「ザ・コーヤドーフ」&「ハートフルジャパン」=「温故知新」

2016年06月13日 | 日本とドイツの食材

ヨーロッパカップの第一戦、ドイツ快勝の翌日。



興奮冷めやらない、今日のお昼の真打ちは、
「ザ・コーヤドーフ」!!!



TOKYOオリンピック招致のような馬鹿げたことではなく、この頃、
僕は「和のビーガン料理は、世界の多くの人達、少なくともドイツ
の戦後の食環境・生活に疑問を持つ多くの若い人達の役に立つ」
と真剣に思っています。

そんな中、昔の東京・下町のような気っぷの良さと京都の奥行き
を感じる、三条商店街の暮らしの中で生まれ育った家庭料理研究家、
山上公実さんの料理教室を京都で何回か訪ねる中で、
「乾物クッキングは地味で滋味」と教わりました。



            (京都新聞に現在連載中の記事)

下の写真は3月末、初めて参加したひじきクッキングの会。
喜ぶべか悲しむべきか、この時もそれからも、いつも「黒一点」
です。


             (ソーシャルキッチン/上京区)

もう一つ下の写真は5月末、高野豆腐の料理教室。
実に様々なレシピのバリエーション。その中でも干し椎茸と
高野豆腐の肉味噌は特に秀逸だと思いました。


           (住まいの雑貨店 sumao/中京区)

ドイツに戻ってからも、自宅の厨房や地下でややなおざりにされていた
沢山の乾物類にしっかり目がいくようになりました。

さて、今日の「ザ・コーヤドーフ」



まずはちょっとイタリアンなトマト味。
普段からあまり日の目を見ないカリフラワーとブロッコリーの茎や
芯も、蒸して薄切りにすると、淡くも深い味があって、なかなか
美味しいものです。

良いオリーブオイルにみじん切りしたニンニクを割とたっぷり
入れ、上の二つの野菜を炒めつけ、その後ザクザクに切った
トマトを入れます。(味付けは、塩・黒胡椒・白醤油など)

トマトの汁がたっぷり出たところで、水でよく戻ししっかり絞った
高野豆腐を、カリフラワーやブロッコリーと同じような大きさに
薄くスライスして、フライパンに投げ入れます。高野豆腐のスライス
が、トマトや野菜、オリーブオイルの旨味をたっぷり吸い込んだ
ところで、イタリアン・ジャパニーズの一皿出来上がりです。

テーブルについたのは僕も含めて東京、福岡、岡山、京都、静岡出身
のスタッフ達。ドイツから特別代表参加⁈の僕の奥さんも含めて、
皆が「美味しい、美味しい。三分づきの玄米ご飯にもピッタリ!」
との嬉しい評価でした。滋味でカラフル、ちょっと華やか⁈



次の一品はしっかり和風で、ドイツ九条ネギとキノコと一緒に
炊き合わせました。



一点工夫したところは、昆布と鰹節の出汁ではなく、
昆布水で炊いたエリンギとブラウンマシュルームのストックを
合わせたことです。甘味にはいつもの味醂ではなく、キノコの
濃いストックの味の強さに負けないように、玄米甘酒を使いました。
そうしたら、甘み・旨みだけでなく、丸みも加わったように感じました。

最後、盛り付けの際に、自宅の山椒の木から先週摘み取っておいた
花山椒のミニミニ蕾を上に散らしました。
これで香りと味にも爽やかなアクセントが付きました。

高野豆腐自体も知らなかった23歳のアルバイトの男の子が、思わず
「日本で食べるご飯よりもずっと美味しいよなぁ」と、ジーンと
嬉しい言葉でした。

その後、さらに長ひじきの梅酢と生姜とオリーブオイルの炒め物、
大豆、人参、セロリとのしっかり煮、干し椎茸の含ませ煮と、
古典的なご飯の友、幾つかの乾物レシピが続きます。







これらのレシピの説明はひとまず端折ります。



長くなった昼食の最後、番茶を飲みつつ、ついでのように出した
最後の小さなデザートは、冷たくした苺に餡子を添えた、苺大福
皮抜きバージョンでした。これも実は山上さんの料理コースでの
デザートのレシピで、苺とデーツと餡子のトリプルミックスを
ふと思い出して、即席手抜きで作ったものです。
(下の写真が、山上さんのオリジナルレシピです。)



今日のスタッフとのお昼ご飯、昨日の夜から作り続けていた我流の
レシピ、遠くドイツからの、今日から明日へ続く「乾物クッキング!」
へのファンレター&ラブコールでした。

(山上公実さんの「地味で滋味・日々の乾物ご飯」の連載が京都新聞で
二ヶ月前から始まってます。毎日に役立つ、美味しくて理にかなった
レシピ、おすすめですよ!)

