草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 新酒 / 九分九厘

2014-10-30 | Weblog
  
                           花すすきひと夜はなびけむむさし坊

 いつもの事ながら、蕪村の俳画を紹介します。今回は蕪村自身の俳画です。「弁慶図」と称するものですが、「花すすきひと夜はなびけむむさし坊」と、女に無縁の武骨者とされたきた武蔵坊弁慶に対する冷やかしである。一度くらいは女になびいたらどうだと唆されるものの、句の意味すら解せぬ風の弁慶の表情が可笑しい。ここに俳句の諧謔と俳画の対比の巧妙さがみられる。以下、近吟句会の投句を次に披露させて頂きます。

   手酌にて孤独をよしとする新酒
   升縁の塩を舐めなめ新酒酌む
   今年酒仕切り直しの気を給ふ
   残生の楽しみ量る新酒かな

   天変地異いつの間にやら秋の雨
   秋雨や神経痛と仲良しに

   甲子園日本シリーズと蔦紅葉
   御所の傍教会ありて蔦紅葉
                             以上
   
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たまには都々逸(ゆらぎ)

2014-10-20 | Weblog

 俳句について、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか? わたくしは、四角四面な写実俳句あるいはいわゆる花鳥諷詠はあまり好みではありません。もっと詩情豊かに詠みたいと思っています。そうなると俳句、あるいは短歌や詩も、時には鑑賞したいと思うのです。そのほうが幅がひろがるのではないでしょうか? 

 そこからさらに脱線して、今日は下町人情の世界、都々逸を取り上げて見たいと思います、みなさまには、説明は不要でしょう。気に入っている都々逸をいくつならべてみました。さて反応やいかに?

追記 たろうさんが、プロはだしの都々逸を披露してくれましたので、あわせて最下段に掲載させていただきます。これへのコメントもあらば、さらにご意見、ご批評あるいは感嘆の声をお寄せ下さい


 このあたりいつも二人であるいたところ 思ひ出してはまはり道

 酒の苦労がはなしの相手 苦労しとげて茶の相手

 下町人情理屈は抜きで 今日も隣のお茶を飲む

 海のひろさは男のこころ 波はおんなの小さい胸

 旅は道連れ浮世は情け ひとのこころの温かさ

 湯気の向こふにすっくと立った 慈眼菩薩の玉の肌

 九谷の紅から清水焼きの 藍にかはって新茶の香

 こんな良い日も時にはあって 生命めでたく知る浮世

 親ひとりそして娘ひとり祭りの夜の 雨も侘しい水中花

 冷たく悟った色即是空 多情一切過去の夢



(かつらたろう詠)

番台ごしのきぬずれ聞けばそこだけ想う をんな風呂

惚れた女にゃ手玉にとられぬかみそにおふ 今夜かな

収支など無きわがこづかひの辞任許さず 夫の座は

入れて出し出して入れては足のひきつる はた織り機

もう嫌いでしょ泣きぬれた日の嗚呼あれから 五十年








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今日の俳句/山茶花(龍峰)

2014-10-11 | Weblog


狭庭の片隅に山茶花が咲いた。つい先日まで暑い暑いと言っていたが、花は晩秋を取りこんでいる。何と自然は変わり無きことか。人は感情に流されて、自然の移ろいを嗅ぎ取る感覚を麻痺させてしまっている。これは人ではなく自分ではあるが。

  うす紅の山茶花におふ庭のすみ
  山里の影も遠のくそばの花
  越前の川も狭まる苅田かな

  妻籠過ぎ峠にかかる秋ついり
  荒海の壱岐に一息鳥渡る
  尾瀬沼に羽うちたたむ渡り鳥

  隠し湯の宿に菊活け窓ひらく
  秋の野やすれ違ふ人友となり
  新米を求めて走る父の背ナ
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今日の俳句 / 野分 (九分九厘)

2014-10-04 | Weblog
                   
                       己が身の闇より吼えて夜半の秋   蕪村

 句は蕪村の自筆であり、黒犬は応挙の絵である。夜更けの帰途、黒い犬に吼えかけられるが姿は見えず、声だけが闇に響く。暗闇に怯える犬と、蕪村自身の内面に潜む闇とが微妙に重なることが感じられる。蕪村の句には黒い犬が現れていないが、傍に黒犬の絵が添えてあるところに俳画の趣があるようだ。それにしても、この黒い犬の見事な描写は流石に応挙の作品といえる。台風18号が不気味に近づいている。御嶽山の噴火に続き災害の続かないことを祈りたい。野分の句を下記に四句。

    山冥し野分の不安ひろがれり       九分九厘  
    野分来て豪雨の刃凶々し         
    狼藉のかぎりをつくして野分去る
    野分去る忖度なしの次第かな
                              以上
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