ドイツの初夏の美味しいもの

2018年06月26日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

日本でも、ドイツでも、
「郷にいれば郷に従え」と言われると、
僕はなんかカチンとくるけれど、
「郷にいれば、そこにはきっと美味しいものがあるよ」
と誘いかけられると、

「ヤー・ヴォール! その通り!」とつい答えてしまう。

ドイツの初夏の美味しいもの。
沢山の、僕が日本語では名前も知らない、数々のベリー。
それで作るお菓子。

夕餉に庭で食べる、黄色のパプリカと赤のパプリカのムースに、
しっかり水抜きしたトーフのピューレを加えたポタージュ。

白アスパラに美味しいチーズを振りかけて、オーブンで熱々に焼いたもの。
そして、爽やかな葡萄の香り立つ、きりっと冷えたビオの白ワイン。

せっかく日本でドイツ料理のことを話すなら、こんなことも紹介して
くれれば、本当は嬉しいのだけれど。
「君よ知るや、ドイツの国…」


「白アスパラガスに、黄金色の溶かしバターをかけて」

2018年05月20日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

初夏のドイツの風物詩。

ふっくらと炊けた白アスパラガスに、黄金色の溶かしバターをかけて。
もちろん、軽く塩茹でした、小ぶりの新じゃがを添えて。

僕はそれでもう十分だけど、初夏のお祝いの食事だから、
今日は少し豪華にウィーン風カツレツを一枚つけて。

デザートはもちろん、採れたての小さな苺で作った、自家製の
ストロベリー・ババロアケーキ。

白アスパラガス&新じゃが&イチゴ。
ドイツ全国、何千の街のレストランで、何万の村の食堂で、
週末の何十万の家族の食卓で、何百万人のドイツ人の胸を踊らせ、
虜にする、初夏の黄金トリオ。

「ドイツ料理が美味しくない」など、誰が言い始めたことなのだろう?

 

 

 

 

 

 

 


「正真正銘、本当、本物のドイツ・ソーセージ」①

2018年04月26日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

もし、「正真正銘、本当、本物のドイツ・ソーセージ」というものがあるとしたら?

南ドイツの風光明媚な丘陵地帯、フランケン地方の昔ながらの旅籠屋「白い子羊」の
古い厨房で、ひと月に一度、暁け方から仕込む「Stadtwurst / 町衆のソーセージ」が、
その一つかもしれない。

「白い子羊」は、かってのドイツの水の都、ニュールンベルグから
緑の中を車で約30分程走ったところ、ラオフ/Laufという小さな村
にある旅籠屋だ。

ラオフの村は、フランケン地方の幾つかの村と同じように15世紀頃に
建造された城壁に四方を囲まれている。

かっては独立市として栄えたこの村の中心部、旧市庁舎前の広場には、
百年、二百年を経た旅籠屋「白い子羊」だけでなく、同じような時の
流れを背負った大きな破風屋根の木組みの商家が、今も昔と
変わらぬ姿で幾つも軒を連ねている。

僕がこの村に年に数回、仕事で足を運ぶようになってから、
おおよそ三十年。
中世からの時に刻まれた村の歴史からすれば、それはまばたきを
するような一瞬の時間なのかもしれない。
「白い子羊」のどっしりとした木の食卓と長いベンチのような椅子に
肩を寄せ合って座り、何千、何万リットルのビールやワインを
何代にもわたって飲み続けた村人や、東から西から往来して来た
何千人の旅商人達の中で、僕はその椅子にたまたま腰を落ち着けた
一人の異邦人に過ぎない。

朝7時頃、別棟の宿泊棟からいつものようにやや薄暗い、細い内庭を
抜けて主屋の朝食室に行こうとすると、すぐ横の厨房から焚き火を
炊いたような煙がもくもくと立っていた。

思わず覗き込むと、僕と同じように50を超えた旅籠屋の大将の顔が
煙の向こうに見えた。チロルの山男のような逞しい腕と胸の上には
相変わらずの精悍な顔立ち、いつもの人懐っこい明るい笑顔。

