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紀州鉄道旧日高川駅舎整備し列車運転体験 〈2017年4月16日〉

2017年04月17日 08時30分00秒 | 記事

旧日高川駅舎を活用した列車運転体験イメージ図


「りんこう」の愛称で地域住民や鉄道ファンに親しまれている全国で二番目、私鉄電車で日本一短い紀州鉄道(株)=本社・東京都=の中川源行代表取締役社長が、同鉄道を活用した御坊市活性化プロジェクトとして(1)旧日高川駅舎とその周辺廃線を活用した列車運転体験(2)木製枕木をコンクリート枕木に変更して線路間に芝生を植え、線路の外側に御坊特産の花を植え、観光名所として活用する-構想をまとめた。実現には整備や維持管理など課題もあるが、中川社長は「なんとか実現させたい。行政をはじめ関係機関、市民の皆さまのご協力をお願いしたい」と意欲を見せている。
 
 中川社長は「今、人口減少問題が大きな課題。人口が減ると一番困るのが私たち装置産業。地域住民の皆さまから親しまれている私たち紀州鉄道自身が観光資源となり、子ども達への教育文化活動、地域の人たちへの生きがいづくり、災害に強いまちづくり、観光客誘致などに取り組み、地域活性化につなげたい」として列車運転体験、芝生軌道の地域活性化プロジェクトをまとめた。
 列車運転体験は平成4年に廃線となった旧日高川駅舎とその周辺廃線(延長約100メートル)を整備し、県内外の子ども、鉄道ファンに20トンを超える実際の列車(5月4日に引退イベントを行う「キテツ2号」)を運転してもらう。2日間コースで講義(御坊市などの歴史や労働、輸送、安全等の意義など)を受けたあと、列車の操縦、内熱機関のメカニズム、ポイントの切り替え、整備、点検などを体験し、学んでもらう。
 子ども達には教育プログラムとして▽県内の小中学生は無料、または低料金▽一般、鉄道ファンには鉄道事業として有料(1万円程度)にする考え。島根県の事例では年間2000人が利用しており、紀州鉄道ならそれよりも多い利用が見込まれるという。駅舎や廃線など整備費用に約9000万円かかると試算している。財源確保やNPO、各種団体との連携などが課題となるが、中川社長は「すぐにでも取りかかりたい事業」と位置づけている。
 芝生軌道は、現在の木製枕木をコンクリート枕木に変更して車両安全運転の確保を図った上で、全国でも有数の日照時間を活用して線路間に芝生を植え、線路の外側には全国一の出荷量を誇る市の特産スターチス、スイートピーなどの花を植栽して観光の名所にする構想。芝生、花の植栽で市の知名度アップ、花き産業への貢献、災害時に芝生軌道を避難路として活用、観光客誘致などにつながると期待される。
 熊本県の事例を参考にすると、1メートルあたり35万円の費用がかかり、全線2・7キロを整備するには約9億5000万円必要になるため、市役所前駅~紀伊御坊駅間など段階的に進めることも検討する。整備方法は(1)紀州鉄道が先行し、段階的に実施する(2)国、県、市の補助を受け、第三セクター方式やNPO方式などで実施する-が考えられる。また、芝生や花の維持管理にはボランティアの協力なども必要になる。
 このほか、道の駅設置・運営なども考えており、中川社長は「この前の脱線事故では多くの皆さまにご心配とご迷惑をおかけしました。紀州鉄道に対する信頼を取り戻す取り組みを形にする構想であり、鉄道部門の生き残りを賭けた構想でもあります。構想を実現させるためには行政など関係機関のご支援、ご協力はもとより、地域住民の皆さまのご理解、ご協力が必要です。市民の皆さまからアイデア、意見、提言もいただきたい」と話している。


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