最後にもう一つ、「休題閑話」です。
国が旗振る、儲け心いっぱいのクールジャパンより、私達一人一人の
ハートフルジャパン。
昔々、ゴッホもセザンヌも、或いは太平洋戦争に向かう前の日本で
教鞭を取った後、アテネで客死したドイツの建築家ブルーノ・タウトも、
彼らが深い愛着を持ったのは、毎日の暮らしの中に根付いた日本の美しさ、
或いはそのような美学を生み出したかっての日本人の精神の在り方
だったのだと思います。


そら豆君と二十日大根さん、そして夏のビール

2016年06月11日 | 日本とドイツの食材

ドイツの六月の風物詩。



と、週末の買い物の後、僕が勝手に思った、
そら豆君と二十日大根さん達。



いや、二十日大根君とそら豆さんだろうか。

どっちも元気だ。
どっちも素敵だな。



紅と白の二十日大根は、めでたく糠漬けへ。

 

そら豆君はもちろん今日が食べ時。すぐに料理にかかる。
午後の仕事のスケジュールはひとまず投げ打って、
茹でたばっかりの、皮まで美味しいそら豆に、フレッシュで
ホップの効いた爽やかなオーガニックの地ビールで、まずは一杯!
仕事よりは人生の愉しみだ、と本当に思う。





椅子やテーブルには目もくれず、庭のテラスにどかんと大名座り。
地べたに座ると庭の草花や緑も、もっと自分の傍に近づいてくる
ようだ。



あっという間にそら豆君がなくなったので、夕飯用にとっておいた
糠漬けを昼下がりのアテに変更。夏を祝って琉球の器に盛り付けよう。
3、4日漬けておいた山芋も実にいい塩梅、ちょうど良い仕上がりだ。



冷蔵庫から取り出したドイツのオーガニック地ビールの老舗、
「ピンクス」の無濾過ビールとの相性も抜群。「美味い!」



最近の日本なら、日独の発酵のマリアージュとでも言うのだろうか。
国際結婚は本当はそんなに易しくないけれど、こんな土曜の午後は
とっても楽しいな!
「イッツ・グレード!」

さあ、もう一度仕事に戻ろう!

 


「夏が来る。 ー トマトとドイツ三つ葉と花山椒のお味噌汁」

2016年06月06日 | 日本とドイツの食材

夏が来る。

 

雷神の唸り、天からの滝のような夕立ちの風景。

翌日、初夏の朝。



ドイツ三つ葉とミニ実山椒とざくざくトマトのお味噌汁。

朝早く起きたにもかかわらず、日本から帰ったばっかりで、想うこと
が沢山あって、仕事のスタートが切れない。
「夏の緑、朝の陽は素敵だなぁ…」
自分のキッチンで朝の光と日向ぼっこをしてると、ぐーっとお腹が
すいてきた。
そうだ、昨日のコールラビのお味噌汁が残ってる!
でも、これではちょっと具が足りないぞ。

冷蔵庫に残ってた湯煎した大きなトマトをざくざく切って、庭に自生して
雑草扱いされているドイツ三つ葉の大きな葉を摘み取り、ぶちぶち適当に
ちぎって、鍋の中に放り込んだ。



「なんかまだひとつ、足りないなあ?」



「よし、昨日から目をつけてきた、手足を広げた穂紫蘇みたいな庭の
ミニミニ実山椒の蕾をしごいて、薬味にしてみよう!」



出来上がったお味噌汁、夏の海水浴か、山小屋の朝のような感じ。
爽やかで、少し鮮烈、深い味。
「ああ、本当に美味しかった!」



 

昨日は、50m屋外プールの初日、最初から1500m泳いだ。
今日も仕事を早く切り上げて、泳ぎに行こう!

偶然のお味噌汁一杯で、今日の一日が幸せに思えて来た。 


日本から戻って「ドイツ野菜旅行」

2016年06月04日 | 日本とドイツの食材

日本から戻って、二日目の土曜日、週末の買い物です。
ドイツの沢山の野菜達!





久し振りに自宅で料理が出来るので、嬉しくてたまらず、
これもあれもと、一週間分以上買いこんでしまいました。

6月に入って、ドイツでも一気に野菜が豊富になったような気がします。
下の写真は、近くの友人のオーガニック農園のビオマーケットの入り口。



去年の秋の収穫祭の時に作った手作りの案山子くんも
遠くから見ると幽霊のようだけど、近くで見ると微笑ましい。



友達の農園から少し離れた昔からの農園も、ここ数年直売りを
ブラッシュアップし、自家栽培の野菜と一緒にたくさんの野菜
を並べています。

白アスパラガスも今が旬。ドイツの多くの人の大好物です。
その思い入れは、日本人の筍を上回っているかもしれません。
僕にはとても無理ですが、一人500gくらい食べる事もあるので、
下の写真のような「白アスパラガス自動皮剥き機」が大活躍です。
さすが、機械の国ドイツと思う人もいるかもしれません。
この剥いた皮はただなので、僕は時々、アスパラガスの出汁用に
山盛り貰って帰ります。



