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大洋化学(株)が水耕栽培システムで黒ウコンを試験栽培 〈2018年7月5日〉

2018年07月05日 08時30分00秒 | 記事

ハウス栽培で順調に生育した黒ウコン


 大洋化学(株)=上西一永代表取締役CEO、御坊市島=は、和高専産官学技術交流会の協力で実用化した「ハイブリッド型水耕栽培システム」を活用し、新たに黒ウコンの試験栽培を始めた。黒ウコンはダイエットや美容、滋養強壮など幅広く使用される民間伝承薬用植物だが、露地栽培のため適地が沖縄県以南に限定され、種ができないため大量栽培も難しい。培養苗技術で根茎生産量を飛躍的に高めた黒ウコンジャパン(株)=京都府亀岡市=と連携し、同システムを活用したハウス栽培を実用化、販売することで和歌山県をはじめ国内各地での栽培普及促進をめざす。

 3日に御坊商工会館で開いた和高専産官学技術交流会総会で、同社経営企画グループの大川葵さんが試験栽培を始めた経緯や栽培の進ちょく状況を報告。黒ウコンジャパンのホームページによると、黒ウコンは黒ショウガとも称され、タイが原産国。ウコンは一般的に肝臓に良いと言われているが、黒ウコンはアントシアニンを豊富に含み、メトキシフラボンやクルクミン、セレン、アミノ酸なども含有し、ダイエットや抗糖尿病、滋養強壮、強精、美容、美肌、抗疲労、消化器病改善などを目的に幅広く使用され、医療業界からも注目されているという。
 種ができない、種苗の大量生産が困難な作物で、タイからの輸入に多くを依存している。さらに低温に弱い作物のため、露地栽培の適地は沖縄県以南に限られ、栽培期間も8カ月と長いなど国内での大量栽培には不向きだったが、黒ウコンジャパンが岐阜大学との共同研究で開発した組織培養技術で根茎の年間増殖率10倍を400倍に増やし、根茎生産量を飛躍的に高め、また、世界で初めて人工環境下施設生産技術を開発し応用することで、年一の収穫を複数回できるようにした。
 この培養苗技術にさらなる付加価値を付けようと、同社と大洋化学が連携してハイブリッド型水耕栽培システムの栽培棚を使用したビニールハウスでの試験栽培を昨年6月から始めた。順調に生育し、おおむね栽培に成功した。ただ、露地栽培の場合は収穫時期に枯れるはずの葉が、生育しすぎて枯れにくい現象が起こり、通常不要である収穫後の葉茎を取り除く作業が必要となり、省力化のため葉が枯れる栽培条件を選定し、試験栽培を続ける。
 アントシアニン、メトキシフラボンなど成分は、黒ウコンジャパンで分析して「露地栽培とほぼ同じ数値だった」との報告を得ている。大川さんは「栽培条件が整えば、栽培システムを販売していく予定。和歌山県での初栽培はもちろん、全国に広がればうれしい」と話した。


栽培量増やし加工食品開発も
商品化成功の真妻ワサビ栽培

 

ソーラーパネル下部を活用したワサビ栽培

 平成28年から始めた真妻ワサビの栽培は昨年、収穫した根茎や葉を商品化、市内飲食店などに出荷して「辛味が強い」と好評を得ている。印南町や日高川町の民間団体等からハイブリット型水耕栽培システムの引き合いもあるなど成果を出している。
 沢ワサビは自然環境や鳥獣被害など厳しい栽培条件があるが、同システムなら安定した収穫が見込まれる上に1年周期で収穫、出荷できる。根茎だけでなく、夏場に需要がある葉についても、通常の栽培では虫がつくなどして商品にならないものが多いが、このシステムならきれいな葉を収穫できるのも強み。
 新たな取り組みとしてソーラーパネル下部の空きスペースを活用したワサビ栽培施設(66平方メートル)をつくり、昨年末から栽培を開始した。これまでの実験用コンテナは栽培棚8台(288株)だったが、最大20台(720株)まで増やすことができ、すでに葉は近隣飲食店に出荷している。
 今後は栽培したワサビの葉や根茎のさらなる市場展開、システムの販売PRに努めるとともに、ワサビを使用した加工食品の開発、優れた断熱材を使用することでコスト低減などに取り組む。


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