いつもの乱れ打に加え、敬愛する夏目漱石の句を題材に和歌の本歌取りのようなことをして遊んでみました。また乱れ打ちの句もできるだけ若々しい句を詠むようにしました。字余りにもこだわらず、下手な鉄砲を数だけは沢山撃ちました。ご笑覧ください。
ハーレーの爆音響く雲の峰
美しき五月となりぬ楽譜買ふ
~シューマンの「詩人の恋」にちなんで
心太今日もけふとて「ドラゴン桜」
~ご存知「ドラゴン桜」。阿部寛主演の学園ドラマ。東大専科という名のスパルタ授業。面白くて痛快極まる。
夜を深み二人して嗅ぐ若葉の匂い
会はぬ人面影若し鴛涼し(おしすずし)
紅花や二胡の音激しく響きたる
灯の赤き先斗町へと宵涼し
ぶり大根やっこきんぴら夏のよそ
~最近、茨城の美酒「雄町」と出会へり。さわやかで、口中ではじける。ワインのようで、食中酒として最高。
衣更まずは走れりユニクロへ
母の日や香箸いまだ出会わざり
灯涼しひとりあそびぞ我はまされる
~良寛は越後の庵で独居しつつ読書(ひとり遊び)を好んだ
遠き日は星空夢見し宵蛍
木苺の甘みと酸味忘れめや
~村住みの余慶とや
能筆は三好達治か白牡丹
~詩人三好達治は大変な能書家である。その香り高きこと、大輪の白牡丹のようだ。
(夏目漱石の句をもじって)
和歌では、本歌取りということが行われます。歌人にして情報科学者の坂井修一さんの書かれた小文によると・・・。
”本歌取りは、もとの歌とは主題を変えることが大切。古典和歌の世界のルールとしては、①有名な歌から取ること②取るのは二句までとする③題を変えること④句の位置を変えること。”
これを俳句でやるとなると、なかなか難しい。③をメインにして、季語を変えて遊んでみました。
霰酒奈良の朝こそ恋しけれ
~あられ酒は、酒の中にもち米の糀を浮かべたもので奈良の特産。
春夕べ聖教帖を習はんか
~「聖教帖」は王羲之の筆跡による聖教序の拓本。後鳥羽院は春の夕方の情趣を賛美していた。王羲之の筆跡でも真似てみようかと
いう気分にもなる。
玉蘭の大雅と遊ぶ蘭の秋
~南画で知られる池大雅とその妻玉蘭は仲のいい夫婦で、そのありさまは、まことに気品があり四君子とよばれる蘭の花のようであった。
空に消ゆる鐸の響きや漱石忌
~鐸は青銅で鋳造された大型の鈴。奈良の薬師寺の風鐸が有名である。