草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句/秋立つ(龍峰)

2018-09-30 | Weblog

秋に入って一日奈良井宿に遊んだ。

この宿場はそっくり昔の佇まいが残されており、ゆっくり過ごすにはちょうど良い大きさである。小さな店には、この土地の物が並べられている。何といってもそばが旨い。見つけたのは「徳利屋」という店で、江戸末の大きな古民家がそのまま使われている。家は武田信玄の頃にスタートし、江戸の頃は庄屋や脇本陣を担っていた。そばを食べているとすだれを通して秋風が流れ、それだけで来た甲斐があったというものである。

木曽の山に囲まれたこの宿場が、いつまでもこの姿を留めていて欲しいものである。

奈良井宿

徳利屋

「木曽の大橋」奈良井宿の裏にかかる。

 

  秋立つや窓に黒雲関ケ原

  くねる田になべて稲穂や過疎の村

  笹竹をゆらす秋風無人駅

 

  秋空や湧水の音奈良井宿

  秋澄むや江戸古民家の信州そば

  秋気満つ天井高き土間の甕

  秋暮れてそば屋の柱の黒光り

 

  蜻蛉群る百草干したる宿場町

  秋興や木曽の川瀬に暮雲帰す

  鵙高し木曽の川辺に吟遊す

  

 

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今日の俳句/野分(ゆらぎ)

2018-09-13 | Weblog

猛暑、大雨そして台風とつづき、詩心(うたごろろ)はどこへやら。詩情をかきたて、かきたて駄句を詠んでみました。きびしきご叱声をお願いいたします。


 野分去り雲間にのぞく縹色(はなだいろ)

 身に沁むや腹のふくるるわざばかり

 木の実降るわが心には雨の降る


 八月は利休鼠の雨の中

 わが秋思いつしかこころ父に寄す

 晩節を汚してならじ菊日和


 長き夜やわれいまだ在りノクチュルヌ

 秋日和秋のネクタイ手にいれぬ

 秋色の唐招提寺八一の碑

 

 鰯雲固く締めたる貝の口

 秋半ば灯ともし頃のギムレット

 愛憎ことごとく失せ秋の闇

 

 美術展深き青さに立ちどまる

 銀漢や熱き血潮のひと恋し

 風騒の世界に遊ぶ獺祭忌

 

 

 

 

 

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