20年振りに(妻の!?)ソファーがやってくる

2015年06月29日 | ドイツの暮らし

ドイツで暮らすようになってから33年、日本とは大きく違う暮らし
の文化も、子供達が大きくなるこの約20年間の間に、大分身近に
感じるようになりました。
最近、よく感じるのですが、ドイツの家庭の中心にあるのがリビング
のソファーの存在です。
母親が授乳する時も、両親や子供達との話も、友達が来ても、
クリスマスの夜も、夫婦の会話も 、このソファーなしでは
まず考えられない程です。
(下の写真は、妻が自然材の北欧家具を専門としたお店で、試し座りを
しているところです。)





自宅の改築後、妻と二人で約5年間新しいソファーを探してきましたが、
今日はうちの奥さんがとうとう自分の思い通りのモノを見つけたようです。
(大分気に入ったようで、下の写真のようにショップのオーナーの
奥さん(左)と二人で実際に家で座った雰囲気のデモンストレーションを
していました。それで記念に僕が写真係を務めました。)

初めての子供が生まれた時に買ったソファーと同じようにこれから
10年、20年と生活を共にする家具になるのだと思います。





妻が選んで気に入ったのが何よりです。
自宅の改築の時は日本の古材を使い、京都の建築事務所や左官屋さん、
滋賀の大工さんに手伝ってもらって、自分の好き勝手をやりました。
夫婦の間には色々な痕跡が残ったわけです。
ですから今回は、ドイツの暮らしの中心家具は妻の独壇場と腹を決め、
なるべく口を出さないようにと思っています。 
 



 


「次男に作る日曜ご飯 ー昔のお母さんを想う」

2015年06月14日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」



昨日はドイツの人達に和食の紹介を兼ねた夕食会をしました。

その時に仕込んだものがまだ沢山あったので、大学の期末試験の準備で
当面帰って来ない次男に、お昼ご飯を作りました。
なんとなくスタートしたのですが、終わってみると下のような感じで、
一通りのメニューとなりました。次男も実によく、しっかり食べてくれました。
レシピや、その際に考えたことなど、ちょっとノートしておこうと思います。

①初夏のトマとグリーンアスパラの冷製。



②お造り三種



③酢締めしたサーモンとアボカドの山葵和え、新生姜とレモンの
隠し味で。



④椎茸、エリンギ、さやえんどう、グリーンアスパラ、海老、豆腐の
汁物、ほんの少し葛を溶いて。



⑤カレイの胡麻衣青紫蘇のソテー



⑥薄切り牛肉のマリネとインゲンの炒め物。最後に炒った金ゴマをたっぶり
 ほんの少しのレモン汁をふりかけて。



こうして料理を作っていると、子供達とも沢山、話が出来るので、
僕には大切な愉しい時間です。
今日は久し振りの完全フリーの日曜日、それに次男一人だったので
ゆっくり、のんびりと作り、息子の最近の様子もよく聞きました。

食事が終わると、次男が今週の自分の夕飯用に鶏の胸肉を沢山買って
きたというので、塩麹&ニンニク生姜と塩麹&青柚子胡椒の2タイプの
マリネを作り、ホーローのタッパーに詰めて持たせました。
また最近は、自分でも簡単な料理をそこそこ作ると言うことなので、
自家製のニンニク漬け込み醤油、玉ねぎのみじん切り、日本酒に漬けた
生姜のみじん切りなどもベース調味料として持たせてやりました。

今日はそんなこんなで、 昔の日本のお母さんみたいな気がしてきました。
それでも、昔から子供達とのつながりの太い部分が僕の場合はこのご飯
作りと皆んなで一緒に食べることなので、今後もこういう機会は大切に
していこうと思います。

そして、昨日の和食の紹介や外部向けの料理セミナーも大事には違い
ないが、一番近くの自分と家族への料理こそ、まさに他に代え難いと
改めて得心します。また、日中、仕事をしたり、人生の計画を立てて
いる時に、こういう優先順位を間違えることのないようにと、つくづく
思います。
本来は当たり前のことですが、日常にこそ幸せがあるということにも
つながっていることです。

さあ、長いノートも書き終えたので、日曜のプールに泳ぎに行こうと思う。
また、2000m泳げるだろうか?


