今日の俳句のネタは夏の食材です。厨房を任されてほぼ2年になるが、書斎のごとき独自の世界になってきた。フライパンは伝統の重い鉄製に変えて一年以上経過。使用後は洗剤を使わずタワシで洗い、まめに油を薄く塗っておく。ようやく焦げの出来ないフライパンに仕上がってきた。野菜炒などは最高の出来となる。まな板は今年に入って青森産のひばの木製を新調。青みがかった色で独特の匂いがする。包丁は30年ほどお蔵入りしていた堺のもので、銘は<刀匠一竿子忠綱>とある。錆落としをして以来重宝している。よく切れる刃物だ。いずれも、使用後に丁寧に手入れをしておくと、翌日の料理のスタートが快適なものとなる。
刀匠の研ぎ出でたるや鱧を割く
鉄鍋の火宙に舞ひし夏野菜
新調のひばのまないた鯛洗ふ
冷ややっこ箸ままならず歳憂ふ
べら焼くや美しき色消へ失せて
きうり揉み SDGs の枠にあり
婀娜なれど産毛のありし水蜜桃
食卓に躙り寄り来るでんでんむし
以上