草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 / 雛 (四捨五入)

2015-03-27 | Weblog


  礼服に眉と髭濃き雛かな
  稚児二人阿吽と云へる雛飾
  老桜の力込めたる蕾かな

  自然光溢るる館春分の日
  ふんだんに大谷石積む春館
  大谷石にめり込んでをり春暖炉
  
過日、蘆屋川周辺で吟行句会があり、ヨドコウ迎賓館を訪れた。
この建物は帝国ホテルの設計者として有名なフランク・ロイド・ライトが1918年に設計したもので重要文化財となっている。灘の酒造家山邑太左衛門が別邸として設計を依頼したものである。

丁度この時期にはこの建物の和室に雛人形が展示されていた。山邑太左衛門が長女の誕生を祝って京都の老舗人形店に作らせたもので、100年を経てほとんど痛みのない豪華なものである。
建物と云い雛人形と云い当時の酒造家の財力には驚かされる。

写真は迎賓館4階のバルコニーである。ここからは神戸・芦屋市街と大阪湾を一望のもとに見渡すことができる。
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今日の俳句  春一番 / 九分九厘

2015-03-08 | Weblog
 

敏馬のうらはなる士川子を訪ひよるけりに、この人や
いとさうざうしき世の浮華なるきハにあらねば、みずからの家に
客をやどすことなど、家事をいとふべきわざも多かりとて、ちかき
わたりの田家のおかしきにあるじもふけして、あしたに来り夜半に
帰るも,ただ俳談の外うき世の善悪をかたらず、されば一夜
ふた夜の旅寝もいとこころよく覚えて

  春の夜や音なき浪を枕もと   蕪村

 賛にある敏馬は、かつて私が勤めていた場所である。職場のすぐ傍に敏馬神社があり、そのすぐ傍に国道2号線が走っている。戦前まではこの2号線のところが波打ち際であった。戦後の復興で埋め立てが行われ工場が建った。この敏馬のあたりは明治大正の頃までは、遊郭もあり漁師や旅人がたむろする賑やかな場所と言われた。安永7年(1778)3月に蕪村は弟子の几菫と共に二泊している。文中の士川は俳人で灘の酒造家の主である。士川の紹介で静かな宿をとったものと思われ、連句会を催したもので上の句はその発句である。士川に謝礼として送られた俳画である。

  春一番そぞろ湧き出づ旅ごころ   銑二
  なけなしの命澄めるや薄氷
  一夜干し細魚の味の真骨頂

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