10月はじめのことだが、家内が俳句の師匠からもらった曼珠沙華の球根から花が咲いた。我家の庭に植えて二年ぶりのことである。赤い曼珠沙華は近所の畑でたくさん咲いているが、白い色は私にとって珍しいものであった。一週間ほどで、花は勢いを失ったようだ。10月の終わり、まさに今日この頃のことであるが、庭の大きな金木犀と銀木犀が今年に限って同じ日に咲き始めた。例年、銀木犀は一週間ほどがあとから咲くはずだが、地球の温暖化であれこれと変わったことが起きるようである。もうすぐ11月が来るが、炬燵を出す出さないで老夫婦の喧嘩が始まった。
その姿無垢無礙なりし曼珠沙華
赤と白いろはにほへと曼珠沙華
錯綜の極み描くや曼珠沙華
令和に生き怡楽のひとつ彼岸花
朝刊の見出し見るとき木犀の香
金銀の木犀咲きて俄分限
木犀の朱の亡骸散りつもり
金木犀袈裟の薫りに大阿闍梨