Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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雪のシカゴに。

2005-12-09 13:39:15 | シカゴ
空港につくと、ぴりぴりと肌に突き刺すような冷たい風が顔を襲ってきた。

前日のものがまだ残っているのだろう、地面は白く雪で覆われている。

一ヶ月半ぶりにシカゴに戻ってきた。

気温26度のアフリカから、マイナス4度のシカゴに急降下だ。

アパートに戻ると、部屋は出て行ったときのまま。何も異常はなかったようだ。建物が火事になったり、泥棒がはいったとしても、僻地で取材中の僕の耳には恐らく入ってこないだろうから、1ヶ月以上留守にしていると少しは心配になるものだ。

荷物を整理をしていると、雪が降り始めた。

子供の頃、恐らく誰もがそうであったように、僕は雪が大好きだった。
社宅団地に住んでいた僕は、庭で雪だるまをつくったり、雪合戦をしたり、真っ白な雪が空から降ってくるとわくわくしたものだ。

しかし、雪の多いボストンの生活を経て、僕は雪が大嫌いになった。

道路が渋滞する、路上駐車のスペースがなくなる、事故がおこりやすい。。。雪が積もると面倒なことばかりになる。吹雪がきて積雪量が増えると、埋もれた車を雪からかき出すのが大変な苦労になる。やっとこさ雪かきを終えても、雪は容赦なく降り続き、翌朝にはまた同じ苦行を強いられることになる。しんしんと降り続く雪を窓から眺めながら、僕はよく悪態をついたものだ。

シカゴに引っ越して、車庫のあるアパートを借りられるようになったので、とりあえず雪かきからは解放された。それでもやはり地面に積もっていく雪をみていると、心中穏やかではない。

雪そのものが嫌いなわけではない。

もし僕が休暇中で仕事をする必要もなく、何処かの山奥や田舎町でのんびり過ごしているとしたら、雪もまた違ったものに感じられるのだろう。しんしんと降る雪を眺めながら、暖炉のある部屋でくつろいだり、またはコタツに入って仲間と鍋などつついているとしたら、それはまたオツなものだと思う。

要するに普段の生活のなかで、雪のもたらす実害に我慢がならないだけなのだ。スキーなど冬のスポーツもしたことがなく、雪の降る時期にゆっくりと休暇などとれない僕にとっては(実際にアメリカに来てからの15年間、年末年始に日本に帰れたことなど一度もない)雪は頭痛のタネ以外の何者でもなくなってしまった。

午後10時半。静かに降る雪はいまも地面に積もり続けている。。。