草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 十三夜/龍峰

2022-11-07 | Weblog

              六甲山と茅渟の海の十三夜

今年の十三夜も最初は雨模様で気をもんだが、月が出始める頃には晴れ上がり、きれいな十三夜を愛でることができた。

 

        清光の雲居にあそぶ十三夜

        前線過ぐ天与の雅十三夜

        雨あがる我にツキあり後の月

 

        三更の街中白し十三夜

        歌仙揚ぐも興醒めやらず十三夜

        絵画談義果てなくつづく十三夜

 

        遠き日の姉の鼻唄「十三夜」

        宵張りの名残の月やドビッシー

        城落ちし能州の上(え)や十三夜

 

最後の句は上杉謙信が天正五年、能登の七尾城を9月13日に攻め落とし、陣中にて詠んだ漢詩「九月十三夜陣中作」を思い起こし、詠んだもの。

 

 

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日の俳句  木犀/九分九厘 | トップ | 今日の俳句:冬めく・葉有露 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
好きな句 (九分九厘)
2022-11-09 12:24:52
龍峰さま
 昨晩の皆既月蝕は素晴らしかったです。左下7時から蝕が始まり一時間程かけて右上1時の光芒が消えました。それから一時間半かけて薄い橙色の球形の月が暗闇にぶら下がったような姿が続きました。新しい光芒が見え始めたのが左上11時辺り、約一時間で元の満月に戻りました。地球が月を隠す陰の距離が、月の大きさの約3.5倍の長さであることが分かりました。それから細い光芒の始まりや終わりの位置から、地球と月の回転の関係も想像することが出来ました。
 貴兄の俳句を昨日の経験から、新たな目で観賞することが出来たようです。次の五句を頂戴いたします。

    清光の雲居にあそぶ十三夜

 昨晩の月蝕をみて、この句の観賞の視点が変りました。単純に<月の光が雲に隠れたり出たりする、どちらかと言うと静的な美しさ>だけでなく、これに加えてもっとダイナミックな太陽や地球の動きを読み取ることが出来ます。

    前線過ぐ天与の雅十三夜

 上五が我々地球に生活する環境を暗示しています。そして、中七がとても美しい言葉で天の神を暗示しています。そして下五が宇宙を含む人の世界に祝福を与えているのでしょう。スケールの大きな句です。
 
    雨あがる我にツキあり後の月

 お遊びの句ですが、時にはこうした句作りが楽しいものです。

    三更の街中白し十三夜       
    城落ちし能州の上(え)や十三夜

 謙信の漢詩を勉強させてもらいました。漢詩に「三更」の言葉が出てきますが、上記二つの句は時代と場所を変えての対句のごときものと思いました。前者は貴兄の家から見た神戸の町並みだと思います。謙信の漢詩を知らなくてもこの句は頂戴致します。真夜中の神戸の街が月に照される光景が美しく表現されています。詩吟を嗜まれている貴兄には、かつての謙信の意気揚々とした気概と相通ずるところがあったものとおもいます。
返信する
好きな句 (葉有露)
2022-11-09 16:07:01
龍峰様

 昨晩は皆既月食。一昨晩は十三夜。宇宙の中の
小さな存在であることに、もう一度気づかされました。
 全九句の中から、共感を覚えまた実感のある五句
を頂きます。

 ・三更の街中白し十三夜
  
  かっては冒頭の写真の風景の中に小生も居り、夜更けまで街中をうろついていました。

 ・歌仙揚ぐも興醒めやらず十三夜
 ・絵画談義果てなくつづく十三夜

  共に同じ世界を楽しむが故に、親しみを感じ
 ます。

 ・遠き日の姉の鼻唄「十三夜」
 
  小笠原美都子、二葉百合子が歌って世にひろめ
 られました。小生は藤島恒夫の「月の法善寺
 横丁」にでてくる「未練な十三夜」をふと思い
 だしました。学生時代友と横丁辺りをうろついて 
 いました。

