京都からドイツへ - 朝の錦市場で

2017年02月23日 | 日本とドイツの手仕事

朝の錦で、ドイツへのお土産の京都の野菜を袋一杯買い込み、
一路、東京羽田空港へ。

京都、吉田の家改修チームのみなさん、今回も本当にお世話になりました。
去年の夏、猛暑の中で始まった工事、4月の桜の頃までには仕上がるだろうか。
今後とも是非よろしくお願いします。 

今回はたった4日の弾丸旅行。会えなかった京都の友人、知人の方々。
桜の頃にはまた会えることを楽しみにドイツに帰ります。

ではまた、アウフヴィーダーゼーエン


「日本の手仕事 ー 懐の深い器」

2015年04月09日 | 日本とドイツの手仕事

日本から新しいお皿が届きました。黒釉の深い落ち着き、清楚な
青い白釉、どちらも静かな芯の強さを秘めた器です。



京都亀岡の陶芸家、吉井さんの陶器に出逢ってから約十年、
少しづつ各種の器を求めてはドイツに持ち帰り、我が家の料理の
伴侶としてきましたが、今回は初めて自ら器自体の形状や釉薬の雰囲気、
使い勝手を考えて、自分の料理と家族との食事のために注文した
オリジナルの角皿です。

桜咲く春の陽光の中、妻と娘と一緒に荷を解きました。



軽い興奮に包まれた幸せな午後のひと時でした。

昨日、今日と続いた長い残業の後、夜の9時過ぎからともかく
夕餉の用意をし、簡単ながらも毎日のお惣菜をこの真っ新な黒と白の
二種の皿に盛りつけました。
さすがに良い器は料理を支える懐が
深いと思いました。
吉井さん、有難うごさいます。




今日は毎日の暮らしの中で、まるで春の日差しのような一日でした。

 


刃物のはなし

2010年09月01日 | 日本とドイツの手仕事
今日から1週間の出張。ゾーリンゲンの手作り刃物メーカー「Windmuehle」さんの仕事。僕はかれこれ12年、この会社の
仕事を手伝っている。「良い刃物は手でつくられる」をモットーとして、
それが今日のドイツ、ゾーリンゲンの小さな会社で、どこまで実現
できるか、続けていけるかを問いかけている。






ゾーリンゲンは日本ではヨーロッパ一の刃物の産地として有名なようだ。
ゾーリンゲンの名前自体を刃物のブランド名だと思っている人も
少なくない。
ところが、ゾーリンゲンの正直な人達は日本の手作りの刃物、特に
和包丁がその切れ味では、世界で一番素晴らしいと思っている。
多くのヨーロッパの料理人も同じように考えている。
実際にヨーロッパの料理包丁は大体があまり切れないし、その99%が
ステンレス製の工業製品である。日本の和包丁のような、職人が手で
作る刃物はほとんどない。また「錆びるけど切れるはがね」の伝統も
ほぼ消滅している。

ゾーリンゲンでも刃物メーカーで、日本のように鍛冶仕事から刃付け
まで職人の手仕事で作っている所は一つもない。刃付けの最終行程で
一般の工員さんが小刃を引くことが時々あるくらいである。これは
1960年代以降、ゾーリンゲンの刃物産業が合理化、機械化を大幅に
推し進め、職人制度を廃止していったことの一つの結果だろう。

このゾーリンゲンの刃物の話、実際とイメージの乖離は、ドイツの
マイスター制度に対する日本の誇大化したイメージとも一脈通じる
所がある。

ドイツの高度に工業化された現代社会、日常の中で、徒弟制度や長い
専門的修業をベースとした熟練職人の活躍する場はほとんどない。
ドイツのマイスターは現在、あくまでも自営開業の資格に過ぎない
ものが大半である。
むしろ今日では、自宅の修繕や家を建てる時、大工さん、電気工、
配管工などのマイスターの仕事ぶりや、スケジュールの遅延にどれ
ほど苦労させられたかというのが、ドイツの人達の現代マイスター
物語である。



パリのメッセ「Windmuehle / 風車のナイフ」さんの
ブース。福井の武生から刃物鍛冶の加茂さんも応援に来た。
写真の刃物は加茂さんと「風車のナイフ」の日独合作。