楡 周平/骨の記憶

楡 周平 著　「骨の記憶」を読みました。



東北の没落した旧家で、末期癌の夫に尽くす妻の清枝。

ある日そこに五十一年前に失踪した父親の頭蓋骨が宅配便で届く。

差出人は集団就職で町を出た翌年、火事で死んだはずの同級生・長沢一郎だった。

「骨」に込められた思いと秘密とは?

楡 周平作品を読むのは久しぶりです。

本作はこれまでに読んだハードボイルドな作品とはちょっと違っていましたが、相変わらず読み易いですね～！

戦後、中学卒業者が「金の卵」と持てはやされた時代。

その頃の田舎から始まり都会の情景がきっちりと描かれています。

集団就職で上京した少年が社会と大都会に揉まれて、やがて運送会社を一代で築き上げ、大物政治家までも動かすほどの企業へと育て上げる。

しかし、彼には子供の頃に幼馴染と引き起こしたとある秘密があった・・・。

高度成長期の昭和を舞台に描かれる、成功と喪失、そして復讐と因果の物語。

読み応え十分の作品でした！！

この小説の満足度：☆☆☆☆