熊本熊的日常

日常生活についての雑記

バターは抽選

2011年11月11日 | Weblog
生協の宅配の今週のカタログではバターが抽選だ。昨年夏の猛暑と今年の震災の影響で日本全体として乳製品が品薄になっているらしい。乳製品に関しては一年を通じてヨーグルトをほぼ毎日食べており、夏場を除いて牛乳も愛飲している。どちらも生協の宅配を利用しており、北海道産の原乳だそうなので、震災のときも比較的早い時期から流通が回復した。その生協ですら、バターは未だに供給が不安定なのである。街中の小売店に行けば、それでも品物は手に入るのだろうが、生協を利用する理由のひとつは、産直品を愛用することで、日本の農業に微力ながらも参加したいという気持ちがあるからだ。

消費者を馬鹿にした経営を続けたあげくに破綻した破廉恥で有名な乳業組織もあったが、農業やその関連事業というのは、本来、真面目に取り組まなければ継続できない性質の事業だ。土地や家畜や作物は正直なもので、手入れするべきときに適切に手を入れなければ収量は増えないし、翌年、翌々年の生産にも支障をきたしてしまう。助平心を出して農薬や化学肥料を多用すれば、その時は生産性が上がるが、化学物質が過剰に蓄積されることにより、消費者の健康を蝕む物質を産み出したり、生産現場を汚染して再生が困難になるなどして、最悪の場合は事業そのものを継続できない事態に陥ってしまう。

市場原理のなかで生活しているのだから、事業の存続のためには生産性の向上を常に考えなければならないのは当然だ。しかし、市場の参加者は人間だ。価格というのは購買行動を左右する重要な要素であることには違いないだろうが、特定のパラメータだけに反応するような単純なものではない。熟慮を重ねた上で主義主張を持って行動すれば、必ず賛同者は現れるものだと思う。殊に食というのは生命維持に直接関わることである。現に産直により生産者と消費者が結びついている事例は生協だけのことではない。市場原理においては、マスにばかり関心が向かいがちになるが、それが世界の全てではないのである。

もちろん金銭は大事だ。それなしに生活はできない。しかし、それが主であるような生活が幸せなこととは、自分には思えない。主張のある生活、主張のある行動を常にこころがけていきたいと思っている。