「父の日の一日、 家族のためのご飯。」

2013年05月09日 | ドイツの暮らし



今日は本当に久しぶりにまるまる一日の休日。ヨーロッパではキリスト教の
伝統でどこの国でも昇天祭の休みだ。今年はそれに父の日が重なったそうだ。
僕には全くの予想外。朝食の際に子供たち3人が大きな置き時計をプレゼント
してくれた。仕事をしていても家族との時間を忘れないようにとのことだ。
本当にどうもありがとう。
 


 

天気も朝から晴れ。春の青空がずっと広がっている。まずはプールに行って
その後久しぶりに僕としては長い距離3km位を走った。膝も痛まずに走れ、
内心ほっとした。嬉しかった。午後はともかく料理。忙しくて、いつもは
なかなか出来ないことをワイン片手にのんびりのんびりで進めていく。

 


まずは初挑戦のドイツの鱒。
養殖の鱒だがなかなかしっかりした顔と体つきをしている。
まず1匹目を3枚おろしにして薄塩で少し待ってから網と金串の二通りで
塩焼きにしてみる。悪くはないが身自体にはあまり味がない。
それで二匹目は和洋折衷で2種類の濃醇な豆味噌をオリーブオイルと
白ワインで伸ばし、それにホールトマト、エストラゴンとセージを加えて
腹に詰め込み、アルミホイルと耐熱紙で奉書焼き風にしてみた。
後でオーブンで焼き上げてみるつもりだ。さてどんな味になるだろうか。

その次はタコときゅうりと新生姜の甘酢漬けで酢の物だ。
タコは足を二本、昨日の夜にあらかじめ茹でておいた。
いい加減に上がっている。ガリの甘酢に少し白ワインのピノグリージョと
日本から持って帰った絞ったままのゆず果汁を入れて薄口の醤油で味加減
をする。妻と一緒に試してみた。美味い。自分でもなかなかの出来だと思う。


 

 

鱸の腹身の西京漬け、少し塩麹もしのばせてある。今日で漬けてから4日目。
なかなかの塩梅になっているだろう。普段はテフロンのフライパンで焼いて
しまうが今日はまるまる休み。金串を指して本格的に焼いてみた。やはり、
こちらの方がずっと美味しい。
昨日の夜仕込んで、朝炊いた椎茸、エリンギ、生姜、赤穂鯛の切り身の
炊き込みご飯もなかなかの上出来。ドイツでできる和食はかなりあると思う。
まだまだやれること、やりたいことがある。一つ一つ進めていきたい。


 


日本から持ち帰った春の新生姜

2013年05月08日 | ドイツの暮らし


日本から持ち帰った春の新生姜。
今年はいつもの梅酢漬けだけでなく、甘酢漬けも作ろう。
ドイツに住む僕らにとってはとんでもない貴重品。
もう夜中の11時を過ぎた。明日も朝早くから仕事だ。
それでも今日を逃してはもう仕込む機会がない。

野菜専用の柔らかなタワシでゴシゴシ、スライサーで極薄にカット、
熱湯で約10秒湯引き、熱いうちに京都の千鳥酢にカナダ産の
オーガニック・メープルシロップを合わせて、海の塩で塩梅した甘酢にどっぶり。
爽やかな薄紅色の春の色。

今日は山椒の葉や鷹の爪、和ガラシを入れたりして糠床の手入れ、豆ご飯に
吸い物の出汁を引いたり、それだけでももう2~3時間。
こんなことばかりに夢中な僕は深夜の酔っ払いの思いつきで、新生姜用の甘酢に
モーゼルの白ワイン、辛口のピノグリージョで和洋即興の三杯酢も作った。
とんでもない美味しさ。ふっくらとしてたおやか、上品な味に妻と一緒にびっくり。

日本の風土、人々の暮しが生み出した文化。ドイツにいても、日本の今を思うと
哀しいこと、狂気の沙汰がありすぎる。
押しひがれる気持ちになる時、僕は料理を作る。よしだよしこさんの音楽をかける。
心根の優しい、器の大きい妻に感謝する。子供達のことを考える。
山登りをしていた頃のように空を、月を、星を見上げる。

自分が生きている間にまだ出来ること、一人の人間として、故郷を離れた日本人として、
出来ること、残していきたいことを考える。
役に立ちたいと思う。僕がこの地で日本の食にたずさわり、料理の中で伝えていくことが
あると思う。自分の大事な、大切な人たちに伝えたい、役に立つことがあると思う。


ドイツの遅い春。庭の葉桜と大小の林檎の木。



2012年12月 京都左京区「キッチン・ハリーナ」さんでのライブ。
よしだよしこさんの歌「忘れないということ」
心に響きます。



春の夜

2013年05月02日 | 随想

今日も僕らの遅い夕食が終わった後、一人で庭に座っている。

夕食の用意、一つ一つの料理を作って食べて、子供たちと話をして
妻と二人で台所の片付をしたら、たいがい夜中の十二時を回ること
になる。
夜の闇の中、遅い春がすぐそばまできている。


今日は春の色、小雨模様。天空からの柔らかな水滴。
食卓に飾られた林檎の花枝。