 ・ 宵張りの名残の月やドビツシー
 若き頃の夜遊びを思い出しがら、「月の光」を
 聴いています。

              葉湯露拝
  
返信する
お礼 (龍峰)
2022-11-09 16:47:31
九分九厘 様

早々に5句も取り上げ、宇宙観を踏まえたスケールの大きな観点よりのコメント、大変参考になりました、有難うございます。
昨夜の月食はドラマチックでした。特にオレンジ色掛った月はミステリアスな感じを受け、印象的でした。
宇宙の神秘めいたものと人間の存在の小ささを感じました。

清光の句、とても太陽や地球規模の大きさで、句を詠むなどお呼びも尽きませんでした。

前線過ぐの句、うまく晴れた空に冷たく青く輝く月は孤高の美しさ、気品を感じました。

雨あがるの句、ご指摘の通り、時に俳諧を追求しました。

三更の句、前線過ぐの句と言わば一対の句として詠みました。汚れたものも、この月の光でまっさらになるような感じです。

城落ちしの句、ご存知のように謙信は単なる武力だけの人ではなく、教養深き求道者の一面もあったようです。城を落とした後、陣中で後の月を見上げた時の彼の胸中を想像してみるのも、同じ月を見ている自分の一興かと思った次第です。
返信する
お礼 (龍峰)
2022-11-09 18:53:50
葉有露様

早々に5句も取り上げて頂き、ご自身の若き頃の思い出をまじえてのコメント、大変身近に感じます。
有難うございました。

昨夜の月食はドラマを見るような変化、オレンジめいた月に神秘さを感じました。このような天体ショーを見ていると、何か人間は、如何に小さな存在であるかを強く感じます。その人間が玉の打ち合い、核の脅し合いには、天の神は何と人間はおろかで、この地球上に現れてから、同じことを繰り返しており、何の進歩もない人間に呆れていることだろう。自業自得で滅びるのも良し。地球はこれ以上汚れなくて幸いだと思われても仕方ない思われてくる。
月を見ているそのように感じてしまう。

小生が詠んだ十三夜は先月のいわゆる正規の十三夜です。「十三夜」の唄には藤島恒夫のものもありました。こちらはよく歌いましたね。
月夜にドビッシーもいいですね。
返信する
好きな句鑑賞、他 (かつらたろう(桑本栄太郎))
2022-11-09 22:17:11
龍峰 様

今晩は!!。
10月7日(月)に5回目の新型コロナワクチンのBa5タイプを打ったところ、副反応の微熱(37.5度程)が出て2日間ほど体調が悪く、鑑賞が遅くなり失礼致しました。
タイトルのお写真(六甲山と茅渟の海の十三夜)は素晴らしいですね?嘗て「芒の会」のメンバーで、御所に夜集合の上比叡山に上る十三夜を愛でる吟行句会の事が、昨日の如く懐かしく想われます。
今年の後の月(十三夜)は10月8日であったようですが、寒がりの小生はじっくり見て居りませんでした。古より仲秋の名月を愛でた者は、後の月も必ず見るようにと云われ、両方愛でなければ「方見の月」と云われたようですね?お写真と素晴らしい御句に感嘆の声を上げるばかりです。
その中より、以下の御句を鑑賞させて頂きました。

     ☆清光の雲居にあそぶ十三夜
お写真にあります、六甲山より茅渟の海に上空に見える十三夜の月明りを「清光の雲居にあそぶ」との表現の措辞は、中々思い付かない事であり、素晴らしいですね!!。

     ☆前線過ぐ天与の雅十三夜
10月8日の朝方頃までは前夜より前線通過の為、月見が危ぶまれましたね?夕方近くより晴れ上がり、素晴らしい十三夜になったようです。その事を「天与の雅」とは普段の心がけの良さの賜物のようです。

     ☆雨あがる我にツキあり後の月
「後の月」の当夜は雨もあがって絶好のお月見が出来たようです。これも又「我にツキあり」と、ポジティブに捉えられている為のようですね!!。「物事は自己の願ったようになる」との心理学からの見地でも云われているようです。

