「氷結の森」を読みました。
著
日露戦争から生還した柴田矢一郎は、故郷の秋田県阿仁を離れ、職も住まいも転転とする流浪の生活を続けている。
そんな彼を10年もの間、追い続ける男がいた。
雪深い森で、男から散弾銃を浴びた矢一郎は、危機一髪逃れるが…。
さらなる過酷な運命が、矢一郎を待ち受けていた。
「相剋の森」、直木賞・山本賞ダブル受賞作「邂逅の森」に連なる<森シリーズ>マタギ3部作の完結編。
東北を舞台にしていた前二作とはかなり赴きが異なり、本作の舞台は樺太、シベリア、サハリン、ロシアです。
厳しい気候が人間を拒絶しつづける極寒の地で孤独な元マタギの男と、彼を取り巻く人々が織りなす壮大な物語が展開されます。
当時の史実を踏まえたストーリーはフィクションでありながらリアリティーのある歴史冒険小説に仕上がっています。
惜しむらくは、前二作で描かれていたマタギと森における動物たちとの息詰まる対決シーンがない事でした。