純米酒と日本語

2010年08月28日 | 日本酒&ワイン
10年くらい前からだろうか。日本酒、特に純米酒を熱心に飲むように
なった。お酒は日本の発酵文化の華。自分の「食」の仕事の勉強
もかねて時々、蔵元を訪ねて行くこともある。そんな中で、何人かの
先生がいる。本だけの先生もいる。「米の酒はおいしい」と
「純米酒Book」の山本さん。一人、晩酌をするうちに僕は架空の
質問をし始めた。
http://www.yohkoyama.com/





「山本さん、今晩は。一つお伺いします。 僕も日本酒は大好きですが、
最近は日本酒が洋食にも合う、チーズにもこの酒なら相性がいいだとか、
日本酒と何とかのマリアージュだとか、純米酒に詳しい、専門の人も
そんなことを言います。 僕は馬鹿も、変な愛国心も、
無理も休み休み言えと思います。


日本酒は和食と、日本の発酵文化と、出汁と野菜と魚と、
ご飯との素晴らしい相方、其処にあって右にも左にも出る者なしの千両役者。
何が悲しくて、洋食やエスニックに合わせる必要があるのか。
一方で、ヨーロッパのワインを、鮨や和食に合わせようとするのか。


どちらも明治の初めの鹿鳴館よりも、切なさも必然性もないから、
尻の穴がこそばゆく、居ても立ってもいられない恥ずかしさ。
日本の純米酒は世界にも稀な、美しい島国の風土に咲いた稲穂の華。
四季の自然に寄り添い、素材を敬い、洗練を極めた料理の唯一無二の相方。


僕たちは、一体何時まで世界の一地方の言葉に過ぎないヨーロッパ語で
考えられたことを、こんなに大事にしていくのか。
僕はヨーロッパのワインが本当に大好きで、それできっと10kgぐらい
太ったけど、それでも日本のお酒をヨーロッパの皿の上や、言葉や、
物差しで考えるのは、不思議でしょうがない。
ドイツで夜な夜な、弁天娘さんや旭菊の大地さんなどを戴いていると、
亡くなった井上ひさしさんの「どうしても米の話」や山本さんの
一日一合のことを思い出し、自分の中でも整理しきれていない考えを
書き出してしまいます。まとまらない考え、失礼しました。
杯も空きました。」