古里加賀平野の霊峰白山
八十路迎えようとする今日この頃、ふと幼子の時から古里を離れる青春時代までのことを思い出す。育ったころの古里の情景(今はすっかり変わってしまいその片々すら探すことは難しいが)、友人のこと、家族との会話などをアットランダムに。生家は日本海に近く、家の前からは四季折々の白山が見えた。
つくづくと、自分は今目の前にすることと同時に脳の古い引き出しを開けるようである。
桜咲く北国の華一夜に来
仲春や凪も増えたり日本海
父かたる藍の北海鰊群来
犀川の青年いやす五月来ぬ
土砂降りの梅雨入り昏き兼六園
梅雨茫々青春おぼろ卯辰山
神鳴りや古家も稚児もふるわせり
短夜や潮騒聞きて読みふけり
入道雲気づけば頭上海少年
天井の高き図書館盛夏断つ
風にのる太鼓遠しや盆踊り
盆の経まなこつぶれば父母の顔
北国の秋は駆け足家路かな
大根干す軒のすき間に白山かな
海鳴りを聞き父急ぐ雪囲
北国の冬の海濤天を噛む