57歳の夏、初めての教習所 — 移動の自由、国籍とアイデンティティーの話

2017年05月31日 | ドイツの暮らし

57歳の夏。

僕達の家族五人の中で唯一人、ドイツ国籍も選挙権も自動車免許
もなく、それでも大過なく満足して、ドイツで30年以上過ごして
きました。
ところが、今年の春、いよいよ今後の人生のために「クルマの移動
の自由、自主独立性」は確保しようと思いたちました。

今日は路上訓練第一回。生まれて初めてドライバー席に座りました。
路上を走ること30分、ブレーキ、アクセル、ギアチェンジは助手席
の教官トーマスさんに任せっぱなし、ステアリングだけを担当し、
まさに郊外の県道を右往左往!


 


「あぁ〜、楽しかった、ああ緊張した!」


 
その後、お祝いに近くのお菓子屋さんに一人で入り、滅多に口に
しないドイツの大きなケーキを一人で丸々一つ食べました。




 
そしてその際、免許だけでなく、いつかは国籍もドイツにすること
があり得るかなと、考えたのです。
以前は絶対に考えなかったことです。
自分の日本人としてのアイデンティティに関わることだ、それだけは
しないだろうとずっと思っていました。

今年の春、「もう一度、日本に戻ろう」と京都に小さな家を構えま
した。ドイツと日本の二つの国で生きようと考えたのです。
他方、日本の社会体制に対しての距離感、拒否感は福島の原発事故
前後から、過去30年にも増してさらに深まっています。

多分、僕の場合、自分の日本人としてのアイデンティティと国籍は
決して重なる必要はないのだろうと思います。それよりも、自分の
暮らしの自主独立性を守ること、尊重することが人生の第一の優先
事項なのだと思います。

現在の日本の社会体制、とりわけ、その政治・行政の強権による個
人の自由や主権の侵害、日常の行動の制限、拘束が今後、今よりも
さらに強まる可能性は非常に大きいと思います。
そして、その逆方向に社会が転回する可能性は実に微小に思われます。

僕には日本社会への帰属性よりも自主独立性の方がずっと大事なの
だと、今日、クルマの免許のことをきっかけに、よりはっきりした
ように思います。

自分の今後のために、ざっくりでも、人に伝える文章の形で考えの
メモを残しておこうと思いました。

 


「 あぁ、僕達は何も成し遂げなくても — 初夏の晩の小さなノート」

2017年05月28日 | ドイツの暮らし

「初夏の晩の小さなノート」


 
 

ドイツの初夏、それは夜の10時過ぎまで、様々な光が輝く、一年で
一番素敵な季節です。

鳥達の声と木々を吹き抜ける風と若緑のささやきが何十にも重なる
時間、耳を澄ませば、此処に在ることの静かな悦び、まさに人生の
休息日の幸せが心身を包むようです。

今日、僕は昨日の飲み残しの南イタリアの地酒、プリミィティーボの
赤ワインに氷を幾つか投げ入れ、桜の葉越しに午後6時の透明な太陽
を見つめてます。
[あぁ、僕達は何も成し遂げなくても、こうして此処にいられること
が本当は有難いのだなぁ」と、心の底から思います。

午後5時、6時、7時、初夏の光の中に全てが輝くような不思議な時間
です。


 
 

そして、白色の太陽が橙色の西陽となり、その最後の光と共に消える夜
の9時頃、小さな星達がポツリ、ポツリと灯をともし、透き通るような
蒼い夜が訪れます。
その中で、僕達も大きな時間の限りない流れの中、その一部となるので
しょう。





 


ドイツに戻って「いつもの暮らし」 — プラスとマイナスの生活習慣病!?

2017年05月27日 | ドイツの暮らし

ドイツに戻って「いつもの暮らし」

[新たにスタート!初日のメモ]
ぐっすり眠って眼が覚めると、朝の6時半。
ママラインはまだスヤスヤと寝ているけれど、そのまま起きて、
村のスポーツグランドでゆっくりと、自分流の「走るヨーガ」の練習。

400m一周の間、自分の身体の各々の動き、足指、足首、膝から
太ももの表、裏側の筋肉、背中、上腕、下腕の緊張感などに全ての注意
を寄せる練習。100mから200m位しか集中力が続かない。知らず識ら
ずに雑念を追いかけ、身体への意識が散漫になる。明日からも続けよう。

午後は、毎年、本当に楽しみにしている屋外50mプールでの水泳
シーズンスタート。



 

30度を超える突然の夏日で、水浴びをする子供達、小学生、中学生、
若い男女で一杯だったけど、スイマー専用のエクスプレスレーンで
1100m泳ぐ。今シーズンの目標は平均2000m。そして、シーズンの
ピークには平泳ぎを挟まずに、全てクロールのみで泳ぎたい。8月、
また日本に行くまでの目標、楽しみだ。



 

午後遅くから、今年の春から新加入の都市生活者・自主有機農業
グループの週末仕事に顔を出す。






ママラインと一緒に二畝の雑草取りを僕等の課題として引き受けよう
と思う。


 
 

その後はどうしようか、こんなにいい天気だ。庭でワインを少し飲も
うか?久し振りにギリシャ料理屋に行こうか?
節酒は本当に僕の大きなテーマだ。
実に好きなのだけど、これは僕の幾つかの生活習慣病の最も手強い
やつだ。沢山飲みたくなったら、[人生でまだやりたいこと、もっと
沢山、沢山あるぞ」ともっと自分にはっきり声をかけよう。

そして、何よりも今回こそ、早寝早起きのスタート



8週間振りにドイツに戻る — 「いつもの暮らし」がまた始まる

2017年05月26日 | 毎日の食卓




8週間振りにドイツに戻る、その途中。何処かの国の空の上。

京都の昔を語る小さな丘のようなところ、その隅に出来た、僕達の
初めての小さな家から、そこから京都の街を出て地球の表側と裏側
の間を今、約24時間。

飛行機は飛ぶ。僕の五感に目隠しをして。
地上10000m、地球という巨大な生命の球体。そのなかの半ば偶然
の二点に、僕の勝手知ったる異国と勝手知らざる故郷がある。そんな
区別も意味を成さないような空間。

飛行機は飛ぶ。このとんでもない空間に針の穴のような風穴を、細い、
細い一筋のトンネルを穿つように。

そして、もう少しで僕達が住む地表が再び近づいてくる。そう、もう
後少しだ。
家族のいる街に着く。

明日から新しい、僕の「いつもの暮らし」がまた始まる。




 

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約8週間振りのドイツ、
僕の自宅のある中部ドイツの村に戻ったら、突然の夏でした。


 


デュッセルドルフの空港から自宅に向かう途中、眠い目をこすりつつ、
そのまま、まず友人のオーガニック農園へ買い物に。既に白アスパラ
ガスの旬が来ています。


 


初めての夏と書く、初夏の一日。


 


どこに居ても本当に有難いことは、友達や家族がいること、身の回り
の緑や自然の環境、毎日の暮らし、ところ変われど、その暮らしの中
に小さなしっかりした歓びがあること、そして、出来れば、なるべく
健康であることだとつくづく思います。