信楽のたぬき達
コロナ小康状態の今がチャンスと捉え、先日信楽の陶芸村へ出かけた。
沢山の窯元があるが、訪ねたのは明治21年に開窯の老舗。すでに引退はしているが、大きな100年の歴史を支えた登り窯は、満身創痍のひび割れ、窯の天井や壁は1300度の熱で実に味わいのある緋色で存在感があった。但し、今は雰囲気のある喫茶店として活用されている。
信楽と云えばやはり、たぬきの置物。本格的に作り出したのは昭和26年の昭和天皇のこの地への行幸がきっかけとか。
戦後間もなし迄は、火鉢の生産で全国の9割り方をしめていた。今は、昔ながらの茶器の他、植木鉢、傘立て、スパ用の五右衛門風呂等など。時代と共に陶芸品のニーズも変わってきているようであり、苦労がしのばれた。
黄あざやか長雨前の麦秋かな
植え揃ふ棚田のひかる伊賀の里
竹の秋山郭深く家二軒
新緑や今も変わらぬたぬき達
葛饅頭スカーレットの湯飲みかな
万緑や緋色の壁の古茶房
緑陰や深きねむりののぼり窯
薫風や信楽背負ひし登り窯
老鶯や明治のひびののぼり窯