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「御坊市認知症施策」施行後5年、成果残す一方課題も 〈2024年1月21日〉

2024年01月22日 08時30分00秒 | 記事


いきいきと暮らせる総活躍のまちへ(写真はドリーム農園)


 御坊市は、平成31年4月から全国で初めて認知症当事者の視点に立った「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」を施行し、今年で丸5年。「認知症、認知症の人への先入観の払拭」を最大のテーマに据え、当事者の視点に立った各種施策、市民への分かりやすい情報発信等を進めているが、先入観の払拭や条例の周知は「まだ道半ば」だといい、さまざまな取り組みをより一層強化、加速させる考え。

 令和22年には市内で2・8人に1人が高齢者、高齢者の5人に1人が認知症と推計される中、市は「認知症の人とともに生きる希望宣言」と位置づけ、認知症当事者や家族らと条例案をつくり、平成31年4月から施行。「誰もが生き生きと希望を持って自分らしく暮らし続けることができる総活躍のまち」を目指し、市の責務や認知症当事者、市民、関係機関、事業者の役割を明記。令和3年3月には全国に先駆け、認知症施策推進計画も策定した。
 全国市区町村初の「あがらの総活躍大使」を任命して特技や趣味を生かし、いきいきと暮らしている姿を発信し、家庭介護者・本人交流の場「ごぼうホッとサロン」は型にとらわれない「スーパー銭湯」での開催、認知症サポーター養成講座を「ごぼう総活躍のまち講座」に発展させるなど独自の取り組みを続け、全国自治体をはじめ、世界保健機関など国際的にも注目を浴びている。
 地域が主体となって当事者や住民、園児らが農作業に参加している「ドリーム農園」、得意の日曜大工でさまざまなものを手づくりして市に寄贈している人の活躍ぶり、認知症の人をきっかけに御坊郵便局舎南側外壁に〒マークが表示されたなどの好事例も多数あり、日本認知症本人ワーキンググループ関係者から「御坊市の取り組みは、我々のめざす社会が実現可能だと示してくれている」と評価されている。
 一方、最大のテーマと位置づけている「先入観の払拭」について塩路芳基・介護福祉課長は「まだまだ認知症、当事者への偏見などは払拭できておらず、取り組みは道半ば」と言い、条例の周知についても同課職員は「外からは高い評価をいただいているが、市民からは『何がすごいの』などの声も聞かれ、条例の周知はできていない。市民の皆さんのためにやっていることなので、もっと情報発信し、地固めしていかないといけない」と話す。
 今後は、ごぼう総活躍のまち講座を事業所や単位町内会等に幅を広げ、いきいきと暮らしている当事者の姿など前向きなメッセージを一層発信し、先入観の払拭や条例の周知に力を入れていくほか、当事者の声を行政や社会に反映できる取り組み、当事者の声や思いを起点とした居場所や新たな挑戦の機会を増やす取り組み、周囲の人が日常の暮らしでできる「ちょいサポ」(ちょっとしたサポート)のアイデア収集と発信、認知症の人が安心して外出できる方策の検討などを進めていく考え。


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