草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 / サングラス (九分九厘)

2009-07-29 | Weblog
草食系の男に似合うサングラス      
サングラスはずして挨拶古き仲     
伊達男丸や四角のサングラス        

落雷に記憶途絶えし海馬かな      
雷遠し団扇太鼓の打ち納め        

遠雷やおどろどろし前頭葉
遠雷や何に応ふる前頭葉

七月の例句会の兼題は「サングラス」と「雷」でした。句会の前日までは一切の雷が聞こえなかったものが、終わって二三日すると盛んに雷鳴が聞こえました。皮肉なものです。最後の「遠雷」の二句のうち、最初のものが私の作でしたが、宗匠の不評に句会の皆様のお助けがありました。最後の句が仲間に助けてもらった句ですが、勉強になりました。前頭葉が本来の理性を取り戻したようです。
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今日の俳句 / 雷 (四捨五入)

2009-07-25 | Weblog
落雷やこの世の始めかくあらむ
雷鳴に先立つ数秒備へよし
遠雷や慈雨を待ちつつ庭仕事

街路樹の陰通るたび風涼し
夕焼燦テールライトを飲み込んで
大海のうねりのごとく蓮しげる

月涼し瓦のつやの際立ちて
夏の月名残惜しげに朱を帯びて
夏館テラスの椅子の人待ちげ

七月の句会の兼題は「雷」「サングラス」でしたが、サングラスのできが悪かったのでここでは雷だけにしました。最初の五句中四句が句会での投句です。
最後の三句はある句会での投句ですが、箸にも棒にも引っかかりませんでした。ご参考にこのときの特選句の一部をご紹介します。
  「夏館お見合ひだつたかもしれぬ」
  「月涼しあと五分だけ待つてみる」
  「汗かかぬ人の隣に座る汗」
こういう句を詠めるようになるには、まだまだ修練が足らないと痛感しました。


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今日の俳句/ 蓮 (さゆり)

2009-07-21 | Weblog
梅雨の最中、7月8日だったと思うが主人がどうしても岡山の県立美術館の「朝鮮王朝の絵画と日本」と題する絵画展を見に行きたいというので、同行した。ついでにすぐ側の後楽園と竹下夢二の美術館に行った。

後楽園散策

☆梅雨空や天守の黒き烏城見ゆ

庭は外のビルが見えないように、まわりに背の高い木が植えられ、手入れの行き届いた芝生の庭が広がり美しく輝いていた。特に良かったのは、蓮池で蓮の花の美しい開花が見られた。

☆手入れ良く青芝の庭広がれり
☆湧水に水車の回る音凉し
☆水の輪を水の輪が追ひあめんぼう
☆芝原を低空飛行夏つばめ

☆抜きん出て蓮華ひらくや清々し
☆蓮蕾うすみどりして宝珠形
☆蓮の葉の水滴きらりと光りをり
☆大賀蓮二千年経て紅翳す


竹下夢二の美術館へ

☆梅雨晴れ間夢二の名画に触れし日よ
☆黒き瞳(め)の浴衣の女(ひと)の夢二の絵
☆美女ふたり提灯飾る星まつり  

庭石にぬれてちる灯や星まつり/夢二
名をとへば指で描く子や初時雨/夢二
青麦の青きをわけてはるばると逢ひに来る子とおもえば哀しも/夢二

夢二の絵は、睫毛が長く瞳の大きい繊細で憂鬱な情緒にあふれる美人画を描くのが有名だが、珍しく思ったのが歌の楽譜(セノオ楽器)の表紙を書いていたことだ。読む雑誌から見る雑誌へと変わりつつある時代の先端をゆく雑誌において夢二は、持ち前の斬新な感覚を発揮し表紙絵や挿絵を多く手がけた。モダンな洋装姿の表紙やしっとりとした日本情緒を表す和装の女性像など今でも魅力的な装いの夢二美人を楽しむ事が出来た。






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今日の俳句・旅吟(完)/夏離宮(龍峰)

2009-07-18 | Weblog
 テレジアのイエロ映えけり夏離宮
 若葉風ウイーンの夜のひづめの音
 教会のコーラス澄みゆく夏の夕
 たまゆらのウインナコーヒ青時雨

ザルツブルクからザルツカンマーグートへ。ハルシュタット湖畔を散策して一路ウイーンへ。ウイーンは12世紀前半神聖ローマ帝国の首都として栄え、13世紀ハプスブルク家の統治が始まり、20世紀前半までの700年間繁栄を極めた。その中でも18世紀、マリア・テレジアとヨーゼフ二世がウイーンを発展させた。

その象徴がかのシェーンブルク宮殿である。広大な敷地に建つ、壮麗にして華麗な宮殿である。テレジアの末娘のマリーアントワネットもここで育った。宮殿の壁の黄色はテレジア・イエロとして有名。
ウイーンの街ほど馬車が似合う街はない。夜風に吹かれていると蹄の音が石畳に響く。夕方カール教会に入ると音楽会が開かれていた。しばし、澄んだ歌声に心を洗われた。そして更けゆくウイーンの夜を国立オペラ座の裏のホテルでザッハートルテとウインナコーヒで味わった。


