草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句/秋(龍峰)

2020-10-30 | Weblog
その1  秋探訪
世間の騒ぎをよそに、季節は何の煩いもなくめぐる。気が付けば晩秋、深まりゆく秋に、今年は特に感慨めいたものを感じる。
漫ろ神に誘われて、今週初めより八ヶ岳高原へ出かけた。1300mぐらいは紅葉、宿のコテージは約1200m、白樺や唐松の林、紅葉の中に身を置いて、読み、詠み、吟、描、漫ろ、湯、美術館と過ごし、一年の雑念を洗い流さんと試みた。
     
        白樺の間の駒ヶ岳

     秋暮れて瀬音かくすや草の丈
     高音の透きとほる秋白虎隊
     木曽川の切り立つ崖に薄紅葉
     八十路超へ時に老荘秋暮るる

     穭田も色変わりゆく近江かな
     どくどくと茶碗につぐや新走
     路地裏の後つぎなしの走りそば
     湧水の新そば旨し八ヶ岳

     朝な夕なに霧かくしけり八ヶ岳
     はるばる来し橋の上より秋の山
     露天の湯や白樺越しに二日月
     白樺の間に新雪甲斐駒ぞ

その2  アルメニア
嘗て30代半ばから約15年間、旧ソ連向けの1つのプロジェクトに関わるも、なかなか終わりは見えず、このまま定年を迎えるのかと一時は思った。1987年にようやく終結、最後の先方とプロトコルにサインした時には相手と抱き合ったものである。その相手のユーザが今紛争の地のアルメニア、首都エレバンにあった、国第2の企業体の化学会社だった。アメリカのデユポンと組み、合成ゴムプラントを納めた。そのプロジェクトに参加。このエレバンには数回、最後のプラントの実証運転では半年近く現地に赴いた。
アルメニアは20世紀初めに200万人とも言われる大虐殺をトルコより受けた。悲劇の民族である。日本からは遠く1976年に出かけた時にはモスクワからプロペラ機で6時間かかった。丸2日がかりでたどり着く秘境の地であった。
人は人情熱く、情熱型の国を愛する民族だった。山岳の地で標高1900mにある大きなセバン湖が彼らの誇りだった。キリスト教をローマに次いで301年に国教にした国、アルメニア総本山がエレバン郊外のエチミアジンにある。立派な総本山である。ここの宝物館にノアの箱舟の欠けらがガラスケースに納められていて誇りである。
今はトルコ領のアララット山はかってアルメニアの領土にあつた。ソ連邦時代は国旗に描かれていた。人々の尊敬と民族統合の象徴である。
その国が隣のアゼルバイジャンとの間に、紛争が起きている。その彼らを偲んで1句。

        セバン湖

     民族の熱き血潮やたぎる秋
     セバン湖の水澄む丘に祈る影
     秋のエレバン元のやさしさいつ戻る
     秋暮れてはるけき戦火友生きよ
  
     冬近し鐘のひびくやエチミアジン
     箱舟のゆかりの地なる魂秋
     尊崇のアララツト山にこだま秋
     エレバンの地に矢玉止む小春来よ
     
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今日の俳句/銀杏散る(ゆらぎ)

2020-10-17 | Weblog
 作家の五木寛之が塩野七生との対談のなかで、”塩野さん、セクシーな文章を保つためには、日常生活でやっぱり色気がないといけませんよ、ちょっと危ないところがないと。 そういうのがなくなると、書くものに影響する”、と言っていました。そういう訳で、俳句にもほんのすこし色っぽいところを入れてみました。あはは・・・。 乱れ打ちご容赦ください。


銀杏散る二人は黙の時ばかり

ゆらめける光のなかの秋の蝶

プーチンの大著ひもとく夜長かな
  ~最新刊『プーチンの世界」は、これからの世界の動向を考えるうえで、必読の書かと。


星月夜独り見たしと山辺(やまのべ)に

秋深し亡くなりし人若きまま

うっとりと雲眺めいし秋日和


あてもなく遠出をしたき菊日和

菊日和ふたりの絆五十年

心病む友の笑顔や草紅葉


消え失せし記憶のひとつ銀杏散る

冬薔薇(そうび)かりそめならぬ月日かな










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今日の俳句  栗食みこぼす / 九分九厘

2020-10-07 | Weblog
          


  紅葉の綺麗な11月中から12月の初めにかけて、毎年京都で大学寮の同窓会が行われる。4学年ほど重なった同じ年頃の連中が集まる。二十年以上続いてきた会も、コロナのお陰で今年は中止となる。「今日の俳句」は思い出をたどる京都の俳句である。実際の吟行ではなく、with コロナのヴァーチャル吟である。写真は四条木屋町筋を少し上がったところの古い酒屋の店先と、その少し手前のところ、高瀬川を渡る橋の先にある小料理店「瓢正」。ここは「笹巻寿司」を名物としているが、二階に8人ほど入れる部屋がある。ここで二次会をするのが楽しい。

    獺祭の酒と句吟の秋日和
    十四代大吟醸 新酒かな?
    笹巻きでちょいと一杯秋の暮
    先斗町秋の夕そら細長く
    荒神橋そよと秋風過ぎ行きし
    鴨川の飛び石健在小鳥来る
    門前で栗食みこぼす金閣寺   ・・・現在大修理中
    実相院床に写像の紅葉あり   ・・・岩倉にて
          
                       以上
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