狭庭に一株の白い彼岸花が咲いた。二日ほどで、蕾を頭にして50センチ位の茎があれよあれよと伸びてきた。その速さに驚き、自然の不思議に新鮮さを感じた。そのあとは毎日観測を続けて、彼岸花の俳句を詠むことにした。
三日経つと最初の花が咲き、全部の花が満開になるのに次の三日が経過した。全部の花が満開で咲き誇っていた期間は四日間であった。約二週間の楽しみであったが、不思議なことに彼岸の中日を過ぎた途端に、花は萎れ始めてきた。花の命はまことに短いものである。
あれあれよ蕾すくすく曼珠沙華
お先にと一輪ひらく彼岸花
魍魎と思うに明かし曼珠沙華
曼珠沙華うつつは四日の浄土かな
曼珠沙華あの世のよすが赤と白
ー四半世紀付き合ってきた絵画の師匠を追悼するー
曼珠沙華破顔のままに師は逝きて
伊太利の海に散華や彼岸花
人逝きて往く雲白し彼岸花
彼岸花の球根は、3年前に知人から譲り受けたもの。翌年は花を咲かせたがその次の年は姿を現さなかった。日経新聞夕刊の随筆欄に中井貴恵さんが寄稿しているが、彼岸花を毎年元気に咲かせるコツを紹介していた。花が終わった後、周りの雑草を取り除いて土の表面に肥料をまいておくと、翌年には立派な花を咲かせるという。
以上