 滔々とドナウ流るる夏の古都
 ひまわりやドナウ見ゆる丘の上
 バロックの大聖堂や花ざくろ
 夏の夜や古城ほの明し船の上

ウイーンよりスロバキアの首都・ブラスチラバを経由してハンガリーのエステルゴム、センテンドレの古い町に寄り、今回の最後の訪問地・ブダペストに到着。
ブダペストは13世紀以降ハンガリーの首都となったが、幾多の戦争や侵略、支配をを受けてきた。現在人口170万人のこの街は、何と言っても8カ国を流れるドナウ川が最も美しいと言われる。両岸に広まる街を丘の古城から見下ろすと実にきれいである(写真)。折からの雨でドナウの水かさが増え、ドナウのさざ波ではなく滔々と流れていた。
オースト・ハンガリーの二重帝国時代ブダペストで国王の戴冠式が行われ、かのエリザベート皇妃のこよなく愛した街である。街にはロマネスク、ゴシック、バロックの各様式の教会や建物が多く建つ、中世そのままの街である。夜ドナウ川の船からは昼と違う照らし出された夜景はすばらしい。郊外には向日葵がなだらかな丘一面に続いていた。

今回の旅は、欧州の複雑な歴史の中で磨き抜かれた中世さながらの街を味わう、貴重な足取りあった。
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今日の俳句/波止釣り

2009-07-15 | Weblog
  夏雲の湧く青空にかもめ舞う
  碧空に飛行機雲の白さかな
  べラ釣るや波の彼方でなぶら立つ
  浮子飛ばしサヨリの響き手探りで
  小鰺釣り子供の竿も満艦飾
  夕焼けや沖往く船に灯りあり
  烏賊を釣る集魚灯の灯が揺らぐ
  遥か沖烏賊火の元は大わらわ 
  景気策淡路も近くなりにけり

いつも釣りの句ばかりでで申し訳ありませんが夏は海洋、しばし釣り談義にお付き合い下さい。
 今の時期、魚たちも大いに活性化していて潮が合えば思わぬ大漁で専用の冷蔵庫を要するくらいの釣果があります。 
 波止釣りでは鯵や鰯が群れをなしてやってきて家族連れで大いに賑わいます。 特に子供たちの「来た!来た!来た!」の歓声で遊園地にいる気分になります。 子供はすぐに飽きがきて竿を放り出して走り回っていますが、時に意外な大物がかかっていて大騒ぎになります。小魚を追ってきた大物が釣れていた小魚に喰らいついてくるのです。平目や鱸やハマチなどです。 大物を専門に狙っていた坊主の釣師達はビギナーズラックに正直がっくりです。(「呑ませ釣り」といって小鰺の背ビレに針をかけ、少し沖を泳がせて大物を狙います。)
 ベラは足元の「胴付き仕掛けの五目釣り」でも釣れますが海底の磯を狙って投げで釣ります。 「ベラ引き」と言って思いっきり遠投して底ざらいをしながらじわじわ引いてくるのです。 コツンと小さな当たりがありますが、すかさず合わせて急いで巻き上げます。 知らずにゆっくり巻いていると海底の海草の間や岩場に逃げ込まれ針や錘などを持っていかれます。 時に鰈やキス、ガシラ、アイナメなどもかかります。
 サヨリは群れで海面表面を回遊しています。 1mばかりの細いハリスの先に刺しアミの餌を付けて出来るだけ小さな浮木で流して釣ります。 サヨリを寄せる為にオキアミを籠に入れて撒きます。 横に走る微妙な当りですがうまくあわせて針にかかると海面を飛び跳ね、しばしばバレますが結構楽しい釣りです。
 その他丸ハゲやイカ、チャリコ、グレ、ウミタナゴ、カマス、など、波止でもいろんな釣りが楽しめます。暗くなると大きな太刀魚やチヌ、メバルなども狙えます。
 勿論いずれの魚も取れ獲れは美味で(フグだけは堪忍ですが・・・)豊かな播磨灘の魚たちに感謝です。
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今日の俳句・旅吟(2)/プラハの夏(龍峰)

2009-07-12 | Weblog
 小雨降るプラハの夏の花輪かな
 ゴシックの鐘塔鳴るや薔薇の庭
 スメタナのモルダウ川夏館

 中世の小さき都合歓の花

ドイツのドレスデンよりチェコのプラハに入った(旅行中は全てバスで移動)。
プラハがボヘミア王国の首都になったのは10世紀。14世紀のカレル1世の時代に街は大いに発展し、今日の基礎が出来た。15世紀にハプスブルク家の支配下に入り、華麗さを増した。第一次大戦後ハプスブルク家より独立、先の大戦後社会主義共和国になったが、ベルリンの壁崩壊後共和国となった。プラハは幾多の変遷はあったが、中世のゴシック、バロック、ルネサンス様式などの多くの建物がそっくり残り、街中はさながら中世である。プラハはスメタナやドヴォルザークなどの音楽家を輩出し、戦後の「プラハの春国際音楽祭」は有名。市内のヴァーツラフ広場は歴史の舞台となってきたが、1969年ソ連の占領に抗議してプラハの学生が焼身自殺を図った。広場の碑の前には今も花が絶えない。

