裏山に大きく育ったユーカリの木がある。この木を見ると40歳前半に約6年滞在した豪州を思い出す。豪州ヴィクトリア州の褐炭液化の仕事で、アパートを借りてのメルボルン滞在1年、人里離れた牧場の一軒家でモーウェル炭田滞在の5年である。昨日(2月20日)の、メルボルン全豪オープンに優勝した大坂なおみの快挙に大喝采! TV放映では、ヤラ川沿いの植物園で優勝カップを前にした彼女が美しかった。思い立って、今回の俳句投稿は懐かしの豪州の思い出を綴ることにした。
裏山のユーカリは、冬の時期は白がかった青にび色であるが、陽に当たるとこれが銀色に光る。2月の青空を背景にして見事な眺めである。
ユーカリの山冷明けし銀の色
単身赴任のメルボルンではヤラ川沿いでスケッチに明け暮れる。
Yarra 川に春の驟雨や身のひとり
モーウェル炭田はメルボルンから車で約2時間の場所。液化工場の最初の工事が邪魔なユーカリの木の抜去。
ユーカリの根は地上の木の高さとほぼ同じであるから抜くことはできない。乾燥の大地でもユーカリが繁茂している理由である。
水涸るる褐炭原野時雨けり
牧場一軒家の夜、周りは漆黒の闇である。南十字星を探すことで時間を過ごす。一人住まいは、一週間と続かない恐怖の体験をする。
春の闇サザンクロスの行方追ふ
夜くだちの沈思黙考凍返る
オーストラリアの季節は日本と逆となる。工事は朝の7時から午後3時までで、移民中心の労働者は次の仕事を午後4時頃から始める。日本の年末正月には帰国できない同僚が多くいた。
帰らざる雁の数々相馴候
タスマニアは南極に近く気温がドンと下がる。ホバートは遠洋マグロ漁の基地で多くの日本漁船が活躍している。彼らは、ホバートと南アフリカのケープタウンの二つのまぐろ基地を往復する仕事をしていて、日本に帰るのは2年に一回と聞いた。
生まぐろぶっかけ白飯ねぎを盛る
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