僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

ある男(平野啓一郎)

2024年07月08日 | よむ

平野啓一郎作品では最速読了。
まさかの半日。
ストーリーを追いかけるだけなら
あっという間に読み終わる。
マチネ、空白、ある男と
実写化も多い作家さんだけど
この人のよさはストーリー展開ではなく
幕間に挟まれる
時事ネタだったり
唐突な主張だったりするんだよな。
今回は在日・倦怠期・震災を
ふんだんに突っ込んできており
ここが一番読み応えのある部分だけに
作家のメッセージを映像化するという意味では
本来、一番実写化が困難な作家さんだと思うのよね。
宮部みゆきの大傑作『火車』のようなストーリーで
君ほんとは誰やねん。
の謎解きなのだけど。
なによりも日本語遣いがとんでもなく上手で
起きている事象を正しく伝えたり
目に見えない心のひだを言語化して説明したり
特に深層心理の描写においては
当代髄一ではなかろうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