2015年6月「モーゼル川への小さな旅」②

2015年06月12日 | ドイツ・ヨーロッパの「旅」

2015年6月11日(木)
初夏のドイツ、4月末に続いて今日からまたモーゼル川流域への
出張です。(興味のある方は、当ブログの5月1日の記事も併せてご覧下さい)

今回の宿泊先は、ベルンカステル・キューという一大観光地です。



上下の両写真は、街の中心部です。木組みのファサードが
初夏の青空を背景にとても印象的ですが、本来はこんなに、
派手な装いのものではなかったとのことです。
戦後ドイツの高度成長期以降に昔の姿が見直されてドイツ
各地の観光名所でこのような修復、外見の大げさな整備が
進んだようです。それでもこれだけ綺麗で見事なお化粧なら、
騙されても良いかなと思います。
(最近はそういう美人に会うことは少なくなりました。) 





仕事先の人達と夕食会の前の散歩です。







街全体がそのまま観光事業。まさにキッチュ(Kitsch)と言えば、
正真正銘のキッチュです。ドイツの中世の村やグリム童話の
世界をそのままにしたような感じです。僕はそれでも、ディズニーランド
よりはずっとずっと楽しいなぁと思います。
そして山側の葡萄畠とモーゼル川に挟まれた小さな猫の額ほどの
面積の街を、ここまで古典的な風貌で現代に維持し、地元の大きな
収入源としたのはなかなかのことと思います。



モーゼル川沿いの街のレストラン、綺麗な眺めでした。



料理も写真に撮ると綺麗です。



夕方からの仕事、客先との会食も終わり、ようやく一人。
ホテルの小さなテラスに座っています。観光客の姿も見えず。
モーゼル川の古い街、ベルンカステル・キューの本来の趣が
感じられます。





初夏のドイツの夜が更けていきます。


2015年6月12日(金)

川の流れに支えられてきたモーゼル川の食文化。



モーゼルのほんの少し甘さの残る伝統的なリースリング種のワインと
川魚の郷土料理。マッシュポテトとザウアークラウトを混ぜ合わせた、
昔からの付け合わせ。
僕らのようなデスクワークではなく、葡萄畑での一日の労働が終わった
後にこその御馳走なのでしょう。 



街の中心のホテルから、葡萄畑の中を散歩しつつ15分ほど、
「ベルンカステル・キューのテラス」と呼ばれる高台から、夕方の
モーゼル川を見下ろしました。川の両岸に葡萄畑が広がっています。



この高台レストランでの夕食の後、一人で川岸を散歩しました。







夕闇の時は過ぎ、夜の帳が下り始める頃。
夜10時過ぎの一人の散歩。
誰もがもの想いに耽るような蒼い空の闇。 
その透きとおるような蒼さが、一刻一刻と深まる闇の中に
消えゆこうとしています。  

 


「静かな一人の時間、朝の緑の中で考えたこと」

2015年06月08日 | 随想

初夏の青空、ドイツらしい風景だ。



朝の散歩、自転車で恐々と足腰のトレーニングを再開。
もう十年ほどになるのだろうか、山スキーで左のふくらはぎを痛めて以来、
思うようにはなかなか走れなくなっている。その上、最近は膝の痛みもある。
こんな時には50半ばの年齢を感じてしまう。でも諦めない。
もう一度山登り、山スキーに復活しようと去年の冬に決めたことだ。



帰りに近くの友達の農園で初夏の野菜を買い込む。



買い物の後、緑の中を走りながら、ふと思う。

「かれこれ30年仕事をしてきた。子供達もずい分大きくなった。
人生、後15年か20年、経済活動と直結した仕事が未だに一日の中心に
置かれているのは本来、おかしいな。もうはっきりと切り替えるべき
だろう。

これからまだ生きていく中で、自分の身の回りや自らに、もっと
したいことや、出来ることがある、その方がずっと大切だし、
自分にも、家族や周囲にもよほど役の立つことだろう。
僕のような自由業には定年退職が無い。経済的活動からすっかり離れる
ことは出来ない。だからこそ、経済活動、生計を立てるための労働は、
最小限にしていくように、本当によく気をつけよう。」
 



朝の時間に緑の中で太陽を浴びて一人でいると、こういう当たり前
に大切なことがよく分かるような気がします。

一方で知らず知らずのうちに、既成の考えや感覚に左右されている
ことが、自分の中にはまだずい分あるなと思います。
一回限りの人生なので、それではあまりに勿体無いことだと
思います。



こういうことは、多分、多くの人が、とりわけ50歳を過ぎて
生計のための仕事をしている人達が抱く考えだと思います。
それでも実際にその考えを実行する人は、ほんの僅かです。

長年の生活習慣と慣れ親しんだ思考・心理パターンから離れて
いくことは、一朝一夕のことではありません。だからこそ、
違う生き方、自らの願望に関する鮮明なイメージが決定的な
要素なのだと思います。
静かな一人の時間を持つこと、その時に浮かんでくる自分の
中の想い、願望、基本的イメージを手に取るように鮮明にすること、
そして、それを毎日、少しずつ確実に実行すること。

