小平市の図書館で高群逸枝の「娘巡礼記」を見つけて借りてきました。
高群逸枝については女性史の研究家としての名前しか知りません。
以下の写真は新しい携帯で撮った玉川上水での写真です。
その人が24歳の若さで四国遍路をやっていました。
この本は彼女が遍路をしながら九州日々新聞に寄稿した文章をまとめたもので、
日々書いて投稿していたようですから、まさに生々しい記録です。
6月4日に熊本を出発して熊本に戻るのは11月20日、半年にわたる旅で、
熊本と四国に渡るための大分の往復も歩いています。
その元気のいいこと、泣いたり笑ったり感情の豊かなこと、驚くばかりです。
高知県の四万十川近くで遍路の墓を見て感慨無量、次のような一文を記しています。
「暫くその傍への草の上に座し墓標に手を置き、じっと落日を眺めながら色々なことを考えた。
自由! 私は突然跳り上がるようにして心に叫んだ。自由な生、自由な死・・・・然り、自由は放恣じゃない。
真の孤独に耐え得る人にして始めてそこに祝福された自由がある。
自由の色は血の色だ。若かれ!高かれ!尊かれ!
よし、私は、あらゆる障害、あらゆる脅迫と力戦しつつ、私の血の如き火の如き若き生命を、厳粛な自由の絶対境に樹立せしめねば熄まないであろう。
ちょうどこの遍路の墓が郷里を離れた遠い旅路の草原に独り黙然と佇立せるが如く私もまた寂しい荒涼たる生死の草原を永久に辿り辿らねばならぬ。
その時夕陽は血の如く赤く私のその独旅を照らすであろう。」
岩波文庫版「娘巡礼記」136頁
こんな調子で生の体験を綴った紀行文はとても面白いものでした。
落下した銀杏
私も27歳の時に四国遍路をやっています。
時代が違うので道路も状況も違います。
彼女の旅のほうがはるかに苦労も多く、それだけ充実していたのでしょう。
何という魅力的な人物なのか、知らなかっただけに圧倒されます。
本当にすごい人です。
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