「ドイツ北国の夜」

2012年05月31日 | 随想

ドイツ、北国の夜は長い。青く澄んだ空。薄いオレンジ色の綿雲が流れて行く。

かって、あれほど深く生を交わした人は今、この澄んだ空の下、恋人と散歩をしているのかもしれない。
それとも、もう二人で体を寄せ合ってベットの中にいるのだろうか。
それは今、現在でもあり、遠い過去でもある。


庭に佇み、空を見上げれば、妻と娘の声が聞こえてくる。
過ぎ去った人と、壊れていく自らの国。僕はここに居て、今、何も出来ない。
でもそれは絶望ではない、不幸とも違う。
僕は今、ここに在ることから出発する。


関心と無関心

2012年05月21日 | 随想

金冠日食は今、日本中で話題になっているのだろう。
僕のツイッターでもその話で持ちきりのよう。 けれども、日本の将来は本当に暗いと思う。
福一の4号機、大飯の再稼働のことも国民の大きな関心事ではない。 自分の国が破滅していく。
僕が、滅びていくこの国の文化の中で遺していけるものは何なのだろうか。


ああ、美味しそう!

2012年05月16日 | 日本の「食」

「丹後から採れたての山蕗が乙訓から筍が届きました。
庭の木の芽と昆布と一緒に大鍋いっぱい佃煮を作りました。
うれしい旬の出会い物、この時ばかりは純米酒 も三河味醂も杉樽醤油も惜しくはありません。」
(Twitter/京都 キッチンハリーナさんのタイムラインから)

ああ、美味しそう!
春夏秋冬。
日本に生まれ暮らす喜び、その大きな幸せは季節の幸に触れて料理をすること。
ドイツにいても決して忘れられないことだ。


日本からドイツへ - 日常がまた始まる。

2012年05月15日 | ドイツの暮らし





4月29日


ドイツに戻って三日目、今日は土曜日、良い天気。
自宅近く、友達のオーガニック農家に妻と週末の買い出しに。
子羊が4匹生まれたばかりとのこと。
外に見にいくと、よちよち歩きの小さな男の子が羊の赤ん坊と一緒に
遊んでた。二匹の子羊が遊んでた。





5月2日




ドイツにも春が来た。日本から持ち帰った食材もまだ十分にある。
今日は和食にしよう。
筍ご飯にとっておきの木の芽をぽんと添えて、豆腐とほうれん草の茎の
こまごまのお味噌汁、薄味の出汁に梅酢を効かしたおひたし、
妻の得意な温野菜サラダを漆のボールに一杯。
春野菜の天麩羅、野ウドの穂先を。



輪島の福田敏雄さんの漆のサラダボールを初めて使ってみた。
とてもいい感じ。


5月4日

春の野花、タンポポの風船、その向こうで空からの風を受けて、
ゆっくりと大きく輪を描く現代の風車達。
市民の生活に支えられた小規模分散型のエネルギー。
日本の原発近くに必ず作られる意味のない、建前だけの風力発電とは訳が違う。
現代ドイツの良いところ。




5月6日

僕は今日の日を忘れないようにしたい。 2012年5月5日。
日本の原発が全て停止した日。
日本の戦後67年間の大きな刻み目、歴史的な転回への起点と
なる日かもしれない。それは僕たちに関わっている。
2011年3月11日から約一年余り。
僕個人にも多くのことが露わになった。希望はかすかだ。


5月9日

春の宵。一輪挿し。
うちの妻はその時々に庭で摘んだ花や、散歩や買い物時に見つけた
道端の野花を、家の中、あちこちにひょいと生けている。
気取らない暖かさ、巧みさ。今日はいつもと趣きが変わって実に大胆。
花の名は独語で「黄金の雨 / Goldregen」。
静かな春の詩。