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世界共同体憲章試案(連載補遺)

2019-10-27 | 〆世界共同体憲章試案

第9章 持続可能なエネルギー

〈再生可能エネルギー条約〉

【第38条】

世界共同体は、条約をもって、各構成主体が生態学的に持続可能なエネルギーの開発と普及を推進することを義務付ける。

[注釈]
 世界共同体の主要な設立目的として、地球環境の生態学的な持続可能性ということがある。その最大の具体化は地球規模での計画経済の確立にあるが、この持続可能的計画経済の基盤となるのは再生可能エネルギー技術の開発及び普及である。これを各領域圏の自主政策に委ねるのではなく、世共総体で取り組むため、条約を締結する。

〈世界再生可能エネルギー機関〉

【第39条】

1.世界共同体は、生態学的に持続可能な再生可能エネルギー技術の開発と普及を目的として、世界再生可能エネルギー機関を設立する。

2.前項の機関は、総会の共同管理機関とする。

[注釈]
 前条の条約を実行的に履行するべく、総会共同管理機関として、世界再生可能エネルギー機関が設立される。

【第40条】

前条の機関は、次の任務を有する。

① 世界経済計画機関と連携し、再生可能エネルギー技術に関する適宜の情報提供及び技術支援を行うこと。
② 世界共同体構成主体における再生可能エネルギー技術の適切な導入及び運用を支援すること。
③ 世界の学術研究機関と提携し、再生可能エネルギー技術の開発及び実用の恒常的な進展に尽くすこと。

[注釈]
 特記なし。

〈脱原子力条約〉

【第41条】

世界共同体は、条約をもって、各構成主体が適切なプロセスを経て原子力エネルギーの利用から脱することを義務付ける。

【第42条】

1.世界共同体は、原子力の利用を脱するための技術を開発し、及び世界における脱原子力のプロセスを支援し、監督することを目的として、世界脱原子力機関を設立する。

2.第39条第2項の規定は、前項の機関にも準用する

[注釈]
 再生可能エネルギーの開発・普及は、再生不能エネルギーの集大成である原子力利用からの脱却と不可分である。しかし、脱原子力はそれ自体に高度な技術と歴史的な時間を要することであるので、再生可能エネルギー機関とは別途、専門機関を必要とする。

【第43条】

1.前条の機関は、世界共同体構成主体における脱原子力のプロセスを技術的に支援し、かつその履行状況を定期的に監査し、総会に報告しなければならない。

2.機関は、世界共同体構成主体が第41条の条約に違反している疑いがあるときは、いつでも査察することができる。

[注釈]
 脱原子力機関は、世界共同体構成主体における原子力発電所の廃炉や核廃棄物の処理などの技術的支援を行うほか、脱原子力のプロセスを監査・報告する任務、さらには条約に違反している疑いのある構成主体への査察の権限を持つ。

【第44条】

前条の機関は、核兵器廃絶のプロセスに関して、大量破壊兵器廃絶委員会と連携して、技術的な支援を行うものとする。

[注釈]
 世界脱原子力機関の任務は、基本的に原子力の非軍事的な利用からの脱却を支援・監督する機関であるが、核兵器廃絶という軍事的な脱原子力のプロセスに関しては、平和理事会下部機関の大量破壊兵器廃絶委員会(第39条第2項)と連携する。


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