「グーテン・モルゲン! 大将、この煙はどうした、、」と言う間もなく、
「うわっ、一体これはぁ〜⁉︎

流し台の上には巨大なリング状のチューブ、それがまた、ヘビがとぐろを
巻くように一巻き、二巻き、三巻き、四巻きとうねって、
綿々と連なっている。

(これがらがいよいよ本番、次回に続くです。)

 

 

 

 


南ドイツの田舎で発見 ー ジェラートの発祥は南チロルの寒村から!?

2018年04月24日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

「あぁ、君よ知るや、南の国、、、」

ゲーテの昔からドイツ人の憧れを一身に集めた国、イタリア。
そこにはルネッサンスの芸術の華だけではなく、とてつもなく
美味しいアイスクリームの文化がある。

その中でも有名なのが、北イタリアの山岳地帯、急峻な山々、
ヨーロッパの登山家を魅了してきた数々の針峰が連なる
ドロミテ地方の小さな谷「バル・ディ・ツォルド」(Val di Zoldo)、
別称「アイスクリーム /ジェラートの谷」。

今から150年ほど前、貧しかったその谷の村人達は北イタリアの大都市、
ミラノやトリノに職を求め、さらにオーストリア・ウイーンに移住し、
ヨーロッパの各地で家族経営の小さなアイスクリーム屋、
ジェラテリーを開き始める。

それから約100年、ヨーロッパの二度の世界大戦を経て、
戦後ドイツが「奇跡の復興」を遂げた1980年代、
バル・ディ・ツォルド出身の一家族、
カンポ家の人達がこの南独フランケン地方、
中世からの城壁に囲まれた箱庭のような村「ラオフ」に家族の
幸福をかけて自家製、手作りジェラートの店を開いた。

それが昨日、南独の小さな村ラオフでたまたま見つけた、
きっと世界一のイタリアのジェラテリー、「Campo 」だった。

朝からそれを楽しみにして、二日続きでアイスクリーム屋に
通ったのも僕の人生で初めてのことだ。

南独の小さな村にて、
「あぁ、君よ知るや、南の国、、、」

 


ドイツの郷土料理のメモ

2017年10月10日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

ドイツにもきしめん風や餃子風の美味しい料理が有ります。

例えば、南ドイツ・シュヴァーベン地方の郷土料理、
卵がたっぷりはいった薄いパンケーキ状の生地を細長く切った
具が牛の透明なコクのあるしっかりしたコンソメの中に浮かん
でいる「フレードゥレズッペ」。あるいは、イタリアで出逢った
ラビオリ娘が南ドイツに嫁入りして十年経ったような「マウルタッシエ」
です。もう一つ忘れてはならないのがマカロニのような蕎麦がきのような
「シュペッツレ」。
昔は、この三つの料理がきちっとできなければ嫁にはいけないと
言われたくらい南ドイツ、シュヴァーベンの人達の暮らしに
根付いた料理です。 

南ドイツを旅行した際は、是非、小さな村の地元の
料理屋で試してみてくださいね。

シュヴァーベン地方の古い街、アーレンの街並み。
戦災でだいぶ破壊されましたが、戦後、元の景観を見事に
復興しています。

こんな雰囲気の村の料理屋さんが、南ドイツには何百、何千と
あると思います。 


友人のオーガニック農園、秋の収穫祭

2017年09月03日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

僕の住むドイツの小さな村。
秋晴れの日曜日。秋の収穫祭。

今年で30年を超えた、友人のオーガニック農園の一年に一回の大きな
お祭り。
僕も今年はワインのスタンドを担当。ウチの奥さんはサラダバー担当。

地域の中心となったオーガニックの農園。
過去40年、ドイツの社会を、その何百万人の市民の生活意識を変えた
大きな運動の一つ。

 


