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共産法の体系(連載第10回)

2020-02-20 | 〆共産法の体系[新訂版]

第2章 民衆会議憲章

(3)民衆会議憲章の内容①
 民衆会議憲章は世界共同体憲章(世共憲章)を究極の法源としつつ、領域圏憲章及び各領域圏内の準領域及び地方圏の憲章を包含した統一的な法構造を持つため、その具体的な内容も全体が統一化されることになる。 
 究極的法源となる世共憲章は地球規模における「憲法」であり、ここには世界共通の憲章原則が盛り込まれる。その根本は「民衆主権」である。民衆主権は 民衆が社会の運営主体であることを示す究極の政治原理であり、民衆会議を基軸とする統治機構の基盤となる。
 これに基づき、世共を構成する各領域圏が共通して備えているべき民衆会議の言わばグローバル・ミニマムな制度概要は、世共憲章に付属する「民衆会議規約」に委ねられる。
 次いで「恒久平和」である。これは単なる精神論にとどまらず、世共を構成する領域圏が軍隊を保有し、兵器を製造・配備する権利を全面的に禁止する原則であり、軍備廃絶条約の根拠となるものである。ただし、世共が平和維持のための最小限度の共同武力とその運用に必要な装備を共同保有することは認められ、それらの運用に関する原則的規定も盛り込まれる。
 第三は「普遍的人権」である。これはすでに現在でも国際人権規約A(社会権規約)及びB(自由権規約)の二本立てで一応集成されている国際人権規範の集大成となるが、現行人権規約が国連憲章とは別立てとなっているのとは異なり、新たな普遍的人権規約はA・Bの区別なく一本化されたうえで、世共憲章に統合される。ただし、内容上は共産主義社会の本質に適合したものへと進化する。
 世共憲章は世界の根本法であるがゆえに、原則規定に重点を置いた比較的簡素な構成となり、その内容を具体化する条約の性質を持つ世界法は別途制定される。また、世共それ自身の運営機構の細目を定めた種々の世界法も別途制定される。
 ところで、この世共憲章の制定・改正は世共総会の地位を持つ世界民衆会議において行われるが、その議決要件は代議員の五分の四の出席かつその三分の二の賛成によるものとし、民衆の直接投票は行わない。
 このような改正手続きのあり方は原理的な理由というより、全世界規模での憲章改正の直接投票が事実上困難であるという技術的・実際的な理由によるものである。その代償として、議決要件を上述のように厳格にする。


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