聖徳太子研究の最前線

聖徳太子・法隆寺などに関する学界の最新の説や関連情報、私見を紹介します

7月13日から1400遠忌記念特別展「聖徳太子と法隆寺」が東京国立博物館で開幕

2021年07月13日 | 聖徳太子・法隆寺研究の関連情報
 奈良国立博物館で開催されていた聖徳太子1400遠忌記念特別展「聖徳太子と法隆寺」が、本日(13日)から東京国立博物館の平成館で始まります。非常事態宣言が出ていますが、事前予約制により、人数制限をして開催する由。

 奈良博で開幕早々に見たかったのですが、新型コロナウィルスの感染が下火にならないため、諦めました。幸いに2度目のワクチン接種が7月6日に終わりますので、それから一週間ほどして抗体が出来てきたら、そうした展覧にも注意しつつ出かけようと思っていたところ、まさに一週間目にあたる開幕日の前日におこなわれる内覧会に招いていただいたため、出かけてきました。

 いや、壮観でした。普段の法隆寺その他の寺院や博物館などでは、模写でしか眺められないもの、遠くからしか見えないものなどが、すぐ目の前で見られる形で現物展示されており、感慨深いことでした。

 『法華義疏』の一部はじっくり見させていただきましたし、金堂の薬師如来像や、大潅頂幡などを間近で見ることができたのは幸いでした。ほかにも、法隆寺が明治時代に皇室に献納した宝物のうちにあったという、竹ひごをすだれ状に編んで巻物の経典をくるんだ経帙は初めて見ました。

 このブログで論文をいくつも紹介してきており、今回の特別展を機に詳細な調査をおこなった東京国立博物館の三田覚之主任学芸員の解説によると、『法華義疏』の経帙と同じ規格であるため、それと同じで奈良時代に作成された『勝鬘経義疏』の経帙と考えられる由。

 その三田さんとは、会場でお会いすることができ、少し話せました。三田さんの諸論文については、どれも有益であって教えられることが多かったのですが、『法華義疏』については三田さんはNHKの「日曜美術館」でも語っていたように太子真筆説であって、近いうちにその立場で書いたものが出るそうなので、側近書写説の私とは意見が分かれることになります。いずれにしても、研究が進むことになるでしょう、

 また、「天寿国繍帳」研究で知られ、このブログでも何度か触れた美術史の大橋一章先生にも、会場で久しぶりにお会いして話すことができ、以前、女子美術大学で法隆寺金堂壁画の模写展示を開催された稲木吉一先生にも再会できました。

 展示については、何度かに分けて紹介していこうと思いますが、帰り際に頂いたカラー写真満載の図録もまた壮観でした。大判で厚さ3センチで、重さ1.5キロです! 有益な解説と論考が含まれていますので、これもこのブログで紹介していきます。

 会場横の売り場では、聖徳太子や法隆寺関連の絵葉書その他、こうした展示の際によく販売されるもの以外に、聖徳太子グッズとも言うべき品が売られていました。その一例をあげておきます。聖徳太子はこれまで何度も漫画化されてきましたが、太子伝承がある寺院地域の観光推進をねらってキャラクター化された愛犬、雪丸などと同様に、今後は太子のキャラクター化が進むのか。