熊本熊的日常

日常生活についての雑記

大気の実感

2010年06月23日 | Weblog
木工で製作中のレターケースが大詰めを迎えた。前回、引き出しの調整をして、5段あるどの引き出しも問題なく開閉できることを確認した上で、仕上げのオイル塗装のためのマスキングをした。今日、オイル塗装を行い、マスキングを剥がして引き出しを入れてみる。下から順々に入れていくと3段目あたりからきつくなり、最上段は半分ほどしか入らない。

今日は夜明け前から朝方にかけて激しい雨が降っていた。マスキングをした日は晴天だった。湿度が上昇したことで、木が大気中の水分を吸収した上に、オイルを含んだこともあって、全体として膨張したのだろう。見た目にも引き出しの前板が上下方向に微妙に大きくなったような印象がある。

先生とふたりで、引き出しの当たっている箇所を見つけ出しながら、丹念に鉋をかけて調整する。最下段以外はどこかしら鉋をかけ、ようやく全ての引き出しが収まるべき状態に収まった。

これで来週までオイルを乾燥させ、裏板を嵌めて全体を布で磨いて完成となる。3月17日に作り始め、週一回のペースで、途中休講も挟んだので、実質的には3ヶ月の工程となった。再来週からは、普段使いの食器を収納する木箱を杉材を使って作るつもりでいる。まだ詳細が固まっていないので、今抱えている端材で陶器を収める箱を先に作るかもしれない。

木工からの帰り道、巣鴨駅から程近いCha ba naという店で久しぶりにビルマ素麺を食べようと思った。生憎、ビルマ素麺は売り切れていたので、トムヤム・ヌードルをいただく。トムヤムは辛そうなので敬遠していたのだが、たいへんおいしかった。スープをスプーンで掬いながら、何を使って作っているのだろうとスプーンのなかの固形物を探索する。香草やスパイスの滓のようなものに混じって干し蝦の姿がある。ロンドンで暮らしていた頃、近所の中華食材店で調達していた干し蝦は重宝していた。見た目はどうということのない乾物なのだが、けっこう値段が張るものだ。その分、味に対する効果は抜群で、スープ類にしても煮物などにしても、炒め物に散らしても、一味旨味が増すのである。帰国してからは、干し蝦に代わって大和屋の鰹節が大活躍しており、日々の料理に干し蝦を使うことはなくなってしまったが、こうして目の前にあるとまた使ってみようかという気にならないこともない。

今日は朝方の大雨で暑さはそれほど感じないが、梅雨時とはいえすっかり夏である。こんな陽気には、暑い地域の料理がおいしく感じられる。木工で湿度を実感した後に、アジア料理でモンスーンを感じる。家に帰ってから、先日京都の一保堂で買った薄茶を点てる。器は焼きあがってからまだ使っていなかった並信楽の茶碗。見た目に使いやすそうだと思っていたが、使いやすい良い茶碗だと自画自賛。