東京で音楽会を聴いた次の日、国立近代美術館で鏑木清方の「築地明石町」を見てきました。幻の絵といわれていましたが、特別公開されました。古きよき明治の情緒を描いたものです。その時、会場の入り口でその絵から抜け出たような美女と遭遇。背格好も着物も全く同じでした。青緑色の小紋、黒の羽織(裏は赤)。聞いてみると、この絵を見るために着物を仕立てて上京されたそうです。お洒落も極まったという感じでした。
浄瑠璃寺浄土訪ぬる冬日和
哀歓を隠して小紋小六月
天泣や立原道造詩集読む
雪売が冬の信濃路とぼとぼと
決勝戦ノーサイドの声小春空
落ち葉散る思ひ出ひとつまた一つ
むなしさや独飲嘆息しぐれけり
ハモニカの音澄みて冬独飲す
父逝きて日月過ぎぬ散り紅葉
灯(ひ)の紅き木屋町歩めば冬至梅
鰤大根おでんきんぴら十四代
唇に紅刷くおみな息白し