とても魅力的な、やりがいのあるプロセスだと思います。
 

 


「木陰のメニュー、父さんと母さんのジャパンスタイル」

2015年06月07日 | 家族




風吹き渡る初夏の青空。





年に数回あるかないかの素晴らしい空と風。

さて、初夏のお昼ご飯。名付けて
「木陰のメニュー、父さんと母さんのジャパンスタイル」

昨日の料理のストックがあったので、次男が勉強先に戻る前に御馳走
を食べさせようと思い、次々にせっせと作りました。





次男に合わせて、スタートからごっつん!肉料理。
器は今年の4月に持ち帰った、京都・亀岡の吉井さんの
白釉と黒釉の角皿です。





塩麹、刻み生姜、オリーブオイルでマリネしておいた黒豚ロース肩肉
を焼き上げ、仕上げにニンニク・レモン醤油のソースをからませました。







スポーツダイエット終了したばかりの次男「美味しい!」の一言!!
父さんは嬉しかった。 

二番手は温野菜のサラダ。







赤ビーツは昆布水にほんの少しのお酢、酒、塩、味醂で柔らかく
なるまでゆっくり炊き上げまて、何日か置いておきました。
蒸したカリフラワーや白アスパラガス、スナップえんどうを加えた
夏らしい、でも、食べ応えのあるサラダです。


 


「木陰のメニュー」の第三番は魚料理。









カレイを五枚下ろしにして、黒白胡麻衣で包んで、青紫蘇の大葉を
巻いて、ソテーにしました。





テーブルに載せると、 風に揺れる桜の若葉の下で、グリーンカラー
が互いに響き合うようで、なかなかでした。

初めての思いつきレシピでしたが、妻も次男も大満足、本当に
美味しかったです。

(*このレシピですが、白身の魚ならおひょうとかなんでもOKと思います。
あるいは鯖でも美味しいのでは?
ともかく、胡麻君と紫蘇君が手を取り合って大活躍という感じです。
なお、上がり際に
白醤油をレモン汁と少しのお酒で伸ばしたものを
ソテーの横に振り入れ、蓋をして、軽く蒸し焼きにして、火の通りと
味加減を調整するのがいいかなと思っています。

ところでオーガニックではないですが、松本の大久保しょうゆさんの
白醤油は市販の白ダシとは全く別物、また、薄口醤油も実に上品で美味しいです。
ついでに言うと、白味噌もとても良いです。食についてのしっかりした
考え方のある方、作り手です。
今年の春、次男と一緒に一週間、醤油作りの実習もさせてもらいました。*)


「木陰のメニュー」の第四番は次男担当の「お新香の盛り合わせ」
でした。







赤ラディッシュを真ん中になかなかの空間、カラーセンスでした。







その後に続いたのが、カレイの煮付けと蕪の実と葉っぱのお味噌汁です。





煮浸しトマトの冷やし汁は最初に出せるように作っておきながら、
出し忘れてしまいました。

和食と箸は戸外での食事にはあまり似付かわしくないとはよく思う
のですが、そんなことよりも明るい太陽の下での家族との食事は
愉しいことです。
日曜日なのに、この後は夜遅くまで仕事で外出だったので、よけい
有難いことでした。

 


「家族との暮らしと手作りの料理」

2015年06月06日 | 家族

のんびりとした土曜日、初夏の一日。




次男と近くの屋外プールに泳ぎに行った後、今週の日誌をつける。
その後、この前から気になっていた日本からの貴重品、新生姜や
茗荷の甘酢漬けをようやく作る。





それから続いて夕食の用意、久し振りに家族のためにお造りも丁寧に
作る。次男も妻も喜んでいた。





その後は、昆布水と少しのお酢で炊いた赤ビーツを使って初めて
白和えを作ってみた。昔からの椎茸と人参の白和えと、サイド
バイサイドで盛り付けたら、「紅白の白和え」となった。
「世界で初めてのレシピ」を開発したのではないかとふと思う。





ついでに作った、蕪の浅漬けのサラダ風お新香。





いつもの塩麹マリネの鶏の胸肉を次男に焼いてやる。
少し葉が大きくなりすぎた庭の木の芽も、パラパラと散らしてみる。





次男が自分で盛り付けたぬか漬けのワンプレート。





今の世の中、家族と共にこんな日々を送れることは
本当は実に有難いことだ。
日本のとんでもない状態を思うとなおさらのことだとつくづく思う。


「ライ麦畑の向こう、散歩の後にドイツ料理」

2015年06月04日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

ライ麦畑の向こうは、どんな風景だろうか?
そんな気持ちで妻と次男と三人で初夏の畑から森へ続く
散歩道を歩きました。
夜の闇の前の夕焼け、とても印象的な風景でした。