ドイツの自宅で、和食の料理コース

2017年02月26日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

ドイツに戻ってすぐ翌日から、自宅のキッチンスタジオで二日連続の
和食の料理コースでした。

こんな感じでスタートします。

今回はドイツのヴィーガンの人達向けの、コースです。
「野菜たっぷり、具沢山のお味噌汁」が一つのテーマです。
ベースは水出しの昆布水、或いはドイツで手に入る根菜たっぷりで
水だけでも美味しく出来る、しっかり味のお味噌汁などです。

もっと詳しく書こうと思ったのですが、片付けが終わってワインの
グラスに手を伸ばすと、もう夜中の12時近く、もう何度も寝落ちして
しまい、膝の上にワインをこぼしてしまいました。
また、明日、続きを書こうと思います。

(キッチンの下の和室。コース参加者との顔合わせ風景です。)


「Biofach・ビオファ」- ドイツ・ヨーロッパの美味しいお土産

2017年02月18日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

今年初めての日本。関空から京都への移動中。今日から約一週間の滞在です。
今回はドイツ・ニュルンベルクの国際オーガニックフェアでの仕事から、
そのまま直行したので、トランクに美味しいお土産を詰め込んで来ました。

ちょっと書き出してみます。

まずはイタリアから。
南チロルの昔からのサラミ2種類
ピエモンテ州のパルメザンチーズ、
南イタリア・プーリア州の辛口のワイン、白がシャルドネ、
赤がプリミティーボ。ドイツからは、
南西ドイツの小さなワイナリーが作った、赤と白のブドウゼリー。
自然なフルーティな味が素晴らしいジャムやマーマレード。
プラムやベリーのミックスが特に美味しい。
レンズ豆&ジンジャー、カシューナッツ&赤パプリカ、
赤ビーツ等のビーガンのペースト。
スイスからは大人用と子供用のチョコレートココア。

毎年2月にニュルンベルクで開かれるこの「ビオファ」(Biofach)は
世界最大規模のオーガニックフェアだと思います。
各々100m×100m位のスペースで、1号館から8号館まで、ヨーロッパや
世界の各地域から何千の出展者が集まり、オーガニックの食材で埋め尽く
されます。

オーガニックや世界各地の自然な食材に興味がある人なら、ヨーロッパ
一周旅行に行くよりもずっとずっと楽しいですし、各国の食文化の
多彩さやその広がり、そして伝統的な自然な美味しさに感動、
圧倒されるのではないかと思います。

下の写真は知り合いのドイツのワイナリーの
クンツェさんです。確か40ヘクタールの葡萄畑で、年間16万本ほどの
生産量だったと思います。もう、4代、5代、あるいはそれ以上続いている
ワイナリーですが、このシュテファンさんの代からオーガニックに切り替え、
もう30年くらいになっています。二人の息子さんも大きくなり、ドイツの
名門のワイン醸造大学で勉強中、お父さんの若い時と同じように、その後、
フランスやニュージーランドなどで武者修行をした後は、跡を継ぐことが
決まってるそうです。とても嬉しそうでした。

 

一方、僕と肩を組んでいるのは今回知り合った南イタリアのワイナリーの
大将です。赤のブリミティーボがうーんと唸るばかりの感動的な味でした。
写真の僕はもう10本以上も南イタリアの地ワインを試飲した後のことで、
すっかり機嫌よく、昼間から楽しく酒飲み気分です。

なお、ニュルンベルクは第二次世界大戦時までは中世の姿がそのまま
残ったとても美しい街だったそうですが、 終戦直前に非人道的とも
言える徹底的な爆撃を受けた都市です。戦後の歴史的景観の復興に
励みましたがかつての姿は、その面影を偲ぶのみです。
他方、ニュルンベルクの周囲の丘陵地帯、フランケン地方には
500年、600年を経た中世の村や街がそのまま残っているような
ところも少なくありません。 
僕が毎年泊まる、ラオウ・アン ・デア・ペグニッツもそんな
街の一つです。