     ☆三更の街中白し十三夜
三更とは「午後十一時より午前一時頃」までの真夜中の事ですね?
この時間帯は「もの皆眠りに陥る夜更け」です。六甲山より茅渟の海の夜景は街中が真っ白になるほどの、そのような中での十三夜です。
        
     ☆歌仙揚ぐも興醒めやらず十三夜
十三夜に因み、平安の古の三十六歌仙より和歌をとり上げてみても、この十三夜の趣には如かずのようですね?桜の花とお月様の
美しさは「歌にも言の葉にも」言い尽くせず、ただ眺め愛でるばかりのようですね!!。

     ☆絵画談義果てなくつづく十三夜
後の月(十三夜月)を眺めながらも、絵画仲間との絵画談義は尽きる事が無いようですね?俳句を作句する場合も、絵を描く場合も「何を眼目とするか?」が重要なようですね?作者の描きたいものは何か?詠い事は何か?との主題のとらえ方が重要なようです。

     ☆宵張りの名残の月やドビッシー
宵っ張りの作者は又クラシック音楽も好みのでもあり、名残の月見物の後は、ドビッシーの名曲「月の光」のピアノ曲を愛でられたようですね?凛と清光の明かりを想い出しながら、音楽にも酔っています。

     ☆城落ちし能州の上(え)や十三夜
上杉謙信公は能登七尾城を落とした時に作った漢詩に因む一句とは、その教養の深さ高さにただ驚くばかりですね?又龍峰様の詩吟をお伺いしたいものであります。

さてひさし振りに近作の拙句を!!

☆神在りの月の出雲やわんこそば  かつらたろう
☆銀杏散る井伊の居宅や彦根城   かつらたろう
☆京なれや呼び込みもして酢茎売る かつらたろう
返信する
お礼 (龍峰)
2022-11-10 23:30:35
たらう 様

9句も取り上げて頂き、各句に懇切丁寧なコメント、身に有り余るお褒めの言葉を頂き、舞い上がる気持ちです。有難うございます。
10月8日の十三夜は出足は雲がかかっていましたが、のぼるにつれ、煌々と青白く輝き、素晴らしかったです。

清光の句、雲居に遊ぶと云うのは少しきざぽっく流れたかなと反省しています。

前線過ぐの句、上り切った月は青白く高貴さと冷静さを讃えていました。何と表現すべきやとちょっと苦悶しました。

雨あがるの句、十三夜を緊張ばかりして詠むのはどうかと思い、遊んでみました。

三更の句、真夜中の街は月明かりで白く感じられると同時に、白秋、即ち秋を強調しようとも思いました。

歌仙の句、初心で歌仙をやっていて、歌仙を巻き終わってもまだその余韻が残っている様子を詠みました。

絵画談義の句、ご指摘の通りです。

宵張りの句、ご指摘ような高尚な光景ではありませんが、月の光の中で好きな曲を聴くのはいいですね。この句は少し甘すぎたと思っています。

城落ちしの句、名だたる武将は教養も豊かで偉かったと思います。特に謙信は随一の一人のように思います。西郷隆盛や乃木大将らも漢詩を作っていますね。

最後になりましたが、貴兄の御句を鑑賞させて頂きます。

   ☆神在りの月の出雲やわんこそば  かつらたろう
「神在りの月」「出雲」の輝く言葉に「わんこそば」の取り合わせは、落差が大きく超特です。古里をさりげなくきれいに詠まれています。

   ☆銀杏散る井伊の居宅や彦根城   かつらたろう
銀杏落葉が印象的だったのでしょう。良く伝わってきます。小生の独断と偏見で率直に申し上げますと、ただ惜しむらくは、「井伊」と「彦根城」が重なり気味な感じを受けることでしょうか。

    ☆京なれや呼び込みもして酢茎売る かつらたろう
この時期の京都の風物を、庶民の目線できれいに詠まれているのが印象に残ります。
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事