竹と遊ぼう。伊藤千章の日記、

小平市と掛川市の山村を往復して暮らし、マラソン、草花の写真、竹細工、クラフトテープのかご、紙塑人形の写真があります

篭を編む人々(歴史と人類学のはざ間で) その1

2010-09-28 05:25:19 | 歴史と人類学
ちょっと大げさなテーマです。
でも若い頃から関心を持ってきた事柄なので、
この機会を借りて時々連載して行こうと思っています。
(これは大学のクラス会のブログに書いたものです。)
 
近頃歴史関係の本をあまり読んではいない。
一時フランスのアナール学派の本を読んでいたが、
最近はそれも読まない。
そういうものより日本の古典に惹かれることが多い。
 
実を言えば私の関心はもう長いこと人類学にある。
私の20代は日本にレウ゛ィ・ストロースが紹介された頃で、
階層社会と戦争に満ちた近現代社会にうんざりしていた私には、
彼の語るトーテミズムの、階層のない社会に魅力を感じていた。
同年代の若者達は共産主義社会に夢を託した人が多かったが、
どうも私は後ろ向きで、未開社会に関心を向けていたようだ。
どちらの夢も今となってははじけてしまったが。
 
(学者ではないので勿論学問的な話ではありません。
今まで読んできた本の中から、うろ覚えのことを語ったりします。
でもまあ、お暇なときに読んでいただければ幸いです。)
 
一時はもてはやされた人類学も、近年様変わりしてきた。
それは人類学が対象としてきたいわゆる未開社会が、
グローバル化の波の中で近代化?しつつあり、
古来の様々な特徴を失ってきたから。
南米ではアマゾン流域の小部族が消滅しつつある。
周囲に同化して民族性を失ったり、虐殺されるケースもある。
 
人類学的な社会はもう消えつつあるのだ。
かってレウ゛ィーストロースの下で学び、
アフリカ社会で研究を重ねてきた川田順三氏も、
最近では日本やフランスの伝統的な文化の中の体の使い方などにも
研究の対象を広げてきている。
 
私は本業にしてきた竹細工の関係上、
見事な籠を編む民族に興味を持ってきた。
 
マレーシアのサラワク州にペナン族という民族がいる。
この人々はいわゆる狩猟採集民で、
定住せずに熱帯雨林の中を放浪生活をしている。
発達史観から言えばもっとも原始的な人々と言うことになる。
 
この人々が籐で見事な籠を編んでいる。
大阪万博の頃日本にも入ってきて、
お茶の先生をしている磐田の友人から、
万博会場で買ったという、その手の籠の修理を頼まれたことがある。
実に緻密に編まれた背負い籠で、
おしゃれであんまり実用的とはいえない。
長いことほったらかしにして、それでも修理して返したが、
今思えばペナン族の籠だった。
ペナン族の籠、ブライアン・センテンス著「世界のかご文化図鑑」東洋書林、より
 


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