 


「ヨーロッパで和食を作るなら、ビーガン・野菜料理が一番! − 本当に美味しいね」

2016年09月21日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

オーストリア、ウイーンで勉強中の末娘が、毎日の食事のベースを
ビーガンに切り替えてから約一年。それ以来、僕が家族のご飯を作る
時にも「和のビーガン、野菜料理」が、大きなテーマとなりました。

その娘がこのところ久し振りにドイツに二週間戻ってきているので、
ついつい、いろいろな野菜料理や豆料理を作ります。

レンズ豆をしっかり炊いて、ニンニクや豆味噌を効かせて、いろいろな
香味野菜の細々&水切りした豆腐とと一緒に炒めると、肉味噌のような
とても美味しいペーストになります。蒸して軽く炒めたカリフラワーに
載せたり、あるいは柚子の絞り果汁と薄口醤油を少しかけた冷奴にトッ
ピングしても、なかなか美味しいものです。

もう一つの野菜炒めは、ズッキーニをきしめんのようにピーラーで薄切
りしたものに赤や緑のパプリカの細切り、塩麹漬けのキノコを加え、少
しの昆布水とエクストラバージンのオリーブオイルで炒め上げ、最後に
ルッコラと青紫蘇のザク切りをたっぷりと投げ入れ、パッと火が通った
ところを、すぐにいただきます。イタリアと日本のハーブの出逢いが、
新鮮な美味しさです。

ひじきとバラ海苔の炊き込みご飯をすし酢にして、山芋の糠漬けやシソの
醤油漬けを芯にした海苔巻きも娘と二人で作りました。

子供の頃からの食いしん坊が、体や健康、そして自然環境のことなども
考える、大の料理好きになったことはとても嬉しいことです。

これからも出来る限り、応援しようと思います。 


 


和のビーガン料理 – 「車麩とアボカド・トマト・平茸の夏サラダ、紫蘇とルッコラを添えて」

2016年09月12日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

ドイツで作る乾物クッキング その①今年になってから家での食事は
8割がた野菜料理、ドイツでいうビーガンの料理がほとんどです。
さて、春と夏に日本に戻っていた時に京都で乾物クッキングを少し
習いました。(山上師匠ありがとうございます!)

その時に、日本の乾物こそ色々な野菜と一緒にすると和の美味しい
ビーガンレシピが作れるなと思いました。この頃色々試していますが、
今日は下のサラダが美味しく出来たので、レシピ本の真似っこをして
作る手順を下記に書き出してみました。(ややこしそうなレシピですが、
実は冷蔵庫の中にあった残りものと野菜やキノコを寄せ集めて作った
ものです)

1. 完熟トマトを湯むきします。

2. そのトマトを冷蔵庫で一晩水出した昆布出汁で、中〜弱火で少し
柔らかくなるまで炊きます。火からおろしてホウロウの器に移し、粗熱
が取れてから冷蔵庫に入れて、一から二晩置いておきます。
(出汁の味付
けは、ほんの少しの白醤油、薄口、お酒、塩で淡い味におさえます。なお、
鍋を火からおろす前、紫蘇の葉を一、二枚いれておくと、紫蘇の味と香り
が移り、さらに爽やかです。

3. このトマトを丸のままガラスの器に入れて供すると、夏の暑い日の口切
の爽やかな前菜になります。

4. さて、このトマトを炊いた漬け地が余ったら、そこに
(できれば膨張剤を使っていない) 車麩を水で戻さずにそのまま
2、3枚漬け込んで、冷蔵庫に入れておきます。一から二晩で味が
しっかり染み込み、芯まで戻り全体が柔らかくなります。