自宅に戻って、「今日はお店ごと持って帰ってきたようだなあー」
と言いつつ、妻の呆れ顔に隠れつつ、「野菜は素敵だなあ」と
思います。



この写真の全部の野菜の名前当てた人、満点賞で「ドイツ野菜旅行」に
招待します‼


「ごろごろ野菜のオーブン料理」

2015年02月28日 | 日本とドイツの食材

今日の夕飯。
いろいろな野菜、キノコ、根菜をざっくり、ごろごろ切って、海塩と
少しスパイシーなバージンエクストラのオリーブオイルの両方を
しっかりとまぶすだけ。



あとは230度にあらかじめ温めたオーブンの中で約13分、ほっこりと芳ばしく
焼き上がった沢山の温野菜達。
野菜や根菜の組み合わせはその時に思いつくまま、有り合わせでOKです。
お昼ご飯にも、夕御飯にも、暖かくても冷たくなっても、お弁当のお供にも
オールマイティです。たっぷり作るといいと思います。

先週、タイに住む知人の料理家、めぐみさんに教わりました。このところ、
毎日作っています。

ちょうどウイーンから帰ってきた娘も「美味しい、美味しい!」と
しっかり食べていました。



「パパとママの新しいレシピだよ。」と言おうとすると、
「この料理、前から知ってるよ。何度も作ったことあるし」
とのこと、あれれ⁉︎
ほんとかな?
ともかく、手軽でヘルシー。
とても美味しいレシピです。ぜひお試しください。

 


「ドイツで初めての筍狩り」

2014年06月03日 | 日本とドイツの食材
今週末はドイツに住み始めてから、初めての筍狩り。
鬱蒼と繁り始めた庭の竹藪の中に分け入り、思いがけないほど
沢山の収穫がありました。
その殆どが破竹の種類だと思います。











それでも、「タケノコご飯」「若竹煮」「鯛、筍、香味野菜の
ギリシャ風レモンソース煮」「筍と若布と豆腐のお味噌汁」など
いろいろ作ってみました。




 


もともとは、去年の今頃、京都のNGO「環境市民」と
日本各地のその仲間の方々が、
ドイツに来て僕のところで一緒になったことがきっかけです。

皆で初夏の夕方を楽しみながら、庭でご飯を食べていると
突然、「おーい、タケノコがあるぞ!」の声。
その後はびっくりするような勢いで、台所を占領されて
タケノコ料理合戦となりました。
そんなことを思い出しながら、今年は自分で初挑戦。
なかなか上手く出来ました。





杦本さん、下村さん、そして長崎のタケノコ博士、岡本さん、
木の芽が大好きで山椒の木の密輸入までしていたのに、
灯台下暗しとはまさにこのこと、本当にどうも有難う。

ドイツのこの時期は筍だけでなく、白アスパラガスとイチゴの
美味しい季節です。
またいらっしゃって下さい。
楽しみにしています。皆さんによろしく。


 


 

「庭のイチゴが大豊作」

2014年06月03日 | 日本とドイツの食材

去年末からの異常気象、過去にないほどの暖冬の影響で、
一冬を越してしまった庭のイチゴが今年は大豊作です。








来週は初めてイチゴジャムを作ってみようかと思います。
そうさう、今日はさ来年の収穫を目指して、
日本の茗荷の根を古い二本のリンゴの木の間に植えました。
日陰と湿気を好むとのこと。
オーガニック菜園を営むドイツ人の知人にも、三株ほどプレゼント。
どちらか一つでも上手くいけば有難い。



醤油。君よ知るや、その滋味を

2010年07月24日 | 日本とドイツの食材
群馬県前橋に「職人醤油」の高橋さんを訪ねる。
日本全国の醤油蔵を巡り、国産丸大豆、小麦で作った天然醸造の
美味しい醤油とその作り手である各地の蔵を紹介している方。
まだ二十代後半の若さ溢れる好青年。日本の大切な伝統を今、
40代でも50代でもない若い人たちが支えようとしている。









国産丸大豆、小麦から麴、諸味をつくり、
四季の移り変わりの中で醱酵、熟成を待つ天然醸造の醤油。
今、その生産量は全体の1パーセントにも満たない。
天然の出汁とともに、何百年と日本人の食、身体、舌を
支えてきた伝統の調味料、天然醸造の醤油。
君よ知るや、その滋味を。





上の写真は、長野県松本市の大久保醸造の大久保さん。
モロミに櫂を入れているところ。木樽には漆が塗られています。
薄口紫大尽、濃口紫歌仙、再仕込み甘露醤油、白醤油笹の露
毎日、家で使ってますが本当に美味しいと思います。大久保さんも素晴らしい方。
会う度に面白い話、教わる事が沢山あります。