随想ー「壊れた国の男と女」

2011年02月10日 | 随想
ある夜、日記を書こうとしていると、幾つかの言葉が数珠を
つなぐように自分の指の先から流れ出していた。

その後、最初の想いの先を探りながら、少しずつ書き加えたり、
時々横に置いて眺めたり、消したりしている内に、散文と詩の
合いの子のような奇妙な文章が生まれてきた。それでも、
自分にとっては、一つの意味のまとまりになったような気がする。





「随想ー壊れた国の男と女」

街に住む女の人たちは、誰もが知らない過去を持っている。
時々、箪笥や抽斗から取り出して、まるで
懐かしい古い着物を眺めているよう。

可愛い話ぶり。素敵だね。
僕なんかは遠い春のことばかりが気にかかる。

互いを呼び合う声の中、自分の声だけを聴いている。
夏の緑、雪風。背中合わせの声。
壊れていなかった過去が、壊れていなかった国が
あったかのよう。

僕達は建前と本音の国。
僕達は壊れた国の男と女。
壊れた国に、見果てぬ夢だけが留まるのだろうか。

男も女も一緒になって、壊してきた。
夏の緑や人の結びつき。

玉葱を剥くこと。生きること。
壊れた国にある希望と絶望。

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