「子供達に残せるもの - 共に過ごした時間」

2016年11月30日 | 日本の「旅」

(改築中の窓から望む、真如堂と東山)

日本、京都に着いて、戻って10日。
1週間前に到着した次男に続いて、末の娘もウイーンの大学を1週間
サボって、後続で到着しました。

57、23、21才の親子三人合わせて101歳のミレニウム。日独家族が
京都に初めて持つ小さな住まい、そのリフォームの現場をテーマに
毎日愉しく弥次喜多道中をしています。

(宗忠神社の境内に面した開口部、近さんと庭の木の柵の高さを
現物でシュミレーション、ドイツの建築家だとここまでは
やってくれないだろう。)

(吉田山の家を始めて尋ねる末娘と次男の記念撮影)

(いつも、左京区の窓のようだったハリーナさん。閉店前に
改築チーム全員でお昼ご飯)

そんななか、タイ在住の料理人の友人に「また、日本で会いたいね!」
と連絡したところ、「今年はあなたにとって、大きな変化、決断の年、
どんな気持ちか今度話してね。」との返信がありました。

そう言われるとその通り。今回の三人の旅。吉田山の小さな家、これ
からの人生でもあまりないことだろうと思い、この10日間の記録を
写真日誌でとっておこうと改めて思いました。
「自分の手に余ることをしているのではないか?」と、夜中に目が覚
めて、不安になることもありますが、それも良し。

人生70年。やりたいことはしっかりやろう。子供達に残せるものは残
していこう。そして、それは父親と過ごした時間、互いのしっかりした
経験のみだろうと思う次第です。 

 

(子供達が小さい時から、京都の叔父さんのように慕ってきた
はんちゃんとゆかりさん、それに器の吉井さん
としくんとゆきちゃんの「出町うさぎ」で。
子供達はずっと忘れることはないと思う。)


秋にはいろいろな色がある

2016年11月24日 | 京都の一日

自分の生まれ育った国に戻って三日目。
京都の街を歩き、大阪に人を訪ね ...。
此処彼処、あまりに刹那に、物質に生きるこの国の風景。
僕はそこからは目をそらし、秋の大空を見上げる。

 

秋にはいろいろな色がある。

  

秋は黄色。
秋は朝の光。

秋は静かな歓び。
自らにしたがいつつ、
今、此処にあるように。

実りの秋。
心が平らであるように。


京都に着いて - 真如堂近くの小さな住まい

2016年11月23日 | 家族

京都に着いて二日目です。昨日の朝は御所の中を自転車で散歩しました。
秋の朝の光が印象的でした。

午後には真如堂にも足を運びました。僕たちの小さな住まいもその形が
少しづつ見えてきています。有り難く、良い一日でした。

うまく表現できませんが、昨日のような特別な日に、僕個人が
こうしていられることは本当にありがたいことでした。
真如堂の近く、吉田山の小さな家もいよいよ本格的な工事に入りました。

疋田さん、近さん、本当にどうもありがとう。


「www.culina-Japan.de」- ドイツで和食を伝えること

2016年11月21日 | 日本の「食」

三ヶ月ぶりの日本、今は飛行機の中。約11時間の飛行時間もようやく
半分が過ぎ、機内の照明も消え半分闇の中、一人で自分の最近の仕事
や暮らし振りを落ち着いて見つめることの出来る貴重な時間です。

さて、30年近く産業通訳翻訳や語学学校の本業を営む傍ら、今日まで
約15年、ドイツの人達に日本の天然調味料や和食の文化を伝える活動
を、「クリナ・ヤーパン」という会社名のもとで行なってきました。

残念ながら、一度も利益を出したことのない会社です。
その中でいろいろな紆余曲折や長い中断がありましたが、今後の新たな
展開を考えて、初めて本格的なウェブサイト、ホームページを作りまし
た。

www. culina-Japan.de というアドレスです。 

サイトの基本的構成や各テーマだけでなく、過去の料理コースや刃物講
習会を基にした紹介スライドの作成、何千枚に渡る食材やレシピの写真
の整理選択、一つ一つのドイツ語の説明文や記事の執筆をスタッフの
協力やサポートを受けつつ、全て自分の力で行いました。

約7週間、毎日ほぼ朝から晩までの集中的な作業となり、日常生活も
ないがしろにする心身ともに随分としんどい仕事でした。
また、期せずとも過去15年間の自分の仕事の内容やその杜撰さをはっ
きり振り返ることともなりました。

