「ドイツで作ろう、日本の美味しいごはん」
初夏の風吹く、夏バージョンで!
日本でも、ドイツでも、
「郷にいれば郷に従え」と言われると、
僕はなんかカチンとくるけれど、
「郷にいれば、そこにはきっと美味しいものがあるよ」
と誘いかけられると、
「ヤー・ヴォール! その通り!」とつい答えてしまう。
ドイツの初夏の美味しいもの。
沢山の、僕が日本語では名前も知らない、数々のベリー。
それで作るお菓子。
夕餉に庭で食べる、黄色のパプリカと赤のパプリカのムースに、
しっかり水抜きしたトーフのピューレを加えたポタージュ。
白アスパラに美味しいチーズを振りかけて、オーブンで熱々に焼いたもの。
そして、爽やかな葡萄の香り立つ、きりっと冷えたビオの白ワイン。
せっかく日本でドイツ料理のことを話すなら、こんなことも紹介して
くれれば、本当は嬉しいのだけれど。
「君よ知るや、ドイツの国…」
初夏のご飯。
「ドイツで作る日本のご飯」そんなことを三人の子供達が小さかった
二十年前から、いつも考えてきた。
さぁ、今日は何が出て来るのだろう!
まずは塩もみした浅漬けと塩煮した赤パプリカのムースを食卓へ。
今日はお菓子コースの日。
人生三回目のお菓子レッスンでした。
今回のテーマは、今が旬のドイツのいろいろなベリーを載せた、
本格的なミニタルトです。
その後は自家製グラノーラも作りました。
これは元々はドイツの70年代に若者達が再発見した農民の伝統食
ミユースリの発展版です。
今回も先生の説明と周到な準備におんぶにだっこですが、
お菓子作りの楽しさが少しずつわかって来た感じです。
また、来月が楽しみです。
日本からドイツに戻ってちょうど一週間。
その間に南ドイツ・フランケン地方への出張4日間。
食べるものも飲むものも、僕の気持ちもまたすっかり
メードインジャーマニー!
出張中は毎日、朝早くから夕方までずっと仕事。
その後は直ぐに一人で森の中の屋外プールに直行し、
大きく伸びをして、何度も大空を仰ぎ、夕方の太陽をたっぷり浴びる。
一瞬、ぶるっとする冷たい水の中に飛び込んで、1000m程、
クロールで泳ぐ。
静かな幸福感。
そしてひとりの夕飯。
南ドイツの村の地ビール。今が旬の白アスパラのクリームープ。
ドイツの伝統的肉団子(これが戦後、世界中に広まったハンバーグの
元祖だろう)にグリーンペッパー・ブラウンソースをかけて。
或いは仔牛のカツに粗挽きソーセージ、じゃがいも団子にソースを
たっぷり等など。
中世からの古い村には、石畳の道を走る自転車がよく似合う。
そして透き通った高い空。
きらきらと輝く若葉の光と影の間を吹き抜けてゆく、柔らかな風。
上下や男女の違いに左右されずに、分け隔てなく使える言葉達。
はっきりとした表現、ひとの表情。どんな時でもその人のままで
あり得る可能性。
僕のふるさとはいつまでも日本だけど、僕には、このドイツの国で
35年の間に自然と身についたものや、好きになったものが沢山ある。