5. このトマトの酸味と昆布出汁の漬け地の旨味を十分に含んだ車麩を、
軽く絞り、それから真ん中で半分にして5mmくらいの薄切りにします。

切り終わったら、エクストラバージンの良いオリーブオイルを少しかけて
軽く混ぜ合わせてください。

これで車麩の夏サラダのベースが出来上がりました。

6. 次によく熟れたアボカド (半分くらい) を串型に薄くスライスし、さら
に3等分にします。このスライスしたアボカドを薄口醤油と柚子の
果汁 (なければレモンでも) とわさび (チューブで可) で軽いわさび和え風
にして下味をつけます。

7. 完熟の生のトマト (大1個くらい) の皮をむいて、中のジューシーな
ところをザクザクと切ります。そのうちの約2/3をあとで他のものと
和えてしまい、残りの1/3はサラダにトッピングしてください。

8. 平茸 (エリンギや舞茸でも可) をやや小さめ目にさいて、フライパンで
油を使わずに焼き付けます。きのこの香りが出てきたら、そこに 4. の
漬け地の汁の中で戻したみじん切りのドライトマトとその戻し汁
(15cc ほど) を加えて、軽くしんなりするまで中火であっさりと炒めます。
黒胡椒を最後に振ります。

9. ここまで用意できたら、ボウルの中で 上記 5. の車麩、6. のアボカド、
7. 刻みトマトを一緒にしてささっと和えてください。それから冷たくした
ガラスの器に盛り付けてください。

10. 最後に、昆布水で湯がいて軽く塩のみで下味をつけた細いんげんを適当
に切ったもの、そして紫蘇の葉とルッコラを半々くらいに混ぜてざっくり刻
んだものを盛り付けたサラダに振りかけてください。

11. 残しておいた生のトマトのざく切りを上に最後にトッピングします。

すぐに食卓に出してもいいですが、時間があれば少し冷蔵庫で器ごと冷たく
してから提供してください。さっぱりした夏のサラダですが、一つ一つの味
が食材の味が絡み合い、爽やかながらメリハリのある味のサラダです。
ノンドレッシングのサラダです。

 


おーい、お新香〜!

2016年06月08日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」



初夏の朝、おーい、お新香~。





朝ごはんを食べようと思って、冷蔵庫から糠漬けを取り出すと、
とてもきれいな楽しいいろいろだったので、そのまま切らずに、
平皿に並べてみました。

 

日本の糠漬けになった西洋野菜を見ながら、僕は
「ドイツやヨーロッパの一人ひとりが自由なところ、一つ一つの
地域や個性が大切にされ、色とりどりなところ、そんなところが
好きなのだろう」と、ふと思いました。


「マウルタッシェン」- ドイツの郷土料理、侮ることなかれ

2016年04月27日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

南ドイツ・シュトゥットガルト地方、シュバーベン地方の名物は
何と言っても「マウルタッシェン」(Maultaschen)


イタリアのラビオリと中華の水餃子がドイツで歴史的な出逢いをして、
世紀の大恋愛から産まれた、日本ではあまり人には知られぬ、
隠し子のような傑作パスタです。

南ドイツのシュバーベン地方は、昔から手工業が盛んで勤勉かつ創造力に富み、
文学ではヴィルヘルム・テルやベートーベンの第九の歓びの歌で有名
な文豪シラー、或いは産業面ではドイツの自動車史を担ってきたベンツ、
ポルシェ、アウディ、ボッシュ等の老舗企業を生み出してきた地域ですが、
その地の人々全てに愛されてきた「マウルタッシェン」。僕も大好物です。

小麦粉に卵をたっぷり入れて、生地をこねて伸ばすところから
はじめます。

中の肉あんももちろん自家製です。
各家庭にそれぞれのレシピがあります。

今晩はこの傑作料理、シュバーベンの特許付きの秘蔵レシピを、
南ドイツ出身の友達夫婦のお母さんから直接伝授してもらいました。
それはそれは感動的な味でした。

少し武骨ですが、その味は天下一品です。



付け合わせはもちろん、マヨネーズは一切使わない、マスタードと
玉ねぎ、それに隠し味のブイヨンが決め手の南ドイツならでは
ポテトサラダです。合いの手は昔からのうすにごりの自然派ビールか、
きりっとした酸味と甘みのバランスが程良い、ドイツならではの
すっきりした白ワインです。



免許皆伝まで、これから何度も作って、自分の手中に収めたい料理です。
実に楽しい一晩でした。
ドイツの郷土料理、本当に侮るこそなかれですよ‼


オーブン料理は妻の味、ドイツのお母さんの味!