一つ、その中で嬉しいこと、ないし、この作業の原動力となったのは、
小さい時から和食のことだけは毎日の食事の中で伝えていきたいと思
っていた日独ミックスの三人の子供達がドイツで若者となった今、
自分がこの15年間どんな思いを持って食の仕事をしてきたのか、それ
を目に見える形で、彼らの母国語であるドイツ語で書き表しておきたい
と思っていたことです。
それがひとまず最低限は出来たので、だいぶホッとしました。心の中の
荷を少し下ろせた気持ちです。

さて、今回の作業をしてみて、その中で分かってきたこと、やはり本当
にやりたいと思ったことは、自分の料理を丁寧に心愉しく作ること、そ
れを読みやすいドイツ語で語っていくことです。

60歳に近づいていく来年以降は、こんなことを毎日の暮らしの一つの
柱にしていきたいと思います。また、その中から、ドイツの人にも役立
つ和食の料理本のようなものが生まれてくればそれは嬉しいことです。

出来れば、美味しい白和えのようにレシピと食の随筆的な文章が一体
なったようなものが書ければと思います。

今回、日本に出発する前にはなんとかと思ってきたこのドイツ語のサイ
トが昨日の夕方、ひとまずは完成したので、自分の一つのけじめ、大き
な区切りとなりました。この先の足固めが少し出来た気持ちです。
それだけに今回の京都の滞在が本当に楽しみです。今年の春からの京都
の小さな住まいのプロジェクトも本格的にスタートしています。

日本、京都の友人、知人の方々、もうすぐ関空に到着します。では、
一人一人にお会い出来るのを楽しみにしています。また、ドイツ語の
サイトの方もよければ覗いてみてください。


「ママラインの誕生日 - 家族でケルンに遠出」

2016年11月06日 | ドイツの暮らし

秋深まるドイツ、今日は家族の中心、ママラインの誕生日、普段は足
運ばないケルンに遠出しました。

「ケルン大聖堂、リヒターさんのステンドグラス」
本当に見応えがあります。

 

さて娘と妻と三人でケルンで開催されているビーガンのメッセを覗いた後は、
息子達二人も加わって家族全員で大聖堂近くの昔々からの古いビール
酒場で珍しくドイツの郷土料理を楽しみました。



その後、全員でケルン放送交響楽団のコンサートに行きました。 



曲目はオルフェウスの神話。

黄泉の国から再び現世に自らの最愛の人を取り戻すのに、その道中一度
でも振り向いてはいけないという話。
今の時代からすれば本当に昔々の
純愛物語かもしれません。
とは言え、何十年と暮らした夫婦でも、日常、
互いを見つめ合うことや
手を握り合って散歩に出かけるようなことがあ
る方がいいですね。

互いに人生一度限りなのですから。

 

 


一足先に来た秋 - ドイツから日本につながる思い

2016年11月03日 | ドイツの暮らし

今から8年ほど前、今の自宅を購入し全面改修を計画している際に
「この土地で、これからもずっと歳をとって生きていくならば、
ここをひとつの終の住処とも思い、子供達三人にも日本の住まい
の文化を伝えたい、残していきたいなあ」と思いました。 

それで、東京、京都と日本の木造、伝統建築を中心とした建築事務所を
2年ほどかけて探しましたが、皆、西欧由来の現代建築に軸足があり、
自分の感覚にはどうしてもしっくりきませんでした。
その中で最後の最後、ようやく出会ったのが京都の四条河原町を少し
下がったところにあった「アトリエ Ryo」という建築事務所でした。
所長の木下さんとスタッフの近さんにはその後大変お世話になりました。 

室内の地下の和室の空間だけでなく、掘り下げた内庭とも
ひと連なりの連続的な空間として基本設計を頼みました。

それから約8年たった今年の秋、その内庭もだいぶ落ち着いた
感じとなりました。

当時、近さんには京都、滋賀高島から大工さんと左官さんを
引き連れて、改修の仕上げに3週間ほど来てもらいました。

今考えても僕の人生ではまさに一世一代の大仕事だったなあと思います。
その後、今年になって思いもかけず、京都の吉田山の近くに小さな
住まいを求めることとなり 、今はひとりで独立した近さんに
もう一度お願いできることとなりました。

今回の方が、前回よりもさらに大きな仕事かもしれません。
僕自身も経済的にもギリギリのところで、乗るか反るかの
大変な作業となっています。

それでも、家族一同、自分の判断と近さんの技量、人柄を信頼し、
なんとか日本、京都に初めての住まいを築こうとしています。
真如堂の三重塔が見える落ち着いた場所です。 

そんないろいろな気持ちが、今年の秋はドイツの庭にいても
頭を巡ります。