ドーパーはすべてを奪う。人の勝利も自分の未来も。
2008年7月、本来ならこんな見出しが自転車サイトを踊ったはず。
Nordic Trecker: NEWSFLASH - Kirchen wins stage 4 time trial and takes the jersey, Millar at same time
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ミラーはドーピングの発覚で2003年のタイムトライアル世界チャンピオンのタイトルを剥奪される。その剥奪されたマイヨアルカンシェルを、本来手にする筈だったマイケル・ロジャースが受け取ったのは、翌年の世界選TT当日だった。大観衆に祝福されることもなく、
中庭みたいなところでひっそりと…。
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出場停止やタイトル剥奪は当然の報いと思いつつ、それでも私はしばらくは、案外クスリというのはそれほど効力がなく、クスリとはみんなもやってるからやらなきゃ負けるという強迫観念を払拭するようなもので、クスリをやってなくてもミラーが勝ったに違いないとじめじめ思い続けた。
しかし、いろいろと見聞き、読むうちに、それは大間違いだと気付く。“お守り”程度じゃドーピングなんて危ない橋は渡らんて。本物のトップアスリートで実験は出来ないので(苦笑)誤差は生じるだろうが、己の運動能力をクスリで10%向上させることが出来るという。クリーンな選手は、飛び道具を持った敵に丸腰で臨むようなものだ。そりゃロバをサラブレッドにはできないが、なかなかのサラブレッドを物凄いサラブレッド変身させることはできる。
だから、どっかの解説者みたいに「それでも彼は私のヒーローです!」なんて、とてもじゃないが思うことができない。ドーピングで勝ち取った勝利なんて、全部まがいものだ。やってたって発覚したら、記憶からその走りを削除できる(こういう風に思えるまで結構時間がかかったけど)。じゃなきゃ、勝利のために無茶苦茶努力してるクリーンな選手に申し訳ない。
ツール・ド・フランス 2008。Stg. 4でキルシェンがステージ優勝し、マイヨジョーヌも手に入れ、ミラーは100分の数秒の僅差で2位に敗れ涙を呑み、Stg. 20ではカンチェラーラがステージ優勝、そんな妄想に耽った。空しいことだが。
TTだとこんな妄想が可能だが、マスドレースじゃこうはいかないかも。ややこしい。後ろの方にいたスプリンターが「奴がいなくて展開が違ってたら、俺が優勝してた」とか言い出しそう。
あの日のレースもポディウムも二度と戻ってくることはないのだ。
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アムステルキュラソーレースが、シューマッハーの招待を
嬉々として報告してるorz むっちゃタイミング悪い。。。