僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

六番目のさよこ(恩田陸)

2017年07月26日 | よむ

まさに恩田ワールド

誰しもが知る高校生活という日常に

1.5次元の非日常を放り込んでくるという

「三月」や「ピクニック」でも余すことなく見せつけた

あのテクニックだ。

山田君と6人の魔女だ。

「三月」に近い粗削りで強引な

せまっ苦しい女子の妄想のような世界に

これがデビューとなる初々しさを感じる。

妄想女子の脳内再現度の高さと

緩急が

恩田劇場の真骨頂。

けどなんか恩田さんの高校生活がわかる気がするなぁ。

ほんとに満ち足りた生活を送った人は

こんなこと書かないと思うもの。

こんな大事なことには気づかないと思う。

誰にも言えない複雑なジレンマを抱えて

まわりとはかみ合わない3年間を送ったのだと思う。

そうでないと

こんな高密度な生活は描けないよ。

放射状に人の糸が広がり

そしてまた収束する。

気が付いたら何かを紡いでるようであり

なにも紡いでいないようでもある


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