2016年03月25日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

ドイツの家庭料理にはよくオーブン料理が登場します。



今日はポレー葱をベースにして、その上にマカロニのようなパスタと
イタリアのモッツァレラチーズをのせて、こんがり黄金色に焼き上げた
ものでした。
いつも、キッチン一杯に美味しそうな香りがたちこめます。
オーブン料理はこの頃はあまり食卓に登場しませんでしたが、昔から
妻の、そしてドイツ全国のお母さん達の得意料理です。



ついつい食べすぎてしまうのが玉にキズ。
沢山作るので、二、三日食べ続けることもあります。

 

今日は3杯目のおかわりでストップしました。
オーブン料理というと、僕にはドイツの洗濯機と同じで、30年経っても
何か如何にも外国のもののような気がして、今まで手を出さなかった
のですが、今年は和食だけでなく、ドイツのオーブン料理に挑戦しようと
思っています。その時には、妻と末の娘が料理の先生です。
「よろしくお願いします!」



「ドイツの秋はゲンゼ・エッセン ー鵞鳥の丸ごとロースト」

2015年11月21日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

秋が深まり冬に向かう途中、毎年、近所の友達夫婦が集まり、
年に一回の鵞鳥の丸ごとローストを楽しむ集いがあります。
何ヶ月も前から招待状を出したり、何日も前からこの日の料理を
準備したり、招く側も招かれる側も、今年もつつがなく一年を
暮らせた思いを有難く祝う日でもあると思います。



朝から用意してきたテーブルセッティングも終わって、
いよいよ宴の始まりです。



今日のホストは料理上手のエルケ。去年大好評だった赤ビーツの
カルパッチョ、ラプンツェルとくるみと山羊のソフトチーズを
乗せて、ラズベリーのビネガーとバルサミコを合わせた、
甘酸っぱいソースがかかっています。
「綺麗で美味しくて、変な飾りがない、こういう料理はいいなぁ。」
と思います。



ご主人のホルストと僕は、毎年切り分けの係です。



はさみで左右二つに切り分けて、中からりんごの詰め物を
取り出します。



さて、メインディッシュの鵞鳥のローストの付け合わせになるのは、
定番中の定番、手作りの「カルトッフェルクレーセ/ジャガイモ団子」
と「ロートコール/甘酸っぱく炊いた赤キャベツ」に、上の写真の
りんごの詰め物です。
この三つが全て、ドイツの秋から冬の訪れを伝える旬の食材です。
肉汁ベースのブラウンソースと共に、ドイツのジビエのレシピには
必ず付き物の、美味しい組み合わせです。



食卓のお皿の上では、この黄金トリオがこんな感じで
盛り付けられます。



右から、ジャガイモ団子、赤キャベツ、ローストの中の詰め物だった
甘酸っぱいりんごの三種です。
そして正面の空白のところに、切り分けたお肉がどーんとサーブされ、
各人が自分の好みで好きなだけブラウンソースをかけます。



キッチンで切り分けられ、大皿に盛り付けられた鵞鳥のローストが
いよいよ、皆が待つ食卓に運ばれます。



「グーテン・アペティート! 」ー「美味しく召し上がれ、今日の日に乾杯!」

僕は30年経っても相変わらず異邦人ですが、こんな時は
「ああ、学生の頃から暮らしてきたドイツの良いところだなあ。
僕の子供達もドイツをこうして母国として育ち、暮らしていく
のだろう。良い人達に巡り合いますように」
と思う時です。