プラハからオーストリア・ザルツブルクへの途中、小さな中世の都・チェスキー・クルムロフに寄った。ここは光芒子さんの名作ワインの少女の絵で知りましたが、本当にきれいな街でした。そこで挨拶句を1句作りました。


 胸高鳴るザルツブルクや夏木立
 鈍色の丘の古城や夏の霧
 モーツアルトの生家に立つや夏の雨
 モーツアルト街に溢れり夏の蝶

いよいよザルツブルクに着いた。今回の旅で最も訪れてみたい街。一時期モツアルトの音楽だけを1年中聴いた。周りからは少しおかしいと言われたが。最終的には初期の交響曲がシンプルで透明感があり、一番気に入った。そのようなこともあり、ザルツブルクをどうしても見たいと。モーツアルトの生家を夕方ホテルに到着すると抜け出して探しに行った。見つけて生家の前に立ったとき、宿願を果たした気分になった。写真の垂れ幕が下がった、黄色の壁の建物の3,4階で1756年1月に生まれた。旧市街はこじんまりした教会の街で文字通り、モーツアルト一色である。
 
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今日の俳句 ( 七夕 ) さゆり

2009-07-09 | Weblog
 七夕竹重き願ひに撓みけり
 かな文字の墨の匂ひや星まつり
 素朴なる街の七夕まつりかな
 笹竹を親子で飾る星まつり
 七夕の伝統喜々と守る子ら

七夕は陰暦七月七日の夕方の意で五節句の一つ。一般には、6日の夕方に笹竹を立て、願意を書いた短冊などで飾りつけをし、7日又は8日の朝に川や海に流す、これが「七夕流し」「「七夕送り」と言われている。子供たちは8月には、学校が夏休みに入るために、この7月7日に私たちシニアと共に七夕祭りを祝った。子供たちも、朝早く刈り取られた小さな笹竹に、各自願い事を書き飾り付けをした。「七夕」は秋の季語

7月4日 ホトトギス句会投句 兼題 「夏館」「夏の月」 席題 「噴水」「汗」
  四句出句
  
 小石投げ湖に音する夏の月
 水張りし棚田を照らす夏の月
 窓開けて海風通す夏館
 噴水の高くなるたび子ら叫ぶ
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今日の俳句・旅吟(1)/夏の月(龍峰)

2009-07-06 | Weblog
6/23に大阪を発ってドイツ中欧5カ国(旧東ドイツ、チェコ、オーストリア、スロバキア、ハンガリー)を巡ってきた。これらの国々はご存じのようにハプスブルク家が13世紀から20世紀全般までほぼ600年間支配してきた地域である。オーストリアを除いては旧ソ連の衛星国として共産党支配が続いた。今回は中世が残る街と自由主義国家になっての街の表情に興味を抱いた。又、オーストリアではザルツブルクを訪ね、かのモーツアルトの生家や街を歩き回り、宿願を果たした気分になった。 

 ブランデンブルクの門や夏の月
 ベルリンの壁掴みけり夏日差し
 ベルリンの菩提樹匂う夏の夕
 夏未明ベルリンの風胸に受く

ベルリンは壁が除かれて20年、言われなければ街の中の壁跡は分からない。急速に復興が進んでいる感じがした。かのブランデルク門を見上げて、たった20年前の出来事が嘘のように、遠い昔から一つの国だったように思えた。街路樹の菩提樹の花が咲き乱れ、ほのかな匂いが漂っていた。


 ポツダムの丸テーブルや薫る風
 夏の雨ゲーテ学びし街に立つ
 きまじめなバッハの譜面緑雨かな
 夏雨や尖塔映えるエルベ川

ベルリンから30分のポツダムに寄った。「ポツダム会談」の場所は博物館になっており、公開されている。会談ではスターリンは戦後の日本の北海道と青森県を要求した。対してアメリカと英国は反対したと説明があった。歴史の核心はカミソリの刃の如く尖っていると感じた。ライプッチヒではバッハゆかりの教会やゲーテやニーチェが学び、住んだ街を歩いた。ドレスデンは第2次対戦で連合軍の爆撃を受け、壊滅状態になったが、元の街への復興を必死になって行っている。有名なエルベ川の辺に立つと変わらぬ流れに、時間を掛けて癒されていくものを感じた。 

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今日の俳句 / 夏木立 (四捨五入)

2009-07-03 | Weblog
遠山はまだらなりけり夏木立
地酒売の講釈長し夏木立
夏木立一枝揺らせて風過ぐる

今宵また蠅虎の読書かな
早苗田の畦行く子等の白帽子
格子窓外を行き交ふ夏帽子

最初の一句を除き、六月の句会での投句です。
兼題は夏木立、夏至、蠅虎でした。
蠅虎は人にはあまり近づかないものですと、主宰に見破られてしまいました。
昔はよく見かけましたので、こういうこともあっただろうと、半分は想像です。


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