くまぐー日記

くまさんの電脳室リポート

アラブ社会

2012年05月16日 | Weblog

■ラテンドングリでサルサの練習をする時、ドバイから来たイラク人のサムをピックアップして行くことが多くなった。彼は福大で知能システム工学を勉強している留学生だが、彼女と一緒に踊るのがすきでいろんなパーティに顔を出している。日本語はかなりわかっているようだがいつも早口の英語でまくしたてて、あまり日本人とは話さないようだ。車の中では僕と英語でよく話すようになった。

アラビックの文化は日本人にはまだまだ知られてない。イラクとお隣のイランという国の違いさえ知らない日本人は結構多いのではないだろうか。文化も言語も全く異なる異民族なんだが、、、そんなこともあって彼との話は僕としても興味が尽きない。ドバイは砂漠だから暑いんだろうと思っていたが、ドバイの生活はどこに行っても空調の完備した室内なので寒いくらいだそうだ。誰も砂漠の戸外などには出ないのだそうだ。

オイルマネーのある国は違う。学生はどんな学科でも卒業して入社すればすぐ管理職のマネージャーになってしまう。だから技術専門職が育たないので、現場はすべて外国人まかせ。アラブ人が公職の人事を握ればこねで要職は仕事のできない縁故関係で占められ公務がまともに機能しないという。ここはこね以外に就職の可能性はないようだ。少数の並外れた金持ちは、することがなく食うだけで動くこともしないのでみんなぶくぶくに太って、、、。だから彼は日本にいる間にボディビルドでダイエットに励んでいる。彼は、国民の9割以上の外国人によって維持されているような、こういう国に将来はないと考えているようだ。

ドバイは働く場所ではあっても住む場所ではないと思っている。日本は住むにはいいところだと思っているのだが、日本人、とくに女性には感覚的にも全く馴染めないんだという。日本人女性とは考えがあわないというか、まるで能面のように無感動だと感じているようだ。つい、それは一面的じゃあないかな、いろんな人と知り合うと考えも変わるだろうといってみたが無駄だった。アラブ世界とのカルチャーギャップは想像以上のようだ。彼にはアメリカやカナダのほうが馴染みやすいと考えている。

アラブ社会では交通事故を起こしただけで部族のメンツを穢したということで刺客を送られるような風習すら昔のことではないようだが、一方で女性が肌や髪を見せたりすることにも今は全く抵抗がなくなっているという。セックスや恋愛観も随分違うようだ。彼が一番気が合うというタイ人の彼女との間も生々しく複雑な人間相関関係に陥っている話など聞かされると、どうしてこうも彼らはストレスに満ちた生活を耐えながらわずかの時間を情熱的に生きようとしているのだろうと感心してしまう。若さのせいだろうか、それとも彼の言うとおり日本社会がヘンなんだろうか?

確かに夜中部屋に女性を連れ込んで騒いだりすれば不謹慎、不道徳のそしりを免れない日本社会にあっては全くちがう価値観で見ると日本は規制と差別でがんじがらめの社会だという認識を日本人の多数が理解できないこともやむを得ないことかもしれない。本音と建前の話にしても既に本音の価値観のレベルで違っている。英語のコミュニケーションの限界を超えた領域だから認識の相違はもう理解できない。もう文化が違うとしか言い様がないが、ただ彼らが真剣に真摯に毎日を生きている情熱はひしひしと感じた。

日本の若者たちが彼のような異邦人とのコミュニケーションを持とうとしない限り日本人の国際感覚、政治外交が進化する望みはない。英語が苦手だから、という理由であればそれは日本の英語教育の悪さを口実にする人種差別主義者のたわごと。皮肉なことに英語教育が日本人の国際理解を妨げていることになる。

その日の帰り道の車中彼はひたすらしゃべり続けた。


 

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