銀鼠の美学を問はむ猫柳
我輩もうかれて楽し恋の猫
戯れの浮気は御法度恋の猫
猫の恋一途なること憐れなり
夢見てもそれは昔の猫の恋
冬季オリンピックも終わった。森元首相が「真央は肝心なときに必ず転ぶ」と言ったことに、浅田真央は反撃して「人間は失敗することもある。私は気にしていないが、森さんが一寸反省しているのではないか」と外人の記者に答えていた。なかなか根性のある若きアスリートである。それにしても無念であったであろう。
ソチ終へし真央の無念や春浅し
以上
銀鼠の美学を問はむ猫柳
我輩もうかれて楽し恋の猫
戯れの浮気は御法度恋の猫
猫の恋一途なること憐れなり
夢見てもそれは昔の猫の恋
冬季オリンピックも終わった。森元首相が「真央は肝心なときに必ず転ぶ」と言ったことに、浅田真央は反撃して「人間は失敗することもある。私は気にしていないが、森さんが一寸反省しているのではないか」と外人の記者に答えていた。なかなか根性のある若きアスリートである。それにしても無念であったであろう。
ソチ終へし真央の無念や春浅し
以上
京の句アンソロジー~名刹を訪ねて
恒例の句会も終わり、句を詠むことにいささかの倦みも感じます。そこで、箸休め的に冬から早春にかけての<京都>の句を集めてみました。このところ上洛すること多く、半ば京都人となった、ゆらぎの独断と偏見にて。
(ご案内)・・・・みなさんから頂いたコメントについて、総括し、この記事の最後に一文掲載させていただきました。最後尾をごらんください。
(竜安寺)
鏡容池
木瓜咲いて岩に小亀を乗せにけり (大串章)
竜安寺おしどり池も温みけり (増田手古奈)
(書院中庭にて)”日本最古 侘助椿 豊太閤 朝鮮伝来)
侘助のしづ枝暮れいる龍安寺 (石原八束)
石庭
方丈の大庇より春の蝶 (高野素十)
侘助を活けて「知足」といふことを (水野久代)
ー方丈の裏側、茶室「蔵六庵」の露地に銭形の蹲居(つくばい)が据えられている。その中央に口があり、それを吾、唯、足、知の四文字が共有している ”吾れ、唯だ、足ることを知る”
(金閣寺)
春雪や金閣金を恣(ほしいまま) (松根東洋城)
(下鴨神社 糺の森あたり)
春月や上加茂川の橋一つ (河東碧梧桐)
加茂川の日々に涸れゆく酸茎かな (岸風三楼)
(源氏物語~「宇治十帖」古跡)
宇治十帖十碑を巡り青き踏む (駒木逸歩)
(祇園~祇園新橋~花見小路))
凍ゆるむ白川沿いから縄手へと (小山洋山)
勇の碑めぐり祇園の恋の猫 (桜井八重)
花まだき花見小路の燈に遊ぶ (角川春樹)
(哲学の道)銀閣寺橋と若王子橋との間を、ゆるやかにカーブする道を南に向かうと路傍に素十の句碑がある。
大いなる春といふもの来たるべし (高野素十)
瀬音聞く哲学の道寒明くる (池本守)
(法然院)哲学の道から、わずかに道一本東に入る。河上肇著名人の墓が多く、だれもがそこに入りたいと言うとか。三名椿で知られる。
椿落ちて林泉の春動きけり (松尾いはほ)
春や椿二十五菩薩二十五花 (日野草城)
一幹に五色装う椿かな (山本松枝)
ひとつ咲く酒中花はわが恋椿 (石田波郷)
みなさまのお気に召した句がありましたでしょうか? また、これらの句のほかにみなさまのお好きな京の句がございましたら、ご自身の句もふくめ、ぜひご紹介ください。ただし季節は冬から早春で。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
みなみな様
京都の早春、冬の句に熱心なコメントをお寄せ頂きありがとうございました。わたくしめが選んだ句もふくめて、選句の結果をまとめてみますと、下記が選ばれています。
”大いなる春といふもの来たるべし” (高野素十)・・・4点
”侘助のしづ枝暮れいる龍安寺” (石原八束)・・・3点
”瀬音聞く哲学の道寒明くる” (池本守)・・・3点
”椿落ちて林泉の春動きけり (松尾いはほ)・・3点
ま、妥当なところかと。それはともかく、これらの句を並べて見てみると、とても勉強になります。京都の名所など、数カ所まわり、地名や碑銘など固有名詞を入れて句を詠み、そこで句会をするというのも興趣があろうかと思った次第です。たろうさんが、いくつも詠まれた四条界隈なども面白いかとおもいます。たろうさん、ここで出された句も、どんどん句会で出した見てください。「芽柳」の句なぞ、いいじゃないですか?
ところで、どなたもご指摘がなかったのですが、掲載の冒頭写真、いいでしょう! 白川の上流の方、近代美術館から少し南のところです。ちょうど落花が土手に散り敷いて、見事な眺めでした。
それから最後に”種あかし”をいたします。京都の友人から”京都案内”にいい本がある、と彼の友人の本を頂きました。それが、京都在住の元ビジネスマンである池本健一さんの書かれた『京都「五七五』あるき』という本です。各名所ごとに俳句やそこの歴史、謂われなどなどをまとめた、なかなか楽しい本です。ほかの俳書もみましたが、概ねはそこから選ばせていただきました。著者の池本さんにあつく御礼申し上げる次第です。
2月に入って立春も過ぎたのにまだまだ寒い。明日から又、終日雪だと。この冬に詠んだものの、春になり、来年までお蔵入りにしようとしていた句を引っ張り出してきた。
白銀の櫛で髪すく雪女郎
雪女郎銀の櫛のせ髪長し
雪女郎細身に細き眉をひき
雪女郎につと笑ひて招きをり
雪女郎の笑みに思はず踏み出しぬ
雪女郎湯殿に消える銀の髪
立春を過ぎたというのに、急に冷え込んできました。これが「冴え返る」ということでしょうか。思いついたままの句を書きます。「室蘭」が冬の季語になるかどうか、ちょっと疑問のあるところですが、我が家で見事に咲き始めました。多くの鉢を家の中に取り込むので、本箱をいつも移動させます。
老二人室蘭咲くを喜べり
冬蘭の花の顔つき事多き
春立つや論語ひもとく集ひあり
立春をニュースで知るや冬地獄
春隣菩薩の衣紋緩みゐる
風花や何とは無しに胸騒ぐ
風花や輪廻を迷ふ又三郎
以上
なんの脈絡もなく、冬の句を詠み散らしました。 ご容赦ください。
冬惜しむ浪花の夜にきんき愛(め)づ
地蔵凍つされど冬芽のあたたかさ
春信やわが心にも灯がともる
氷柱とる幼き子の手ほの紅き
短編を読み終へし窓寒雀
風花やほのかに淡き恋心
化粧(けわい)せず席をたちたる冬帽子
ゆらめける心のともしび星冴ゆる
かにせんべいほのかに甘し春を待つ