その後、初めてのレストランで三人で食事をしました。
長年、一流レストランで修業を積み重ねたシェフが独立し、昔からの
ドイツの郷土料理を、現代風に上品に仕上げているとのことです。
献立表を開くと一品一品がなかなかの値段でした。
それでも「次男が勉強先から久しぶりに帰って来たのだから」と、

少し奮発しました。





白アスパラガスのスープ。クリーム仕立てでクルトンが入っているのが
普段とは少し違うところ。
それに小さなむき海老も入っていましたが、必要ないなと思いました。
ドイツのスープは一概にやや塩気が強いですが、コクがあって十分
美味しいものでした。
スープの器はドイツの家庭の日曜日の食卓や、きちんとした料理店で使われる
伝統的な形状、材質のものでした。





メインディッシュにはウイーン風カツレツ、豚の頬肉の煮込み、
大きなラムチョップ、緑のサラダなどを家族三人、皆で分け合って、
そこそこ食べ切りました。


 


料理は決して悪くなかったですが、休日で厨房が一日忙しかったのか、
ラストオーダーに近い僕たちの注文はやや雑になった感じでした。
ドイツのレストランではお皿を下げる時に必ず「美味しかったですか?」
という定型的な質問がされます。
あまり美味しくなかった時でも「ええ、美味しかったですよ。」と答えるのが
大半です。
今日は「大変忙しかったとは思うのですけども、正直言って、もう一つだなあ」
とそのまま答えました。オーナーの奥さんだったのでしょうか、
半分がっかりし、半分苛立ち、そんなことはないはずだと応えてきました。
すぐに謝らずに自分たちの立場や考えをきちっと説明しようとするのは
ドイツの人たちの習慣となっています。時々、それが行き過ぎてるなと思う
時もあり、今日はその一例でしたが、この習慣自体は基本的には悪くないと
思います。 

ともかく今日は外の気持ち良いテラスに座って三人で
互いの近況報告がゆっくり出来るのがなによりでした。 


ドイツ風お昼ご飯

2015年06月04日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

今日のお昼ご飯。



珍しくドイツ風でした。
久しぶりの良い天気でした。





色々な野菜をざっくりごろごろと刻んで、塩とオリーブオイルを
万遍なく振り掛けて、好き好きでニンニクの半切りも幾つか忍ばせたり
して、220度くらいのオープンに投げ込んで、14分間ほど待ったらお終い。
どんなに忙しい時でも確実に美味しい。いつもの10倍、野菜が食べられ
ます。



この温野菜のボールの向こうに見えるのが、南ドイツ、シュヴァーベン
地方の郷土料理「マウルタッシエ」は、ドイツの人が考えた大きなラビオリ
のようなものです。
今日は刻み玉ねぎをこんがりと炒めて、それをソース風に
扱い、コクをつけましたが、その時々によって、スープの具にしたり、チーズ
をかけて焼き上げたり、家庭によっても千差万別です。
ドイツの家庭料理は美味しいですよ!


「デュッセルドルフの初夏の夜に想うこと」

2015年06月02日 | 社会

ライン川の街、デュッセルドルフの初夏の夜景です。





久し振りに市のコンサートホールでブラームスやラヴェルの曲を
聞きました。昔はプラネタリウムだった建物で、その窓から、月夜
の川に浮かぶ遊覧船の灯りが水面に映ります。





この日の演奏は来独中の関西交響楽団、バイオリン奏者の外国人指揮者
と共に息の合った、非常にまとまりのよい演奏でした。



 

たまたま、デュッセルドルフに住むことになってかれこれ33年、
未だに自分のふるさとのような意識はありませんが、こんな夕べには
「住めば都」と思って暮らしている方がいいのだろうと感じます。

ルール工業地帯を控えたこの街は、南ドイツのミュンヘン、あるいは
現在のドイツの首都ベルリンのような、昔からの歴史や文化が深く
刻まれている街では決してありません、むしろ、新興の大型商業都市の
ような趣もあるところです。それでも日本の多くの地方都市の戦後の変遷、
そして今の姿を考えると、10倍も20倍も、住む人達の暮らしやすさや愉しみ、
働くことと住むことのバランスを考えた都市開発がきちっと行われてきました。
これはドイツの他の地域の大小の都市や、小さな街についても同様に
言えることです。
東京への政治・経済・行政・労働市場などの一極集中、中央集権型の
社会体制が日本の地域の多様性と活力をどこまで削いでしまったのか、
つくづく残念なことです。

日本の未来を考える時に、これは決定的なことだとこの20年間常に
思い続けてきました。