草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 春の闇 / 九分九厘

2021-02-21 | Weblog
           

 裏山に大きく育ったユーカリの木がある。この木を見ると40歳前半に約6年滞在した豪州を思い出す。豪州ヴィクトリア州の褐炭液化の仕事で、アパートを借りてのメルボルン滞在1年、人里離れた牧場の一軒家でモーウェル炭田滞在の5年である。昨日(2月20日)の、メルボルン全豪オープンに優勝した大坂なおみの快挙に大喝采! TV放映では、ヤラ川沿いの植物園で優勝カップを前にした彼女が美しかった。思い立って、今回の俳句投稿は懐かしの豪州の思い出を綴ることにした。

 裏山のユーカリは、冬の時期は白がかった青にび色であるが、陽に当たるとこれが銀色に光る。2月の青空を背景にして見事な眺めである。

    ユーカリの山冷明けし銀の色
 
 単身赴任のメルボルンではヤラ川沿いでスケッチに明け暮れる。

    Yarra 川に春の驟雨や身のひとり

 モーウェル炭田はメルボルンから車で約2時間の場所。液化工場の最初の工事が邪魔なユーカリの木の抜去。
ユーカリの根は地上の木の高さとほぼ同じであるから抜くことはできない。乾燥の大地でもユーカリが繁茂している理由である。

    水涸るる褐炭原野時雨けり

 牧場一軒家の夜、周りは漆黒の闇である。南十字星を探すことで時間を過ごす。一人住まいは、一週間と続かない恐怖の体験をする。

    春の闇サザンクロスの行方追ふ
    夜くだちの沈思黙考凍返る

 オーストラリアの季節は日本と逆となる。工事は朝の7時から午後3時までで、移民中心の労働者は次の仕事を午後4時頃から始める。日本の年末正月には帰国できない同僚が多くいた。

    帰らざる雁の数々相馴候

 タスマニアは南極に近く気温がドンと下がる。ホバートは遠洋マグロ漁の基地で多くの日本漁船が活躍している。彼らは、ホバートと南アフリカのケープタウンの二つのまぐろ基地を往復する仕事をしていて、日本に帰るのは2年に一回と聞いた。

    生まぐろぶっかけ白飯ねぎを盛る

                              以上

 

    

 
  



 
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今日の俳句:余寒(葉有露)

2021-02-10 | Weblog
昨日、西宮北口の俳句教室(NHK文化センター)に行ってきました。
これと、月2回の人物画(芦屋市文化センター)とが、ほぼこの一年の
外出パターンになってしまいました。近代的仙人かなと思っています。

 さて、今回の投句ですが、我ながらあまり出来が良くないなと実感して
います。諸賢のお目に留まれば幸いです。

 俳句教室:兼題 立春・余寒・鶯
  
      ・堅き枝芽動きありて春に入る
      ・春寒く木の根の深く眠りたる
      ・薄暗き所に芽ぶき春の固来よ
      ・冴え返る上衣厚く着直せり
      ・鶯よ止まり木いずこ声たしか

 夙川近辺
 
      ・日溜まりの砂場の子の背春の来る
      ・散歩道アスフアルトにも春光る

                     葉有露拝
   
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今日の俳句/雪(龍峰)

2021-02-01 | Weblog

        雪の碌山美術館 2013

すっかり世の中が変わろうとしている今日この頃、外出まままならず、勢い句作は目の前の事象と追憶の世界で行うことになった。
出来上がったものは、いわば駄作の五目飯。有難迷惑を顧みず、脳味噌の底をさらけ出すことになった。

ご存知の安曇野にある碌山美術館は近代彫刻家・荻原碌山の個人美術館、彼自身や高村光太郎他の、ロダンらに影響受けた明治の溌溂とした代表作が展示されている。そして彫刻もさることながら、煉瓦建ての建物、広い庭のゆったりした雰囲気、安曇野の周囲の山岳景色と相まってお気に入りの美術館である。
絵は7年前に描いたもの。

     明治の逸る(はやる)彫刻深雪晴
     大寒や朝刊を手に尖る風
     朝まだき水仙手折り小仏壇
     絶対に他言無用と雪をんな

     寒明けや汽笛とどいて雀立つ
     立春や圧せし心融けるらむ  
     旧正の祖母得意なるあんこ餅
     如月の息かけて筆握りしむ

     雪形や加賀野に人の出ではじむ
     料峭や院の通い路襟を立て
     鰊群来渚に怒涛と老し父
     春日傘まわしてそつとねだりごと

     暗闇に威嚇すさまじ恋の猫
     日本海の逆巻く波上鳥帰る
     童らの素足の走り寒げいこ
     三春の行楽ひかえ地に伏せり 
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