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由良港 津波被害低減で防波堤設置 柏側は今年度中に完成予定 〈2020年5月23日〉

2020年05月23日 08時30分00秒 | 記事


柏側で海上工事が進む


 近い将来発生するとされる東海・東南海・南海地震に備え、県が減災対策として由良港で防波堤整備事業を進めている。日高町柏側、由良町神谷側の港内2カ所に防波堤を設置するもので平成29年5月に着工。日高町柏側から開始し、現在は海上工事にかかり今年度中に完成の見通し。由良町神谷側も平行して取り組んでおり、令和6年度の事業完了を目指す。

 県は3連動地震(マグニチュード8・7)が発生した場合、由良港に地震発生後約35分で第一波が来襲すると想定。地震、津波による浸水の低減や地域経済の被害を抑え、早期の復旧・復興をはかるため防波堤の整備を決め、平成24年度に国の採択を受けた。
 防波堤は、由良町神谷側((株)駒井ハルテック和歌山工場の南側)が延長350メートル、日高町柏側(ムロノキ鼻)は延長100メートル。いずれも台形状の土台を作り、その上に本体のケーソン(鉄筋コンクリート製)を置き、上部にコンクリートを流し水深17メートルに設置。
 現在進めている日高町柏側は平成29年5月に着工。ケーソン(延長17・3メートル、高さ12・5メートル、奥行き9・3メートル)4函、消波ブロック、被覆ブロック、根固方塊ブロックを設置し、現在、海上工事として上部のコンクリート工事を進めており、予定通りいけば今年度中に完成するという。
 由良町神谷側でも工事を進め、昨年度から陸上でケーソンの製造などを開始。ケーソンは大小合わせて25函あり、小は延長11・3メートル、高さ8・5メートル、奥行き5・9メートル、大は延長14・6メートル、高さ10・5メートル、奥行き7・5メートル。同所は一部浅瀬で地盤が緩いため改良工事が必要で、今年3、4月に全体の3分の1の地盤改良工事を実施、今後、基礎捨石工事を進める。
 ケーソンなどのパーツは由良町網代、吹井、阿戸など陸上(7カ所)で製造し、できあがると海上に運んで据え付ける作業を繰り返し行っている。事業費は今年度4億6200万円の予算がつき、全体で67億円(概算)になる。防波堤の整備により津波による浸水深が約1メートル低減、3メートル以上の浸水区域が約22ヘクタールから約6ヘクタールと約73%低減されることから早期完成が待たれる。
 今年度事業分の施工は、日高町柏側が(株)淺川組=池内茂雄取締役社長・和歌山市=、由良町神谷側は地盤改良工事が(株)東組=東宗弘代表取締役社長・同=、捨石投入工事が(株)明生工業=森鎌保代表取締役・御坊市湯川町小松原=。


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