関する問題と、インドの労働者たちをテーマに撮っていこうと思っている。

ムンバイ到着

2009-10-10 00:42:04 | 報道写真考・たわ言
16時間の飛行の末、昨夜遅くムンバイに無事到着。空港を降りたときの、あの西アフリカを思い出させるようなねっとりと肌にはりついてくるような生暖かい空気がなぜか妙に心地よく感じられた。

多くの写真機材をはじめ、防弾ベストやヘルメットなど「怪しい」荷物が多かったので税関を抜けるのが心配だったが、運良くカメラ機材のケースをひとつ開けられただけで放免。ほっと胸をなでおろしたのも束の間、タクシーの運ちゃんがホテルの場所を探せずに四苦八苦。30分以上時間を無駄にしたあげくにようやく深夜過ぎに到着することができた。

今日は朝からアパート探しで1日中を費やし、ちょっと風邪気味のうえ睡眠不足、さらに食事もろくにとる時間もないほど忙しく物件をみてまわったので、さすがに疲労困憊。

本当は今夜は早めに寝床にはいりたいところだが、地元のカメラマンから連絡が来て、これから飲みにいくことになってしまった。いろいろ情報も仕入れておきたいので、こういう誘いは断り難い。壮年男は体にむち打って夜の街にでかけてくるのだ。。。