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管内7市町 埋蔵文化財保存、啓発、活用へ冨加見泰彦さんを新規雇用 〈2023年4月13日〉

2023年04月13日 08時30分00秒 | 記事


発掘調査活動を始めた冨加見さん


 管内7市町が、日高地域全体の埋蔵文化財の発掘調査や保存・活用を広域的に対応し、事務の合理化を図るため、4月に御坊市及び日高郡6町埋蔵文化財保護行政事務協議会を設立。御坊市で考古学、埋蔵文化財を専門とする冨加見泰彦さん(70)=和歌山市=を新規雇用(会計年度任用職員)し、早速、みなべ町や日高川町で発掘調査に従事するなど活動を始めた。

 平成31年4月施行の改正文化財保護法では、自治体に専門的知見を有する職員の配置を積極的に推し進めるよう求めているが、県内では30市町村中、14市町しか配置されておらず、管内6町はすべて未配置。御坊市は教育委員会生涯学習課に文化財担当職員1人を配置しているが、開発事業に伴う発掘調査が増え、業務量は増大している。管内7市町での開発に伴う発掘調査は過去3カ年平均で年間132日あり、そのうち御坊市は55日。
 管内7市町で広域連携について協議を重ね、協議会方式で4月に埋蔵文化財保護行政事務協議会を設立した。事務所は市歴史民俗資料館に置き、専門職員には県教育庁生涯学習局文化遺産課の協力で冨加見さんを選任し、市で新規雇用。基本的に5年度は週2回程度、6年度から週5日勤務し、7市町での開発事業に伴う発掘調査にあたる。町と専門職員の連絡調整は市教委担当職員が間に入る。
 冨加見さんは考古学、埋蔵文化財が専門で昭和59年から平成25年まで県教育委員会、25年から30年まで県立紀伊風土記の丘に勤務。退職後は県内市町村から依頼のあった発掘調査などに従事。大学非常勤講師を務めたほか、現在は橋本市や海南市などの文化財保護審議会委員を務める。6日からみなべ町、日高川町で発掘調査に当たっており「現場が中心になりますが、埋蔵文化財の保存、啓発などの活動を積極的に行っていきたい」と話した。
 協議会では発掘調査のほか、管内7市町の文化財保存活用や整備計画の策定、保存目的の発掘調査、史跡指定など保存と活用に向けた取り組み、教育普及、災害への備えについては可能な範囲で進める方針。専門職員の人件費や遺跡調査・整理・活用事業にかかる費用は7市町が均等割、実績割で負担。5年度経費は184万円。


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